2017年の「クラフトボス 」で火がつき、長時間かけて飲む”ちびだら飲み”需要の、濃すぎない味で大容量のペットボトルコーヒーが各社から大量に投入された昨年。事態を静観していた感があるのが、キリンの直火焙煎コーヒーブランドの「ファイア」である。そして今回ついにちびだら飲み用に最適化された『キリン ファイア ワンデイ ブラック』が登場した。
常温になっても美味しいという新境地を追求した『キリン ファイア ワンデイ ブラック』
1999年から直火焙煎缶コーヒーとして王道を歩んできた「ファイア」シリーズ。そのきっちり苦くてコーヒー感の強い味仕立ては人気が高いが、やはり缶のイメージが強い。中でも近年急速に普及している薄めの味わいのちびだら飲み用ペットボトルコーヒー製品に関しては未着手だった。
そんな中、ついに登場したのが、キリンビバレッジの『キリン ファイア ワンデイ ブラック』(600ml・希望小売価格 税抜138円・2019年4月2日発売)である。後発組ということでどんな特色を打ち出してきたかというと、600mlの大容量と長い時間かけて飲むがゆえの常温化での美味しさの持続である。
すでにCMではマツコ・デラックスによる大容量化アピールのスポットが流れているが、確かに一番ポピュラーな500mlサイズでは少しだけ足りない気がしてはいた。とはいえ新たに買い直すほどのものでもないというのが、9to5オフィス需要としてはあったのではないかとも思う。
とはいえいきなり1,000mlサイズでは飲みきれないし、そもそも重すぎる。なのでこの600mlはけっこういい線いってる量だと思う。では飲んでみよう。
直火感をギリギリ感じつつ甘みが目立つ寸止めコーヒー感、常温化しても美味しいというか、常温の方が美味しい!?
キャップをひねってみると、強めのコーヒーの香り。ただ香料を添加しているのが、じゃっかん惜しいとは思う。問題の味わいは、「ファイア」シリーズならではの直火感は感じるが苦味と酸味は最低限。むしろコーヒー豆の持つ甘みが前面に出ている印象だ。確かにちびだら需要らしい味仕立て。飲み続けやすさは、ある。
記者が一番気になっていたのは、やはり常温での美味しさ。冷えているか、熱いかで飲んで美味しいコーヒーも、常温となるといきなり精彩を欠くのはよくある話。酸味や苦味が目立って、だんだん嫌になってくるのがむしろ普通だろう。
さて、しばらく放置して常温化した『キリン ファイア ワンデイ ブラック』を飲んでみよう。おや、これは美味しい。通常常温化して失われる瑞々しさに関しては、こちらの方が感じられる。時間が経って揮発したのか、香料のくせもこちらの方が感じられず、本来のコーヒーの良い香りを感じやすい。
味の方も薄まったアイスコーヒーという印象からは程遠い、豆の甘みと旨みをみずみずしく感じられるタイプ。なるほど、ちびだら飲み需要に向けて、相当の創意工夫がなされたのではないだろうか。
バージョン違いのCMで”ぬるくても美味いじゃん”と言っているのは、けっこう本当。通常のコーヒー需要とは別に急速に高まっているちびだら飲み需要に対するアプローチとしては、かなり正しいと思った。なるほど、この飲み方にこの味はありだと思う。
入手は全国のスーパー、コンビニエンスストアなどで可能だ。