紅茶は冷めると白く濁るため、ペットボトルでは見た目があまりよろしくない。それをキリン独自の「クリアアイスティー製法」で克服し、1986年から見た目も麗しいストレートティー・ペットボトル文化を”午後ティー”の愛称で広めた「午後の紅茶」シリーズ。今回はその中核となる『キリン 午後の紅茶 ストレートティー/ミルクティー/レモンティー』がリニューアルしたので、検証してみた。
一見しただけではわからない、でもひっそりとしながら中味は確実な進化を遂げたニュー午後ティー
「午後の紅茶」といったらペットボトルからチルドまで、強力人気のブランド。中でもストレートティーは登場時、その甘さ控えっぷりに驚いたものだ。今では無糖も珍しくないが、ほのかな甘みが紅茶の美味しさを再発見させてくれて、漫然とコーヒー飲料を選んでいた層のハートを掴み、紅茶派に切り替えさせた印象がある。
マイルド感溢れる平和な味の象徴・ミルクティーも、乙女心を刺激する甘酸っぱさが魅力のレモンティーも、紅茶の世界観を手軽に味わえて、それまでのイメージをだいぶ変えた。
そんな中、ついにトップブランドの「午後の紅茶」がリニューアル。昨年過去最高5,250万ケースを売り上げた中でのリニュ。最初のポイントは感性工学を用いたボトルデザイン。確かにそんなに変化した気がしないのに、高級感を感じるフォルムだ。
そして中味に関しては、ストレートティーで新製法の「マイクロ・ブリュー製法」の採用。粉砕した茶葉と通常茶葉を同時に抽出することによって、より華やかな香りと渋みを味わえるのだという。
ではそのキリンビバレッジ『キリン 午後の紅茶 ストレートティー/ミルクティー/レモンティー』(500ml・希望小売価格 税抜140円・2018年6月12日リニューアル発売)を順に味わっていきたい。
『キリン 午後の紅茶 ストレートティー』
キャップをひねると上手に入れた紅茶専門店のダージリンティーのような麗しい紅茶の香りが広がる。うっとりするくらいこれはいい香り。
味は甘さ控えめの砂糖を中心に用いたアレンジなのは、変更がない。しかし紅茶感は明らかに増している。注目すべきはやはりその渋みだろう。嫌がる人もいるかもしれないが、紅茶の美味しさを決めるのは、やはり特有の渋みの加減、上品さがポイントになる。
これは程よい渋み、控えめな甘み、華やかで麗しい高級アロマという三拍子が揃って、確かにペットボトル紅茶の域を超えた仕上がりとなっている。これはすごい。
『キリン 午後の紅茶 ミルクティー』
アッサムなどの茶葉で濃いめに入れたミルクティーは、実に美味しいもの。この『キリン 午後の紅茶 ミルクティー』は、そうしたミルクティーの美味しさを、新たにミルクを主役に考え直したかのような仕上がりになった。
香りも濃厚なミルクが来て、紅茶の香りに。飲んだときも、さながらミルクを飲んだときのような濃厚なテクスチャーが口の中いっぱいに広がり、紅茶の香りが負けずに周囲から包み込んで来てミックスするような独特の味わい。もはやロイヤルミルクティーと言っても気がつかないほどの濃厚ミルキータイプだ。
『キリン 午後の紅茶 レモンティー』
こちらも果汁0.1%ながら、レモンを主役に持ち上げたかのような仕上がり。紅茶にレモンを加えたというよりも、紅茶とレモンががっぷり四つに組んだかのようなせめぎ合い。香りはレモンの爽やかさが突出するが、酸っぱさはあまり感じないタイプ。
ゴクゴクと飲むと、フルーツジュース的な感覚さえ感じさせる瑞々しい飲み心地。紅茶の渋みをレモンが払拭しているのがすごいバランス感。この味わいはフルーツティーと言っても良いレベル。レモンだけれど酸っぱくないというのも、新感覚。これは新境地なのではないか。
ストレートでは紅茶感を前面に出し、ミルクティー、レモンティーでは脇役に徹するというこの余裕綽々感。これはかなりアグレッシブなリニューアルだと感じた。紅茶ファンなら、とりあえず確認しておいたほうがいいと思う。
入手は全国のスーパー、コンビニエンスストアなどで可能だ。