現在、ビール類市場に改革の嵐が吹き始めているのをご存知だろうか。昨年6月、改正酒税法に伴ってビールや発泡酒、新ジャンルが続々値上がりしたのだ。その先には発泡酒を含むビール類の酒税一本化もあって、消費者のビール類離れが進んでいると言われている。そこでキリンビールが取った対策は、自社ビール類ブランド「キリン のどごし」に2018年1月23日に新商品を投入すること。ストロング系缶チューハイがブームを呼んでいる昨今、ビール系でも高アルコールの『キリン のどごし STRONG』を生み出したのだ。そこで、現在発売中の「キリン のどごし」シリーズ3種類と合わせて、4本の飲み比べを敢行した。果たして一本でしっかり酔えるストロングなビール類になっているのだろうか。
ストロング系缶チューハイブームでわかる通り、消費者はコスパ重視。だから今こそ”ストロング”なビール類が必要なのだ!
日本の経済状態は、ごく一部の富裕層と大多数の貧困層で形成される格差社会となった。にも関わらず、国の税制は「取りやすいところから取る」という方針を変える気配はない。そこで消費者は、高級路線から「美味しくて」「手軽に酔える」というストロングRTD(缶チューハイ、カクテル類など)の購入へと移り変わりつつある。その特徴は、アルコール度数7%以上の高アルコール系飲料であること。つまり、従来の商品に比べ、少ない本数で酔うことが可能なるため、結果としてコストパフォーマンスに優れるということになるのだ。
あわせて読みたい:きっちり酔える! ストロング系缶チューハイ4種を定番レモン味で徹底比較! |
しかし、ビール類のこうしたストロング路線は、いまだ未開発の分野となっている。現在では、サントリーのビール類「頂」がアルコール分7%の高アルコール系ビール類として先行しているのみ。そんな高アルコール系ビール類の市場にキリンビール(東京都中野区)が斬り込む。同社の新ジャンルブランド「キリン のどごし」シリーズにアルコール度数7%の『キリン のどごし STRONG』(350ml缶/500ml缶・実勢小売価格 税込145円前後/203円前後・2018年1月23日発売)を市場投入するのだ。同社によると、アルコール度数を高めることで「飲みごたえ」を実現。さらに、高発酵技術でキレをアップさせ、後味もスッキリ。また、発酵により生まれる香りを複数のアロマホップの香りに調和させた飲みやすい新ジャンルに仕上げたという。
あわせて読みたい:『頂〈いただき〉』なにかと話題の新ジャンルはガツンと飲みごたえある本格派の酒だった! |
というわけで、現在の「キリン のどごし」シリーズは定番の「のどごし<生>」と、糖質・プリン体・人工甘味料ゼロの「のどごし ZERO」、期間限定商品の「のどごし 華泡」に加え、この「のどごし STRONG」で4種のラインナップとなる。そこで、今回はそれぞれどんな特徴があるのか、その違いは何かを飲み比べて比較・検証してみることにした。
まずは見た目のチェックから!
パッと見、「のどごし 華泡」の色が薄い以外、特徴らしい特徴を見出すことはできない。
缶のデザインは、「のどごし STORNG」がブラックを基調に、商品の特徴を瞬時に伝える「STRONG」と「ALC.7%」が大きく配置されており、いかにも強そうな印象を受ける。また、「のどごし 華泡」は輝く星空や赤いリボン、弾ける気泡がデザインされており、華やかさが特徴となっている。「のどごし<生>」「のどごし ZERO」は定番のデザインで、これまでのブランドイメージそのままといったパッケージデザインだ。
気になる成分をチェックしていく
気になるのは4種類の「キリン のどごし」シリーズそれぞれの原材料やアルコール度数がどうなっているか。
まずは「のどごし STRONG」の原材料をチェック。発泡酒(麦芽・ホップ・大麦・糖類)に大麦スピリッツを混ぜてあり、アルコール分は7%。カロリーは発売前の試供品のためか公表されていない。
次に「のどごし 華泡」。こちらも成分は「のどごし STRONG」とまったく同じ。ただし、アルコール分は6%で100ml当たり46Kcalとなっている。ただ、表示されてはいないが、製法が他と大きく異なり、同社の新ジャンル商品では初めて発酵中にホップを漬け込む製法を採用している。これにより、苦味が抑えられてホップの香りが華やかに演出されるという。
それでは、定番の「のどごし<生>」の成分はどうなっているのだろうか。こちらはホップ、糖類、大豆たんぱく、酵母エキスとかなり異なる原材料となっている。アルコール分は5%。100ml当たりのカロリーは37Kcal。
最後に「のどごし ZERO」。原材料は発泡酒(麦芽・ホップ・大麦・糖類・食物繊維・大豆たんぱく・赤ワインエキス・香料・乳化剤)に大麦スピリッツ。アルコール分は4%で、100ml当たりのカロリーが27Kcalと、シリーズ中ではもっとも低めに抑えられている。大きな特徴はプリン体、脂質、糖質、ナトリウムがすべてゼロという点だろう。
気になる味のチェック
それでは、いよいよ「キリン のどごし」シリーズの味を実際に飲んで比較してみよう。ここはアルコール度数を考えて、新発売の「のどごし STRONG」を最後に飲んでみるとしよう。最初から酔っ払ってしまっては検証にならないからだ(笑)。
まずは定番商品である「のどごし<生>」。実は、記者はこの新ジャンルは1ダースのケースで購入するほど、よく愛飲している商品だったりする。
うん。いつも飲んでいる安心感のある味わいだ。新ジャンルでありながら、ビールと変わらない旨味やキレ、そして商品名が表すとおりの喉ごしが秀逸なのだ。
次に「のどごし ZERO」を飲んでみた。もちろん、プリン体ゼロという商品なので、コクという点では「のどごし<生>」には及ばない。ただ、成人病が気になる中年の記者にとっては、こういった新ジャンルの商品を飲むべきなのだろう。その意味では、これ単体で考えれば「のどごし」らしい飲みごたえと美味さがあるように感じた。
続いて「のどごし 華泡」。さすがに、そろそろ酔ってきた感じは否めないが、検証のために飲んじゃうぞ。
これは、ひと口飲んでみて明らかに前の2商品と異なる風味。非常にフルーティーな香りが漂うのだ。アルコール度数が6%と高めだが、飲みやすく、お酒が好きな女性に喜ばれそうな味わいだ。なお、期間限定商品なので購入はお早めに!
さて、真打ちは「のどごし STRONG」だ。ひと口飲んで、思わず「うおっ!」と声を上げてしまった。触れ込みどおり、ガツンとアルコールの強さが伝わってきたのだ。同社によると「アルコール度数が7%になっても、ビール類らしい旨味と飲みごたえを実現するため高発酵技術を採用した」とのことだが、確かに他社の7%ビール類と比較しても、しっかりとビールの味わいがあるというのは大きな魅力だ。
ストロング系ビール類の真骨頂! とにかく安く早く酔いたいなら「のどごし STRONG」を選ぶべし
ウィー、ヒック。
さて、今回立て続けに4本の新ジャンル350ml缶を完飲したわけだが、同じ「キリン のどごし」シリーズでもハッキリと特徴が分かれているということが明確となった。
残業終わりにコンビニに寄って、ビール類でも買って帰ろうというサラリーマン諸氏なら、文句なしに安くて早く酔える「のどごし STRONG」がオススメだ! 350ml缶を2本も飲めば良い気分で酔えるはずだ(個人差があります)。
そして、この時期は鍋料理などに合わせる新ジャンルとして、「のどごし 華泡」がベストマッチだ。どんな料理にも合う、冬にピッタリの華やかなビール類として、ぜひ定番商品化してほしい。