ブラジルで異変が起きている。吸血コウモリたちが人間をつぎつぎと襲っており、死者を含む40名がその牙にかかったことが報じられた。
サルバドールの疾病対策担当者によれば、襲撃事件が起きているのはブラジルのサルバドールなどの北東部。同地域での吸血コウモリによる被害では、これまでに記録されたうち過去最悪の被害が出ているという。
海外メディアのインタビューに対して、被害者の一人は次のように答えている。
「朝目が覚めるとベッドが濡れているなって。一晩中雨が降っていたので、屋根からの雨漏りで濡れていると思ったんですよ。だがよく見たら私の血でべったり…、ショックでした」
さらに被害者が自分の身体を見てみると、小さな傷口があり、そこから出血していることがわかった。洗って止血しようとしたが血が止まらなかったという。
またパラマリムに住む46歳の牧畜業者の男性が、コウモリに噛まれる被害にあったが、医者にかからずにそのままに。それから3週間後、頭痛、悪心、息切れに苦しんで病院にかつぎこまれ、狂犬病にかかっていることが判明。ワクチンを投与するにはすでに遅く、その後亡くなっている。
40件以上の被害報告があがり、バヒア州保健当局(SESAB)は公衆衛生警報を発令。吸血コウモリに噛まれることによる狂犬病のリスクと、警戒するよう住民たちに警告している。また吸血コウモリの駆除と生息数のコントロールに乗り出している。
吸血コウモリは、約20センチの翼幅を持つ小さな生き物で、血液を餌にして、馬や牛などの家畜を遅い、本来は人間にはほとんど被害を加えることはない。だが、なぜ現在このような異変が起きているのか?
専門家によれば、コウモリたちの巣がある地方の洞窟が不動産開発により破壊され、都市部に流れてきていると分析。本来の生息地域ならば家畜の血を吸うが、都市部ではそれらの動物がいないために、人間を襲っているのではないかという。
文/高野景子