5月14日から15日にかけて、大手メディアに次のようなニュースが掲載された。アフリカのジンバブエで、イエス・キリストのように水の上を歩くこうとした牧師が、ワニに群れる川で自らの“奇跡”を証明しようとしたが、ワニ3匹に襲われて食べられてしまった、というもの。
ソースはジンバブエ・ヘラルドだとして、インディペンデント、デイリーメール、エクスプレスUKなど、複数のイギリス系の大手ネットメディアが報道。その内容の素っ頓狂ぶりから、SNSなどを通じて大きく拡散されることになった。だが、この記事はまさかのガセ。最近頻繁にとりあげられる“フェイクニュース”だったのだ。
たしかに、記事としては面白い。
この牧師(ただし架空)は、信者たちに自分の信仰心の強さを証明するために、因幡の白兎のようにワニの群れる川で、水面を歩いてみせようとした。また奇跡をおこすために、一週間の断食を行っていたという。
そしてワニ3匹に襲いかかられると、数分で平らげられ、救助隊が駆けつけた時には牧師が履いていたサンダルや下着が見つかるのみだった。
…という、嘘だったわけだ。ジンバブエ・ヘラルドにはそのような記事が掲載されいなかったのだ。
元々は2016年に元ネタとなるような内容の架空の話がネットに掲載され、そして今年2月に風刺サイトにとりあげられていることが判明している。それがどのような経緯をたどって、今回とりあげられたのかは、まだ判明していない。
面白すぎるニュースにはご注意を(とまずは本誌について自戒する次第)。
文/高野景子