現在、中国では美女の死体の盗掘や高額取引が頻繁に行われており、大きな社会問題として報じられている。一体、そんなものをどうするのか、それは「陰婚」という習慣がキーワードとなっている。
「陰婚」とは未婚の男女が亡くなった場合に、そんな彼らがあの世でも独身者として寂しい思いをさせないよう、同じく未婚で死んだ者たちと結婚させるというものだ。当然カップル共に死んでいるわけだから、家にはいるのではなく、どちらかの墓に両者の死体が入ることになり、そして2人はあの世で結ばれるという。
そうした習慣が一部で行われている中国では、未婚の人口が増えているため、当然その「陰婚」も増加傾向にあるというのだ。
とはいえ、そうそう都合のよい“お相手”がいるわけではない。亡くなるタイミングの問題だったり、遺族の合意の問題だったり、その習慣自体が一部に限られるものだったりするからだ。
その結果、これと見初められた美貌の女性(ただし死体)が、ブローカーにより墓や病院から盗まれたり、金で売り買いされるという状況が起きてしまっているのだ。また一度陰婚のために埋められた死体が、再利用のため再販、そして再盗掘されるというケースまで…。もちろん死体の売買は中国でも禁じられている。
陝西省では、2013年以降に27もの女性の遺体が盗掘。未報告の事例も含めればさらに多いと推測されている。また16年には同省の住人が「息子との陰婚のため、若い女性の遺体を18万元(約300万円)で買った」と、新華社通信に明らかにしている。
同じく未婚率が増えている日本だが、「陰婚」という文化がないために、中国のこの現状はなかなか想像しづらいところだが。
文/高野景子