結婚生活75周年になる夫婦が、最後に望んでいたものは相手の腕の中で逝くことだった。
アメリカのサンディエゴ州に住む夫婦で、妻のジャネット・タッカーさん(96歳)が亡くなったのは、夫のアレキサンダー・タッカーさん(95歳)が亡くなって24時間以内のことだった。夫は妻に抱きしめられたまま息を引き取り、夫のなきがらを横にして、妻もそのまま眠るようになくなった。
■幼なじみから、1940年に結婚
ジャネットさんと、アレキサンダーさんの二人は8歳の時からのおさななじみで、1940年に結婚。そして5人の子供と、10人の孫がいる。6月上旬には、75回目の結婚記念日を2人で祝ったばかりだった。
だが夫のアレキサンダーさんは腰の不調をうったえ、数週間ほど体調を崩していた。それとともに、まもなく妻のジャネットさんもまた体調を崩しはじめる。医者からも「長くはない」というほどに、2人とも悪化。
■夫のなきがらに「ちょっぴり待ってね」、24時間後に妻亡くなる
まもなく地元のホスピスに2人は入院させられる。そして、子どもたちは、両親の願いを知っていたため、2人のどちらかが相手の最後を看取れるよう並んで眠れるベッドを用意した。
その日6月17日、夫のアレキサンダーさんは眠るように息を引き取った。隣で眠っている老妻にもさとられることなく。
異変に気づいた娘のアイミーさんが、妻のジャネットさんに言うと、ジャネットさんは夫をだきしめ「あなたが望んだこと、ちゃんとかなったのよ。私の腕のなかで死ぬって。愛してる、本当に愛してる。ほんのちょっぴり待ってね」
そう告げたあと、ジャネットさんもしばらくして、その日のうちに息を引き取った。
アメリカの10Newsが番組でこの2人の最後を、遺族の証言や写真のもとに報じ、海外で大きな反響を呼んでいる。人の死を美しいなどと言うのはおこがましいことだけど、この2人の最後はやっぱり美しい。
参照/10News
文/高野景子