少年ネロと忠犬パトラッシュの哀しい物語、「フランダースの犬」がビールになって発売されている。その名も「パトラッシュ」、ローストされた麦芽が甘みがとホロ苦さがまざった、この物語にふさわしい味となっている。
■物語の舞台から発売された
このビールを発売しているホーボーケン デ・アーレント醸造所は、物語の舞台となったフランドル地方のその町にある。現在は醸造はしておらず、プルーフ醸造所に生産委託して作られた。
ネロとパトラッシュの物語に感動したオーナーが、06年に発売しという企画モノの一杯だ。アルコール分8%に、黒砂糖っぽい強く甘い香りが特徴的。
■目立ちまくりのネロとパトラッシュのイラスト
筆者はイオン系のスーパー「まいばすけっと」でこの商品を発見。ビールコーナーで、ひときわ哀しい印象のネロとパトラッシュのイラストが目を引いたからだ。
■ネロの目が死んでいる…
村人たちののひどい仕打ちのせいか、ネロの目には精機も感情も感じることはできないし、パトラッシュもそんなネロを心配そうな目で見ている。
■犬っころの香りが嬉しい一杯
香りが鼻に抜けて行く時には、甘い香りの他にも、一瞬ひだまりにいる外飼いの犬っころのような香りがするところが、まさにパトラッシュな一杯だ。ビールなのに、犬的なものを堪能できる。
子供の頃「フランダースの犬」に感動した人や、犬好きの人には特におすすめしたい。
■「負け犬物語」として本国では人気なし
ちなみに物語は日本では人気があるが、本国ベルギーや作者の生まれの英国では大して人気がない。それは貧しく画家を目指したが不運を乗り越えられずに死んだネロとパトラッシュという、物語性が原因だという。
07年に撮影されたベルギー人の監督によるドキュメンタリー「A Dog of Flanders -made in Japan-」によれば、海外の人からすればただの「負け犬の物語」だとのこと。
■値段だけは勝ち犬クラス!
ちなみにこのビール、負け犬物語のくせに一本が税込約500円。ルーベンスの絵の前で天使に連れて行かれそうな味わいだけど、値段的にも昇天寸前!
文/高野景子