クロマグロの大量死が続いている東京都江戸川区の葛西臨海水族園では、生き残ったマグロも数匹、数日中には全滅とも言われており、その様子を取材した。水族館のなかは、あまりにさびしいものだったーー。
■「マグロさんかわいそう」子供が泣く
マグロ大量死の報道にもかかわらず、平日昼間だが家族連れ、カップルが入園していく。建物の中に入るとすぐに、その巨大な水槽はあった。いままで数百匹のマグロが泳いでいたところは、がらんと。わずかに数匹のカツオが泳いでいる。
小学校にあがる前くらいの子供だろうか、大声で泣いている。「マグロさん、死んじゃったの?」と。かっぷくのいい上下ジャージのお母さんが「死んじゃったのよ!しょうがないでしょ!あんただっていっつも食べてるでしょ」というのは、あまりに身も蓋もないような。
また呆然と水槽をみあげている、中年の男性は一人客のようだ。マグロが死に絶えそうになっている水槽を見ている初老の男の人、思わず胸がキュンとした。昔はね、ここにいい子たちがいたんですよね。
■さらに減っているマグロ
順路を通って他の水槽を見ていくと、マグロの巨大水槽の裏側にいく。ここで、ようやく3匹のマグロを発見した。8匹は存命と聞いたが、まさか3匹…?(現在の正確な数は不明)
これだけ大きい水槽に数匹しか魚がいない様子は、異様だ。
■水族館はマグロキャンペーン中だった
現在葛西の同水族館では、マグロキャンペーンを開催している最中だった。なので館内のいたるところにマグロオブジェや看板がある。また後半にかけて「まぐろ村」なる特設コーナーがあり、マグロの生態や捕獲方、漁師さんのパネルなどが展示してある。
■シュールする看板に呆然
なかでもシュールだったのは「マグロが死んでしまったら」というパネル。「死因を調べる」「個体の情報を読み取る」「有効利用する」といったことが書いてある。ちなみに利用といっても、食べるわけではなく。肥料などにするとのこと。
ちなみに中学生ぐらいの子たちがたくさんいたのだが、「マグロ村廃村だね」「つまんねー」などとキャッキャッと言っていたのが印象的だった。
文/高野景子