「僕が去年まで働いていた激安カラオケでは、客のビールピッチャーの残りをバケツに入れておいて、それをまたくんで出していましたね」(元飲食店店員)
昔から飲食店に伝わる「バケツビール」というものを知っているだろうか。
■昔からあった偽装の手口
先ほどの証言のように、飲み残しを集めておいて、泡などをたして再び客に出すというものだ。泡だけたす、炭酸もたすといった様々な手法が存在するとも言われている。さきの店では残しを集めたものと、新しいものをハーフ&ハーフにして、出していた。
「うちのチェーンではオーナーの指示でした。なので、なぜか酒を作るところには社員を配置しており、バケツビールしているのを知っていたのは一部。まあ、実際はみんな知ってましたけどね(苦笑)」(前出・店員)
■バケツビールは“合法ドリンク”?
客の飲み残しをすべて集めていたわけではなく、あくまでピッチャーの余ったものだけを集めていたというが、客サイドからすればたまったものではない。07年に起きた料亭・船場吉兆の賞味期限切れや産地偽装事件では、使い回しにも注目が集まった。
だが、むしろ競争が苛烈になってきているため「そういったモラルない行為は実は、水面下では多数横行している」(飲食店コンサルタント)という話もある。これはモラルではなく、違法なのではないか。
「船場吉兆と同様、現状ではこれを罰する法律はない。詐欺罪などで考えていくこともできるが、現実的ではない。バケツビールをするような小中規模の飲食店であれば、大きな問題として取り上げられる可能性もひくい」(弁護士)
■泥酔した客を選びマズさを気づかせない
しかしバケツビールならば味も落ちるのは確実だし、それに気づかない消費者でもないだろう、と思うがそうではないという。「遅い時間で、泥酔している客を狙って出していた」(前出・店員)そうなれば、気づきようもないのが実情。
われわれが酔っ払って飲んでいる、激安店のビールやアルコール、その味には要注意だ。
文/鷹村優