親方の気持ち一つで珍名が付けられてしまう、それも相撲取りの運命だ。先日、式秀部屋に入門した新弟子(17)に「育盛(そだちざかり)」とつけられたことが話題になった。また同部屋にはウルトラマンタロウにちなんだ序二段・宇瑠虎(25)も所属している。
ネット上ではキラキラネーム力士と評判になっているが、過去にはキラキラどころか、DQNとも言われかねないしこ名の力士が存在している。
平成時代では、「大魔王 暁志」(だいまおう さとし、芝田山部屋)もすごいしこ名、ジャンプのギャグ漫画にでもありそうなぐらい。とはいえこんな名前を付けたのは親方の優しさから。本人が気弱だったため、このように改名させた。
一番すごい名前が並ぶのは明治期。「馬鹿の勇介」(ばかの ゆうすけ)なんてただの悪口にしか思えないものや、「自動車」(じどうしゃ)、「文明開化」(ぶんめいかいか)、「電気燈」(でんきとう)なんてただの流行りものをつけただけのもの。さしずめ今なら「愛歩恩」(アイフォン)、「愚雨愚流」(ぐうぐる)なんてつけるようなものだろう。
とはいえお相撲さんも実力以外にも人気も必要な商売だ。それだけに親方が珍名をつけたのも、我が弟子に注目が集まるようにという親心なのだ。
文/鷹村優