中国ではPM2.5(微小粒子状物質)による大気汚染が深刻化、有害物質を含む濃霧は、人間だけではなく動物たちにも影響を及ぼしているという。異変が起きたのは、伝書鳩のレースだ。「死なないかぎり必ず戻ってくる」と言われるほど帰巣本能が強い伝書鳩が、あいついで行方不明になるケースが起きている。
実際にあるレースでは約2000羽のうち、たった19羽しかもどってこられないレースがあったという。その確率、およそ10%だ。あるレース出場者によれば「戻ってくると体全体が黒ずんで、別バトのようになっていることもある。呼吸器感にダメージを負っているので、そのケアが大変だ」と話しているという。
もどってこられない鳩のほとんどは死亡したのではないかとインターネットなどでは言われている。
だがこれに関して、養鳩家によれば「もっと環境のいい国でも帰還率は5割をきっているし、戻ってこれない鳩がみな死ぬわけではなく、ただの野良バトに戻るだけ。とはいえ、これだけのPM2.5、当然鳩たちにも悪影響をおよぼしているだろう」とのことだ。
この“伝書鳩さえ帰れなくなる”PM2.5は、日本の九州や中国地方でも大きな問題になっている。我々にとってもシャレにならない話なのだ。
文/鷹村優