「ちょっと汚い話で恐縮なんですが、その日は下痢をしていたもんで、大学のトイレに駆け込んだんです。思いっきり大音量でしていたら、となりの個室からドンドンって叩く音が聞こえて…」
そんな恐怖の体験を語るのは、現在慶応大学文学部に通うS君。
「でも、こっちもまだ出そうだしどうしようもない。それでもうヒトひりしたところ、今度は食いかけのコンビニ弁当が降ってきたんです。横の個室がバターンって開く音がすると、『人が飯食ってんのにくせークソしてんじゃねー!』って叫んだ奴がいた。イライラとトイレを出て行く足音が聞こえたんですが、あまりの恐怖でしばらく個室にこもっていました」
S君に振りかかってきたコンビニ弁当は親子丼だったという。白いシャツが黄色く染まってしまった彼は、ショックだったこともありそのまま自宅に戻ったそうだ。
こういった便所めしをめぐるトラブルが増えているという。都内私大の学生課職員に話を聞いてみたのだが、学生たちに異変が起きているというのだ。
「さすがにマスコミが報道するほど便所めしをしている学生がいるわけではない(笑)。ただ、その少数の便所めしをする子たちのマナーが、どんどん悪くなっている。残したごはんをトイレに捨てていったり、コンビニ弁当の空を個室に残していくんです。先日男子トイレが詰まったんですが、おにぎりが捨てられていたためです。おまけにタバコの吸殻まで…」
この大学では便所めしを禁止にしようとする意見もあったが、とりあえず「トイレにゴミを捨てないでください」との張り紙にとどめたという。また便所めしをするのは男性が多いのかと思いきや女子にも増えているとか。
「うちみたいなお嬢様女子大と言われるところでも、便所めしをして便器にごみを捨てていく子がいる。あとは大学の教室に行くことができなくて、学校に来て決まったトイレの個室にこもって帰っていく生徒もいました。ただ、その個室に別の生徒が入っていたことがあって、なかなか出てこなかったら、便所めしの子が怒ったんです。出てきたところで掴みかかって、取り押さえるのが大変でした。彼女は現在休学していますが…」(都内女子短大の女性職員)
警察沙汰にはならなかったので、加害者の女子大生は「臭い飯」を食うのは逃れたという。こういった大学での例にかぎらず、一部の駅のトイレなどでも便所めしが増えているとも。(京王線仙川駅の男性トイレにはやはり「弁当などのゴミを捨てるな」という張り紙がしてある。この場合はほとんどホームレスの人がやっているらしいが)。
「部屋からは出られるが、外に引きこもり場所を作ってしまう若い子たちが増えている印象があります。学生ではなくても、親には仕事に行くと行って、わざわざ図書館のトイレにこもってしまう20歳のアルバイターもいました。ちなみにマスメディアが『便所めし』という言葉を大々的に報道してしまったことも、この現象が広がった要因かもしれません」(心理カウンセラー)
このままで同現象が広がれば、トイレの個室で授業や仕事ができる環境を、本気で作っていかなければならないのかも?
文/益田亨