辛ラーメンをはじめとする独自のラーメン文化を持つ韓国。中国や台湾、タイほどは「日本式」への評価は高くないのだが、韓国のラーメンオタク(ラオタ)からも愛されているのがラーメン二郎だ。特濃な脂っこいスープ、山盛りの野菜、太い麺などのインパクトで評価されているようだ。
韓国ラオタのサイトをのぞいてみても「このボリュームはすごい」「韓国のラーメンに比べればやや値段が高いが、この量ならば仕方がない」「もの凄く濃くて美味しい」などおおむね高評価だ。たしかにわざわざ日本にやってきてラーメンめぐりをしているのだから、好意的であるのも当然だが。
「韓国ではああいうタイプの脂を煮だしたようなこってりスープ料理はありません。だから衝撃なんでしょうね。韓国のラーメンファンとやりとりしていても、日本に来たらラーメン二郎を食べてみたいという人は多い。日本と韓国の関係性がびみょうになっている中、ラーメン二郎が両国の架け橋になるかも知れません(笑)」(フードライターA氏)
実際韓国人の観光客や留学生などが、二郎を食べに行く機会も増えているそうなのだが、中にはこんな事件もあったという。A氏が関西在住のジロリアンから聞いた話だ。
「大阪のあるラーメン二郎インスパイアの店に、韓国人の男性観光客が3人ぐらい来たそうです。言葉でわかったみたいですが。その人たちは二郎があんなにボリュームがあるなんて知らないから、大ブタを頼んで、おまけに横の日本人客のオーダーを真似して、ヤサイマシで頼んでしまった。最初はバシバシ写真とって騒ぎながら食べていたそうなんですが、半分ぐらいしか食べられなかったそうです」
韓国人にかぎらず日本でもよく聞くような話だが。
「ただそれを見ていた僕の友人のジロリアンとそのツレが、この二人はかなりの愛国精神の持ち主らしいんですが、店を出たこの観光客を呼びとめて説教をしたらしいんですよ。『“ギルティ”なんて言葉がネットでネタになるぐらいで、二郎にはルールがある』『お前たちはマナーが悪すぎる。お前ら日本なめてんのか』『二度と二郎に来るな、日本にも来るな』なんて言ったそうなんです。相手の観光客の人たちはさすがにびっくりしていたそうですが」(前出A氏)
マナーという面ではこの韓国人観光客の人たちにも非はありそうだけど、さすがにこのジロリアンの人たち、ちょっと暴論すぎる気が…。このジロリアン氏に電話でそのいきさつを聞いてみたところ
「以前韓国人が二郎をどう思っているか気になって、検索してみたことがあるんです。そうしたら二郎の写真に対して『日本人はブタの餌が好きなのか』『日本料理はゴミ』『残飯以下』とかコメントがついてた。絶対に許せないと思ってたんです。だから僕なりに声をあげたわけです。二郎の味もわからずに日本に来た連中なんてロクでもない奴らですよ、絶対に韓国に戻ってから二郎や日本を馬鹿にするはずです」
というのが韓国観光客に対して怒った理由だそうだ。さきほどのフードライター氏の話ではないが、ラーメン二郎で国家友好どころか思わぬ溝をうんでいたり? まあ二郎は悪くないんですけどね。
(文/日々野雄二)
※編集部より追記 本記事のジロリアン氏は日本語で、韓国人観光客に説教したとのこと。相手側は当然、氏の言っていることは理解できていないようだったと。補足をさせて頂きます。