火曜日, 3月 19, 2024
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一色萌のアイドル、色々。第 28回 「アイドルと私の夏2020」

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こんにちは。プログレアイドル・XOXO EXTREME(キスアンドハグ エクストリーム。通称・キスエク)の一色萌(ひいろ・もえ)です。

8月に入り、梅雨がようやく明けました。
どんよりとした毎日から一転、あっという間に真夏の様相です。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。

とはいえ、まだまだ外でできることの少ない今日この頃です。
私はというと、熊谷と浜松が日本最高気温を更新したとか、いやデスバレーは50度を超えて観測史上最高気温だったらしいとか、ボンネットで目玉焼きが焼けたとか、いかにも夏真っ盛りな話題を横目に未だ、自室で連日の雨が残した湿気と戦っていました。

日が当たらないこの部屋はいつでも薄ら寒くじっとりとしていて、おまけに圏外です。
雨雲の中にいるかのような環境では、除湿剤をたくさん置いてみても、エアコンの除湿機能をつけてみても、湿度が80〜90%から下がりません。

梅雨が明けたら多少ましになるだろうと期待していたのですが、梅雨はなかなか明けないし、雨が上がってアスファルトが干からびても私の部屋の湿度が下がることはありませんでした。
どこから紛れ込んだのかクローゼットからアマガエルが飛び出してきた時には、驚きを通り越して笑ってしまいました。
ついに洋服にカビが生えているのを発見した時、腹を括って除湿機の購入に踏み切りました。

除湿機の効果はてきめんで、常に90%近かった湿度は60%前後に安定し、室内環境は大変快適になりました。
もっと早く買えばよかった……。
1日に2〜3回、タンクにたまった4リットルの水を捨てるたびにそう思います。

かくして私が湿度と戦っているうちに、気づけばもう8月も中旬に差し掛かっていました。
こんなにも季節の移り変わりや時間の経過を実感できないまま過ごすことになるなんて、年が明けた頃には全く思っていませんでした。

時間の感覚を見失ってしまった原因は長い梅雨やステイホーム生活だけでなく、他にも心当たりがありました。

毎年の定番として開催されていたアイドルフェスやイベントが、今年は軒並み例年通り行うことができなくなってしまったことです。
もっとも、今年は東京オリンピックの開催が予定されていた関係で都内の大型イベントはそもそも中止や延期の向きであったので、コロナ禍があってもなくてもこんな感じだったのかもしれません。

昨年、一昨年と、この連載では夏の定番アイドルフェスである『TOKYO IDOL FESTIVAL』 へ足を運んで感じたことや見たことを書き記してきました。
しかし今年はTIFも時期をずらしてのオンライン開催となり、例年だったら鋭い日差しと熱気の中でステージを見つめていたはずの特別な数日間は、いつも通りの日常に埋もれてしまいました。

春には春の、夏には夏の、季節ごとのイベントが思ったよりも自分の意識の中に深く組み込まれていたということに、開催できなくなった今気がつきました。

そんなわけで毎年夏は同じテーマで定点観測的に書いていこうと思っていたのですが、今年は定点を失って往くあてをなくしてしまいました。
除湿機に感動した話だけではあんまりなので、他に話題を探すしかなさそうです。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

最近何をしていたか思い出そうとすると、ダンスの練習やオーディションの面接の場面が次々と思い浮かびます。

現在、私の所属する事務所ではオーディションを開催しているのですが、オーディションにはスケジュールの合うメンバーが面接に立ち会うことがあります。
私も何度か面接に参加しているのですが、ここ最近何件か続けて面接に同行していたので、直近の記憶として印象に残っていたのでしょう。

私はキスエクに加入が決まるまでに、たくさんのオーディションを受けてきました。
よく「何件くらいオーディションを受けたの?」と質問されることがありますが、正直なところ正確な数は今となってはわかりません。
スケジュール帳にメモとして残っていたものを数えると40件ほどでしたが、メールを送ったけど返信が来なかった、なんてものも含めたら50件くらいでしょうか?
当時のメールのバックアップを取っておけばよかったなぁと思います。。

オーディションにまつわるエピソードを話す時、多くのアイドルファンの方から好奇の眼差しを感じます。
アイドルとの距離が近くなり、アイドルになる敷居もかつてよりは跨ぎやすくなった今、アイドルファンからアイドルになったり、アイドルをやめてもアイドファンとして現場に残るケースはそう珍しいものではなくなりました。

それでもアイドルファンの中心となる世代の、それも男性にとっては、アイドルがアイドルでなかった頃の話、またアイドルをアイドルにするための関門であるオーディションにまつわる話は、なかなか聞くことのできない話題のようです。

それに、アイドルとなってステージに立っている相手に向かって今さらアイドルになる前の話を持ち出すなんて、野暮ったく感じられて積極的に訊くことは憚られるだろうな、とも思います。

せっかくなので今回は近況ついでに、オーディションにまつわるお話をしていきましょう。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

私の経験上アイドルのオーディションは、大体の場合
・一次審査(書類審査。ほぼ必須)
・二次審査(面接、実技審査。ほぼ必須)
・三次審査(最終面接、意思確認。ない場合もある)
で構成されています。

上記の基本の形式に、特技披露があったりそのアイドルさんならではの趣向の審査が加わったりして、候補者たちはふるいにかけられていきます。

私の場合、最初の難関は一次の書類審査でした。
書類審査がなく、一次が全員面接のオーディションなら二次に進めるのに、書類応募だと一次審査を通ることができないのです。

その原因について当時はずいぶん頭を悩ませて、写真の角度を微調整したり文章の言葉選びを変えてみたりしたものですが、後にアルバイトでアイドルさんのオーディションのお手伝いをした時に、その理由がわかりました。

初めて自分以外のアイドル志望者の応募書類を見た時に思ったのは、自分が送っていたのは事務的な“履歴書”で、“アイドルの応募書類”ではなかった、ということでした。

今は普通の女の子でも合格したらアイドルになっていけるはず!というスタンスで“アイドルになるために”応募をしていた私と違って、目の前に並ぶ書類の中の子たちは、応募書類の時点で少なくとも意識としては“すでにアイドル”だったのです。

こりゃ受からないわけだわ、とすぐに思いました。
母親に撮ってもらった証明写真のようなぎこちない写真と、やたら熱のこもった長文の志望動機が並んだ私の応募書類は、審査以前に見る気がしない代物でした。

星の数ほどアイドルがいる昨今ですが、アイドルになりたい子はアイドル以上に多いのです。
まずパッと見で目を惹かなければ、どんなにやる気があっても志望動機に目を通してももらえないのだとアルバイト初日に悟りました。

仕事の合間に審査の様子を観察していると、審査員から好評価を得て二次審査に進んだ子の多くは、写真がとても可愛くて志望動機の文章があっさりとしているという共通点が見えてきました。
私とは真逆で涙が出そうです。

アイドル志望でオーディションに応募しているのにいつも書類で落ちてしまうという方。
オーディションの審査基準も目指すアイドル像によって多種多様なので一概には言えませんが、禁止事項などの指定がない場合は、自分の自信のもてるメイク、ポーズ、服装、写りの写真を使用しましょう。
あなたが今から送るのはアルバイトでも就活でもパスポートのためでもなく、アイドルとしての素質があるかどうか評価される写真なのです……。
大きな声では言えませんが、原型を留めている範囲であれば多少加工していてもいいかもしれません。
過度な加工は面接で結局バレるので、ほどほどに。

実際、私はアルバイトで得た教訓を胸に、応募書類に添付する写真を自信のある角度での自撮りと鏡越しにちょっとかわいいポーズで撮った全身写真に差し替えたところ、一次審査がおもしろいように通るようになりました。

一次が通るようになったからといってすぐに合格にこぎつけるほど甘くはありませんでしたが、面接審査に多く参加できるようになったことで、その辺りから私はオーディション自体を楽しむようになっていきました。

アイドルになるためにオーディションを受けているのか、オーディションを受けるためにオーディションを受けているのか、最早わからない有り様でした。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

アイドルのオーディション会場で見かける人々は、一人残らず面白い人ばかりでした。

オーディションを受けにきている子も、審査員も、よくわからない関係者っぽい人も、立ち合いにきているアイドルさんご本人も。
誰もが日常生活で出会ったことのないオーラを放っているようで、自分もアイドルを志望している立場のくせに「こういう人たちがアイドルに関わる人なんだなぁ」なんて思っていました(だからなかなか合格しなかったんだと思います)。

オーディション会場で出会った印象的な子については以前少し書いてしまった(https://mogumogunews.com/2019/11/topic_31869/)ので省きますが、当時のことを思い出すと、「アイドルにならなければ死んでしまう!」というような、切羽詰まった感じの子が多かったような気がします。

冷静に考えればそんなことはないのですが、本人はそう信じ切っているので必死です。
私もそんな感じだったと思います。
皆が皆、何者でもない自分を持て余していて、でも自分の生きる場所はここにしかないとまっすぐに信じていて、不器用で愚直でした。

その頃はでんぱ組.incさんやBiSさんの人気がぐいぐいと上昇していた時期で、「普通の女の子がアイドルになるストーリー」に皆が魅了されていて、そこに近い界隈を私が選んで受けていたからそう感じただけかもしれませんが。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

オーディションを受けまくる生活が終わってから数年が経ち、私は受ける側から見る側になってオーディション会場に戻ってきました。

面接の際に“こちら側”として応募者と対面する時、「この子が自分と一緒にアイドル活動をすることになるかもしれない」という意識がよりはっきりとして、心なしか背筋が伸びます。
そしてオーディション会場のどこか懐かしい緊張感の中で、応募書類のバインダーを持って座る自分とは別に、応募者の隣に同じように座っている自分がいるような感覚を覚えるのです。

一緒に面接を受けているような気分で何人かの面接に立ち会って感じたのは、私がオーディションを受けていた時よりも自己アピールが上手な子が多いぞ、ということです。

その一因としては、ここ数年でSNSでの自己表現がより手軽なものになったことが挙げられそうです。
一般の女の子でもアイドル顔負けの可愛らしい自撮りをTwitterに載せたり、日常のきらきらした瞬間をInstagramにまとめたり、ダンスをしてTikTokを更新したりしています。
今の時点で有名ではなくても、その人の魅力とメディアの特性がうまくハマれば誰でも“バズる”可能性があるというのは夢のあるお話です。
そんなSNSが身近な環境の中で、自分でも無自覚のうちにセルフプロデュースの術を身につけているのでしょう。

最近では応募・審査の段階で候補者が開示され、審査の一部が一般の閲覧者に委ねられている形式のオーディションも増えてきました。

現在開催中のものを挙げるなら、ミスiDやWACK系列の「Project WACKちん」オーディションを思い浮かべていただけるとよいかもしれません。
候補者たちは何者でもない段階で自分の魅力を多くの他人に認めさせることを求められるのです。
そうして選ばれた合格者は、最初から強みのはっきりとしている即戦力に他なりません。

このような形式のオーディションが注目を集め、多数の応募者で賑わっているように、最近は自分の魅力に自覚的でもうすでに何らかの表現活動をしている/したことがある子が、自分の新たな一面を求めてアイドルにたどり着いた、というケースが増えているような気がします。

様々な特技や特性を持った子がどんどんアイドルの世界に足を踏み入れることで、アイドルの世界が広がっていく−−−−。
今はそういう局面なのかもしれないなと、アイドル志望の子たちからそんなことを感じました。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

キスエクはつい先日、新たに研修生が加入することを発表しました。
現在絶賛準備期間中なわけですが、今回は私にとって初めて先輩のいない環境での体制変更なので、必然的に最も長くグループにいる立場として率先して動かなければならないことが多々あり、毎回のレッスンでドタバタしています。

現在の体制になってから約一年間メンバー同士協力して活動してきましたが、新しい局面を迎えることとなった今、新たに先輩の苦労やこっそりやってくださっていたことに気づくことがあり、改めて頭が下がる思いです。

オーディション開催のお知らせをしたのは一年以上前だったので、その時から新体制を期待してくださっていた方はずいぶんお待たせしてしまいましたが、その分のご期待に応えられるような活動をしていけたらいいなと思っています。
これからのキスエクもどうぞよろしくお願いいたします。

【プロフィール】 一色 萌(ひいろ もえ)

ニックネーム:萌ちゃん、萌氏、誕生日:5月27日、出身:東京都、血液型:A型、趣味:アイドル研究、特技、アイドルについて話すこと

WALLOP放送局「キスエクのギュッと!プログレッシヴ!」レギュラー出演中(2018.4〜)

<一色公式Twitter> https://twitter.com/hiiro_moe

<公式Twitter> https://twitter.com/xoxo_extreme

<公式YouTubeチャンネル> https://www.youtube.com/channel/UCA7fn3DZFJGDmlxZZg8WQVA

【活動情報】

11/3発売
一色萌(ひいろもえ)
デビュー7インチ・シングルレコード
「Hammer & Bikkle / TAXI」

XOXO EXTREMEの一色萌が遂にソロデビュー!20年代のパブロック/パワーポップ/モダンポップを追求するNEWアイドルの誕生!佐藤優介Proによる「Hammer & Bikkle」とデフ・スクールの名曲「TAXI」を日本語詞でカバー。何と本家デフ・スクールがバックトラックを新録した奇跡の日英コラボによる7㌅シングル

価格:1,500円+税
レーベル:なりすレコード
品番:NRSP-789

11月27日 (金) XOXO EXTREME 3rd ワンマンライブ ~Re:UNION~@渋谷クラブクアトロ

タイプの違う2バンドを擁しての3rdワンマンライブ!!!

18:00 OPEN/19:00 START 

来場4,000円(+1D)
配信2,000円
Tシャツ付配信4,500円(サイズ S,M,L,XL)
※配信視聴可能期間:11月27日(金) 19:00 〜 11月30(月) 23:59迄
※Tシャツ付は11月12日(木)23:59迄

詳細はこちら!
https://upluslive.udo.jp/schedule/20201127.html

<取材・オファー等> Email : contact@twelve-notes.com

【グループプロフィール】

XOXO EXTREME(キス・アンド・ハグ・エクストリーム 通称:キスエク)

一色 萌・小嶋 りん・浅水るりの3名からなる、プログレッシヴ・ロック(略:プログレ)※をモチーフとした楽曲をパフォーマンスしているアイドル。
※特徴として、曲調がよく変わる・曲が長い・変拍子が多い、といった点が挙げられる。

2017年に、発売したシングル「えれFunと”女子”TALK〜笑う夜には象来る〜」に対して(キング・クリムゾン「エレファント・トーク」オマージュ)元キング・クリムゾンのエイドリアン・ブリューがその動画に「I like it!」とコメントで絶賛。

ライブ活動の他、ディスクユニオン新宿プログレ館で一日店員を務めたり、プログレファンの聖地である吉祥寺シルバーエレファントに、アイドルとして初出演。

2019年にフランスを代表するプログレバンドMAGMA公認カヴァー曲の「The Last Seven Minutes」を初披露。その動画がyoutubeにアップされると、カヴァーを公認したMAGMAが、公式Facebookで紹介したこともあり、一日で2000以上の再生数を得て話題になる。
翌2019年には、日本のプログレバンドの雄、金属恵比須とのコラボレーションで、90年代プログレを代表するスウェーデンのバンド、ANEKDOTENの「Nucleus」を公認カヴァー。

同年7月25日には2バンドを擁してのセカンドワンマンライヴを渋谷WWWにて行った。

都内を中心にライヴ活動を行なっており、プログレッシヴ・ロックを知っている人も知らない人も楽しめる、と好評を得ている。

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