一色萌のアイドル、色々。 第2回「アイドルと写真」(18.6.20)


こんにちは。プログレアイドル・xoxo(kiss&hug) EXTREME(キスアンドハグ エクストリーム。通称・キスエク)の一色萌(ひいろ・もえ)です。

初回の反響が思ったよりも大きく、あたたかい反応をくださった方が多くてほっとしました。
感想や自分の思ったことを伝えるために私に会いにきてくれた方もいらっしゃって、とてもとても嬉しかったです。

こりずに今回もページを開いてくださり、本当にありがとうございます。
できるだけ長く続けられるように、マイペースにがんばりたいと思います。

さて、今回のテーマは「アイドルと写真」です。

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あなたは写真が好きですか?

私はあまり好きではありませんでした。

それは連続している時間の中の一瞬を切り取ったもので、1枚の写真の背景にもその前後の状況や被写体と撮影者の関係性、時間の流れ、撮影時の環境など、色々な要素があります。

一見して好きだな、もしくはあまり好きじゃないな、で片付けることができればよいのですが、それらの要素について一旦考え始めると、目の前にあるものは平面なのに、すごく立体的で私の理解力では手に負えないような感じがして、それと同時にそんなことを考えるのがすごく野暮なことのような気もしてきて……。

何事もまず深読みをしてしまう悪癖を持つ私は結局、撮ることも撮られることも、撮影された作品を見ることにも、どういうふうに向き合えばいいのか分からないまま、とりあえず「記録媒体」と認識するしかない、私と写真は長い間そんな関係でした。

しかし、ふと自分のスマホのカメラロールやファイルに収まりきらなくなってしまったチェキの束を見たとき。

ライブアイドルの現場へ足繁く通うようになってからいつのまにか、「写真」をきっかけとした新たな「アイドル」の魅力に夢中になっていたことを自覚しました。
あれ、私、いま写真をとても楽しんでいるのでは?と。

そこで今回は、アイドルと写真の関係とその魅力について、少し考えてみたいと思った次第です。

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ライブアイドルにのめり込む前。

私にとってアイドルが写っている写真といえば“ブロマイド”でした。スタジオ撮影でばっちりカメラ目線の写真がスタンダードで、写真そのものをじっくり味わうというよりは、トレーディングカードのように集めて楽しむものでした。

ライブ写真は写真集や雑誌に掲載されたもの以外は基本に目にする機会がなく、明らかに許可されてないライブ写真が露店や通りの一角で販売されている場面に出くわすこともありましたが、どんなに好きなアイドルさんの写真でも、そういったものには昔からあまり魅力を感じませんでした。
それらに感じていたのは悪いことだから好ましくないという感覚というよりも、在りかたそのものに対しての違和感のような気持ちの悪さでした。

そんな私が、ライブアイドルの物販で「チェキ」や「ライブ撮影可能」の文化に初めて出会った時の衝撃はとても大きなものでした。
(※ライブ撮影については写真のみOK、動画もOK、全面的に禁止など、運営によって様々な印象ですが、チェキについては、ほとんど全てのアイドルが導入していると言える状況にあります。)

今でこそチェキを撮ることも、撮られることも、ライブを撮ることも、撮られることも当たり前の環境に身を置いていますが、アイドルと写真が撮れる、ライブ中に写真や動画の撮影が許可されているというのは、改めて考えてもやっぱり面白い文化だな、と思います。

このコラムを読んでいるみなさんがライブアイドルの現場に通っている人なら、この文化に初めて触れたときにどう思ったか、通っていない人なら現在どんな価値観を持っていて、この文化をどんな風に感じるのか……とても気になるところです。

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私はアイドルの一番可愛い写真は自撮りで、一番魅力的な写真はファンが撮ったライブ写真なのではないか、と感じています。

もちろん、プロの写真家さんが撮影した写真と素人の写真の間には技術や経験、処理などクオリティの面においてきちんと差があり、並列して比べるのはとても失礼なことだと思いますし、そういった意図はありません。写真集やライブレポートなど、写真の質の高さに裏付けされていなければ成り立たないものもたくさんあります。
しかし、「アイドルの自撮り」や「ファンが撮ったライブ写真」には、上手くはないけど、“なんかイイ”。そんな、クオリティとは異なるベクトルの味わいがあるように思えてならないのです。

「アイドルの一番可愛い写真は自撮りなのではないか」という価値観に私が初めて出会ったのは2012年の冬、でんぱ組.incさんの「冬へと走りだすお!」のMVが公開されたときです。この映像は「アイドルは、自分自身で撮影した写メが一番 可愛いのではないか?」というコンセプトのもと製作されたものでした。

【参考リンク】でんぱ組.inc「冬へと走りだすお!」Full ver.

このMVの中に登場するメンバーさんたちは、確かに一番可愛くて、一番可愛い状態が繋がって映像になっていて、一見極論のようにも思えるコンセプトに対してとても説得力がありました。その仕上がりに、とにかく感動したことを覚えています。

毎日のように写真を撮って、毎日自分と内面にも外見にも向き合う職業であるアイドルが、自分なりの自分が一番可愛く写る術を体得しているのは当然のようにも思えますが、そこに至るまでには数多の試行と失敗があるのだと気づいたのはアイドルになってからでした。自撮り、難しすぎ問題。私はまだまだ道半ばです。。

ところで、アイドルでなくても最近は遊びの一環として自撮りをしてSNSにアップしている人たちが大勢います。それも自撮りアプリ等で、きれいで可愛い写真が手軽に撮影できるようになったことも手伝い、ネットを少し覗けばアイドル顔負けの可愛い子がごろごろと見つかります。

その子たちとアイドルの自撮りの違いはもうほとんど無いに等しいと思うのですが、あえて言うならばその違いは「目的意識があるかないか」という点にあるのではないかと思っています。それは「ライブの後、応援してくれた人に感謝を伝えたい」という想いだったり、「私は人からこう見られたい」という自己プロデュースの一環だったり、「上手に自撮りができるようになりたい」という試行錯誤の過程であったり。
何気無い一枚にも意味があるかもしれないと考えると、あまり意識していなかったアイドルさんの自撮りまで少し、愛おしくなるような気がしませんか。

ファンが撮ったライブ写真について、自撮りを一番「可愛い」とした上で、あえてこちらを「魅力的」と表現したのは理由があります。

自撮り写真は確かに「可愛い」のですが、キメのポーズや角度がある程度固定されてしまうためにマンネリ化しやすく面白みに欠けた状態に陥りやすいことに比べて、同じような写真を撮ることの方が難しいライブ写真は見ていて飽きない面白さがあります。
また、”ファンが” ”撮らなくてもいいのに” “自分の意思で” 撮った写真であるという部分に私は関心を引かれます。

ファンが撮った写真は公式やニュースサイト等の写真に比べて早く、大量に第三者の目に触れる機会があるという点も重要です。ライブの熱が冷めないうちに、他人の視点からそのライブがどう見えていたのかを写真という形で知ることができるというのは、ライブが終わったあとに感想を語り合ったり、行くことのできなかったライブについて話を聞かせてくれるような友人のいなかった私にとって、それに代わる楽しみの一つになりました。
あまり良く撮れていない写真でも、撮影者がどんな場面でどんな気持ちでその写真を撮ったのかを知ることができたり、近い場面の写真をたくさん参照するという方法で楽しむこともできます。

私の父がアイドルヲタクだというお話は第1回でさらりと触れたのですが、父も最近は撮影可能なアイドルさんの現場へはカメラを持って遊びに行き、お気に入りの写真をプリントして壁に飾ったりしています。(あぁ、こんなところで家の壁事情をバラしてしまった。父には秘密で!)
特にカメラに詳しいわけでもなく、普通のコンパクトデジタルカメラで、普通の家庭用プリンターで出力した写真なのですが、なかなかどうして、味わい深い写真だったりするのです。

自分がもともと好きなアイドルさんが魅力的に写っている写真が流れてきて幸せな気持ちになるのはもちろんですが、たまたま見かけた素敵な写真が新しい現場へ足を運ぶきっかけになったりもします。自分も撮ってみたいかも、なんて気持ちまで起きてきます。
最近ではカメラを構える人が増えて、カメラでフロアが埋まってトラブルが起きてしまう……なんて状況もちらほらお見かけして、よろしくないなと思うこともあるのですが、その問題はここでは一旦置いておきましょう。

ファンが撮ったライブ写真の魅力について、私は撮影者の意識が“その子を魅力的に写すこと”に徹底的に集中されていて、構図や細かい設定よりも、とにかく自分の心が動かされた瞬間にシャッターを切っているということが大きなポイントなのではと考えます。
ライブの熱狂の渦中にいながらにして、その熱ごと瞬間を切り取ることができるのが撮影者がファンであるということの強みだと思うのです。
レス(ライブ中に演者と観客の間で視線、指差しなどのコミュニケーションを取ること)がもらえた瞬間が写っていたりしたら、もう!撮影者の気持ちは想像に余りあります。

言うまでもなく、撮影技術は高いに越したことはありませんが必須ではなく、ここで大切なのは被写体をよりよく撮ろうと思い、その魅力を形に残したいと思う気持ちだと思うのです。

私はアイドルだけでなくそのファン/ヲタクも相当な贔屓目で見ているので、多少美化補正がかかっているような気もしますが、それを差し引いてもやっぱり、レンズが仲介するその視線の熱を思うと、なんとも言い難い魅力を感じてなりません。

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私はこれまで写真に対する向き合い方がわからないから正しい見方がわからない、と思っていましたが、それはきっと被写体に対しても撮影者に対しても、私がそもそも興味を持とうとしていなかったというだけのことで、被写体ないしは撮影者が愛してやまないアイドルやそのファン/ヲタクであったなら、闇雲な深読みも考察へつながり、双方への愛情を確かめるツールとしてその魅力を享受するに至ったのでした。正しい見方なんてものは存在せず、全ては自分の受け入れる姿勢次第だったのかもしれません。

「撮りたい」とカメラを構えている人物を、「より可愛く、より魅力的に」という姿勢でファインダーに収まる人物を、それぞれ愛すべき存在として認めたとき、その産物である写真も素直に受け入れることができるのでは、といま私は考えます。

写真を撮るにも撮られるにも愛が介在していたなら、写真を理解することに必要なのも愛だったのだな、とここで初めて気がつきました。

「写真は愛」だなんて言うと薄っぺらく聞こえるでしょうか。
なんだかむず痒いような気持ちにもなりますが、そうとしか言いようのない「写真」が存在することに、「アイドル」を通して私は気づきました。

あなたが今度「いいな」と思える写真に出会ったとき、その写真に関わる愛について、思いを巡らせてみると面白いかもしれません。

そのときはその写真を私にも、教えてもらえたら嬉しいです。

【プロフィール】
一色 萌(ひいろ もえ)

ニックネーム:萌ちゃん、萌氏、誕生日:5月27日、出身:東京都、血液型:A型、趣味:アイドル研究、特技、アイドルについて話すこと
WALLOP放送局「キスエクのギュッと!プログレッシヴ!」レギュラー出演中(2018.4〜)

<一色公式Twitter> https://twitter.com/hiiro_moe
<公式Twitter> https://twitter.com/xoxo_extreme
<取材・オファー等> Email : contact@twelve-notes.com

【グループプロフィール】
xoxo(Kiss&Hug) EXTREME(キス・アンド・ハグ・エクストリーム 通称:キスエク)
楠 芽瑠・一色 萌・小日向 まお・小嶋 りんの4名からなる、プログレッシヴロック(略:プログレ)の楽曲を中心にパフォーマンスしているアイドル。プログレとは、曲調がよく変わる・曲が長い・変拍子…等が特徴の楽曲です。

2017年に、発売したシングル「えれFunと”女子”TALK〜笑う夜には象来る〜」に対して(キング・クリムゾン「エレファント・トーク」オマージュ)元キング・クリムゾンのエイドリアン・ブリューがその動画に「I like it!」とコメントで絶賛。

ライブ活動の他、ディスクユニオン新宿プログレ館で一日店員を務めたり、プログレファンの聖地である吉祥寺シルバーエレファントに、アイドルとして初出演。

2018年にフランスを代表するプログレバンドMAGMA公認カヴァー曲の「The Last Seven Minutes」を初披露。その動画がyoutubeにアップされると、カヴァーを公認したMAGMAが、公式Facebookで紹介したこともあり、一日で2000以上の再生数を得て話題になる。

同年2月4日に記念すべき初のワンマンライヴを鹿鳴館にて開催。プログレッシヴロックを知っている人も知らない人もも楽しめるLIVEと評判だ。


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