■ドマイナー市場にある幻の逸品
東京築地市場以外にも、都内には青果、精肉、水産市場がいくつも存在し、その周辺には市場の男たちの舌をうならせる、絶品メニューと店が存在する。今回紹介するのは、東京足立区にある中央卸売市場足立市場内にある、しいはし食堂。
足立市場は築地市場よりも歴史が古く、そのルーツは、織田信長がブイブイ言わせていた天正年間にまでさかのぼり、都内城北区や千葉北部、埼玉南部などへ水産物を供給している。その規模にもかかわらず、築地に対してはドマイナーなポジション。
■昭和11年創業の食堂の隠れ人気メニュー
昭和11年(1945年)に創業したという同食堂が、われわれ観光客むけではなく、市場内の男たちに提供しているのが「あいがけ」(700円)だ。
「ここの牛丼がそもそも絶品。あいがけは築地にも有名な店あるけど、こっちのがぶっちゃけ圧勝の美味さです」(食堂客でいた卸売人)
■肉の味がハンパなく濃い
豚肉がたっぷりでコクのあるカレー、そしてたっぷりの極太糸コンニャクと煮こまれて肉の濃い味がする牛肉、これがみっちりと盛られたごはんにかかっている。つけあわせは、べったら漬けだ。
足立市場は水産市場であるのだが、しいはし食堂の飯にはいっている肉は、味が濃くて美味い。牛丼チェーンの牛がトイレットペーパーなら、極厚ダンボール。ムギュッとはねかえす肉に強さがあり、濃厚な味わいだ。
そしてそんなカレーと牛が同時にかかっているんだから、このあいがけ、間違いなく絶品だ!
■市場食堂は魚より肉が美味い?
我々観光客が行くと、ついつい魚のメニューを頼んでしまう。
「いや、俺ら商売人は場内の食堂で、あんまり魚は食べないです。肉がやっぱり多いんですよね(笑)」(同前)
なんて声も。市場の食堂にでかけたら、まわりの本職の人たちが食べてるものを真似してみるといいのかも? ちなみにこのあいがけを教えてくれたのも、隣に座ってビール飲んでた卸売人のおじさんでした。田中さん、原稿に書きましたよ、ありがとうございました〜!(自分の名前を載っけておいてくれ、とのリクエストだったので)
しいはし食堂/東京都足立区千住橋戸町50 足立市場内
文/関本尚子