夏の“ヒリヒリ”名物にヤバメなエピソード
夏になって蚊をはじめとした虫さされで活躍するのが医薬品キンカンだ。夏になんとなく自分の下半身にキンカンを塗って、痛みに悶絶した経験がある人も多いだろう。だが、キンカンの歴史をひもといて見ると、さらに痛々しい話があるわけで…。
キンカンを作ったのはキンカンを発売している株式会社金冠堂の創業者・山崎榮二氏。衛生兵として働いていた経験をいかして外用薬研究に打ち込んだ。そして1925年に万能外用薬キンカンを発売している。
発明者は人前で、腕に熱湯をかけて…
実はキンカンは当初、やけどに効く薬として販売されていたのだ。そしてこれからがすごい。山崎氏は、自らの腕に熱湯をかけ、やけどをした後にすぐにキンカンを塗るという実演販売を行い、全国に知名度をひろめていったのだ。
こんな身体をはった実演販売、現在では考え難い話だ。しかしこれを「変」と嘲笑うのは間違っている。キンカンを発明したそもそもの理由は、山崎氏の姉の子供がやけどで亡くなった無念さから来ているのだ。人々を癒す薬を作りたいという氏の思いが、発明と実演販売につながっているというわけ。
かつては効能にやけども入っていたものの、2014年現在では「虫さされ、かゆみ、肩こり、腰痛、打撲、捻挫」となっている。夏の風情の一つとも言えるキンカン、その歴史には意外な裏側があったのだ。
文/鷹村優