RTD市場の高アルコール旋風は止まらない。ついに新ジャンル市場では最高レベルとなる『サッポロ LEVEL9贅沢ストロング』が本日登場する。だがしかし、いくら強くても美味しくなければ意味がない。この新商品は、世のお父さんたちの舌を満足させてくれるのか?
9パーでプハー! 高アルコール新ジャンルに、コスパ度最高の”9パー”登場
ビールテイスト飲料の「新ジャンル」は市場を縮小している。昨年のビール系飲料(ビール、発泡酒、新ジャンル)の課税出荷数量は前年比で2.6%減となり、その市場は縮小の一途をたどっている。
そんな中、各メーカーが新ジャンルのテコ入れ策として打ち出しているのが「高アルコール戦略」。通常5%ほどのアルコール度数を7~8%にアップさせ、低価格が売りの新ジャンルに「早く酔えることによる高コスパ」を前面に打ち出している。
この高アルコール路線に乗らず、新ジャンルの主力「麦とホップ」もアルコール度数を上げていないサッポロビール(東京都渋谷区)だったが、満を持して今日(2018年6月5日)、新商品を市場に投入する。なんと新ジャンル史上初のアルコール度数9%という『サッポロ LEVEL9贅沢ストロング』(350ml缶/500ml缶・オープン価格・2018年6月5日発売)だ。
RTD(Ready To Drink=フタを開けたら、そのまますぐ飲めるアルコール飲料)市場はストロングRTD旋風が吹き荒れており、アルコールが強くて飲みごたえのある商品に人気が集まっている状況を座視できなかったのだろう。しかも商品名に「贅沢」と謳い、大麦を使用したりホップを2分割添加してフレッシュな香りを加えたりと、素材の良さを引き出してビールらしい旨さを両立させたという。
原材料は発泡酒に大麦から作られたスピリッツを加えるという新ジャンルの王道。ここで言うべきかどうかわからないが、新ジャンルが高アルコール戦略を取りやすい理由は、このスピリッツをどれだけ加えるかによってアルコール度数の高低を決められるからなのだろう。
裏を返せば、アルコール度数が高くなればなるほど、ビールの味から遠ざかるということになる。それでは、この「サッポロ LEVEL9贅沢ストロング」は、しっかりビールの味と強さが両立できているのだろうか。飲んでチェックしてみる。
アルコールの強さとビール感は両立しない!?
グラスに注いでみる。泡立ちの感じはビールそのものだが、中身はビール特有の黄金色から少し琥珀色がかっているように見える。これがスピリッツの含有量が多くなったことによる濃さなのだろうか。
ひと口飲んでみると、確かにアルコール度数高めなのが第一印象からも感じられる。飲み進めると、これはスピリッツの味なのだろうか、ほんのり甘さを感じる。そして半分程度で酔いを自覚した。やっぱり「ストロング」というだけあって、強いなあという印象を受けた。酒に弱い人は、ちょっと注意したほうがいいレベル。
というわけで「サッポロ LEVEL9贅沢ストロング」を飲んでみたのだが、ビール党の記者にとっては「これはビールなのか?」という感覚を払拭することができなかった。だって普通は5%あたりがビールは通常度数。やはりスピリッツを多く加えたことで、印象がビールから遠ざかるのも当たり前といえば当たり前。「ノンアルコールビールに強いアルコールを入れた飲み物」とイメージしてもらえれば理解が早いかもしれない。
ただ、もちろんビールの風味は感じることができるし、ガツンという高アルコールの飲みごたえも文句はない。30~40代男性で「とにかくお金をかけずに早く酔いたい」という層なら満足できる仕上がりになっていると思う。