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事務職はなくなるのか――ILOが名指しした「最初の仕事」と、就職率98%の日本

ILOが2026年8月の報告で減少を名指ししたのは、事務・管理・販売・製造だった。若者が最初に就く仕事である。

ILOが名指ししたのは、事務・管理・販売・製造だった

国際労働機関(ILO)が2026年8月11日に発表した報告書には、「Back to the future」という副題がついている。

そのなかでILOが減少を指摘したのは、事務・管理・販売・製造といった中スキルの職だった。この4つには共通点がある。中等教育や大学の卒業生が労働市場に入るときの入口として、長く機能してきた仕事だという点だ。逆に科学・工学・医療・情報技術といった高スキル分野は、多くの国で拡大を続けている。減っているのは真ん中である。


では「AIに取られる仕事」はどれくらいの規模になるのか。ILOの推計では、15歳から29歳が現に就いている職の6.1%が、AIによる変化の影響を最も受ける職種にある。仮にそのうち1割が完全に消えた場合、560万人の若者が失業や転職、労働市場からの退出に直面するという。その大半は高所得国の若者だ。

ここは正確に読む必要がある。ILOが書いたのは「影響を最も受ける職種にある」であって、消えるとは書いていない。560万人という数字にも「1割が完全に消えたら」という条件がついている。ILO雇用・技能・持続可能な企業局長のSukti Dasgupta自身が、こう留保をつけている。「雇用への直接の影響はまだはっきりしない」。そのうえで彼女は続ける。「だが、私たちは油断してリスクを過小評価してはならない。若者が変化に適応し、新しい機会をつかめるよう、技能・生涯学習・社会的保護への投資を強めなければならない」

世界の若年失業率は12.4%になった

構造の変化は、統計にどう表れているか。世界の若年失業率は2025年に12.4%となった。2023年は12.3%だったから、上げ幅は0.1ポイントにすぎない。

数字が動いたのは、むしろ別の指標だった。就学も就労も職業訓練もしていない若者、いわゆるNEETの割合が20%に上がり、その数は2億5,700万人を超えている。失業者は6,700万人である。失業率がほとんど動いていないのに、労働市場の外側にいる若者は、失業者の4倍近い規模で積み上がっている。

範囲も広い。2023年から2025年にかけて、世界11のサブリージョンのうち8つで若者の状況が悪化した。高所得国でも、低中所得国でも、低所得国でも起きている。地域別に見るとアラブ諸国が26.2%で最も高く、北アフリカが22.6%、北欧・南欧・西欧が15%と続く。北欧・南欧・西欧では、報告のあった29か国のうち20か国で見通しが悪くなった。

先進国も例外ではない。北米の若年失業率は2023年の8.3%から2025年には9.8%に上がっている。一方で低所得国と低中所得国では、若い労働者のほぼ9割が非公式な形で働いている。同じ「若者の雇用」という言葉でも、指しているものが国によってまるで違う。

日本の大卒就職率は98.0%だった

日本に目を移すと、風景が反転する。

2026年春に卒業した大学生の就職率は、4月1日時点で98.0%だった。文部科学省と厚生労働省が2026年5月22日に共同で発表した数値である。1997年に調査が始まって以来、2番目に高い。最高は2024年の98.1%で、2025年とは同水準、コロナ禍前の2018年とも並ぶ。コロナ期の2022年には95.8%まで落ちたが、そこから緩やかに戻してきた。


98.0%である。世界で入口が狭くなっているあいだ、日本の入口は開き続けていた。日経新聞は、人手不足を背景に学生優位の「売り手市場」が続いていると報じている。

ここまでを並べれば、日本だけが無風に見える。

入口が開いていることと、若手が育つ梯子があることは違う

ただし、日本の入口が開いているのは人手不足のためである。AIが若者に優しいからではない。人口動態が生んだ余白であって、この先も梯子が残っている保証にはならない。

マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究科学者で、MITのイニシアチブ・オン・ザ・デジタル・エコノミーを共同で率いるAndrew McAfeeは、ハーバード・ビジネス・レビューのインタビューで、難しい知識労働の身につけ方をこう説明している。「それが得意な誰かの、単純な作業を手伝うことによって」覚えるのだ、と。そして問う。「仕事のやり方を、実地で学ぶこと以外のどこで人は学ぶというのか。見習いとして訓練を受ける以外に」


その「手伝うべき単純な作業」を多く含む職が、事務であり、管理であり、販売であり、製造である。ILOが減少を名指ししたのと、まったく同じ4つだ。入口の職が減るということは、新人が就く仕事が減るというだけでは終わらない。先に行く人の手伝いをしながら覚えるという、覚え方そのものが減るということでもある。

McAfeeの警告はそこに向かっている。「そこにあまりに多くの自動化を、あまりに速く入れてしまうと、私たちは見習いの梯子を失う」。彼が心配しているのは今年の採用人数ではない。人材の供給源を断つことが、明日の指導者を生む流れそのものを壊す点にある。

門が開いていることと、その先に上る段があることは、別々に確かめなければならない。日本の98.0%が保証しているのは、前者だけである。

ILO事務局長のGilbert F. Houngboは、報告の発表にあたってこう述べた。「まともな仕事を見つけられない世代は、自信をもって将来を築くことができない。若者が質の高い雇用から締め出されると、国は才能と生産性と社会の結束を失う。若者のためにまともな仕事をつくることは、社会的な要請であるだけでなく、国ができる最も賢い投資のひとつだ」

事務職はAIでなくなるのですか

ILOが指摘したのは、事務・管理・販売・製造といった中スキルの職が減少しており、それらが卒業生の入口として機能してきたという事実である。15歳から29歳が就いている職の6.1%がAIの影響を最も受ける職種にあるとされたが、これは「影響を受ける職種にある」という推計であって、消えるという断定ではない。560万人という数字にも「そのうち1割が完全に消えた場合」という条件がついている。ILOのSukti Dasgupta自身が「雇用への直接の影響はまだはっきりしない」と留保している。

AIの影響を受けやすいのはどんな仕事ですか

ILOの報告で減少が指摘されているのは、事務・管理・販売・製造といった中スキルの職である。これらは中等教育や大学の卒業生が労働市場に入る際の入口として長く機能してきた。逆に科学・工学・医療・情報技術といった高スキル分野は、多くの国で拡大を続けている。

日本の新卒採用の状況は世界と比べてどうですか

2026年春に卒業した日本の大学生の就職率は、4月1日時点で98.0%だった。1997年の調査開始以来2番目に高い水準である。世界の若年失業率が2025年に12.4%へ上がったのとは逆の動きだが、その背景にあるのは人手不足であり、学生優位の「売り手市場」が続いていることによる。

編集部: