「砂糖とりすぎ」が認知症リスクを43%高める? 最新研究が警鐘、遺伝子との関係も

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「認知症は高齢者の病気」と考えられがちですが、その病根は、症状が現れる何十年も前から、静かに育まれている可能性があります。

中年期に「何を食べるか」が、将来の脳の健康を大きく左右するかもしれない――。そんな事実を示唆する、イギリスの大規模な長期追跡調査の結果が発表され、大きな注目を集めています。特に、私たちが普段口にする「砂糖」の摂取量が、重要な鍵を握っているようです。

英15万人調査が発見した「砂糖」と「認知症」の密接な関係
この研究は、中国の研究チームが、英国の巨大な健康調査データベース「UKバイオバンク」のデータを活用して行われました。50代半ばを中心とする約15万8000人の食生活と健康状態を、10年近くにわたって追跡調査したものです。

その結果、驚くべき関連性が見えてきました。

添加糖の摂取量が最も多いグループは、最も少ないグループに比べて、認知症を発症するリスクが43%も高かったのです。

「添加糖」とは、清涼飲料水や菓子、パンなどに後から加えられる砂糖やシロップのことです。

果物や乳製品に含まれる「天然の糖」も、リスク上昇と多少の関連は見られましたが、その影響は添加糖ほど大きくはありませんでした。

この結果は、特に中年期における過剰な砂糖摂取が、将来の認知機能に深刻な影響を与える危険性を示唆しています。

リスクを増幅させる「遺伝子」の存在

さらに、この研究の興味深い点は、砂糖の影響が誰にでも同じように現れるわけではない、と明らかにしたことです。

分析の結果、特定の遺伝的特徴を持つ人々は、砂糖の摂取による認知症リスクがより高まることが分かりました。特に、腸内細菌に関連する遺伝子が、その感受性の違いに関わっているようです。

つまり、「砂糖を摂りすぎると、人によっては他の人よりも強く脳の健康に悪影響が出てしまう」という、遺伝子と食生活の相互作用が示されたのです。

私たちができること、そして研究の注意点

今回の研究結果は、私たちに重要な教訓を与えてくれます。それは、認知症のリスク要因の中には、食生活のように「自分で調整可能なもの」がある、ということです。

特に、甘い飲み物やお菓子に含まれる「添加糖」を減らすことは、ほとんどの成人にとって賢明な選択と言えるでしょう。遺伝的にリスクが高い可能性のある人にとっては、その重要性はさらに増します。

甘いものを完全に断つ必要はありません。添加糖の影響が大きかった一方で、果物に含まれる天然の糖の影響は比較的小さかったのですから、デザートには果物を活用するのが良い選択肢です。

もちろん、この研究にはいくつかの注意点もあります。
まず、これは砂糖と認知症の「関連性」を示したものであり、砂糖が直接の原因であると「証明」したものではありません。また、調査対象者の約9割が白人であり、健康意識も平均より高い人々だったため、この結果がすべての人種やグループに同じように当てはまるとは限りません。

今回の研究は、50代の食生活が、その後の長い人生における脳の健康を左右する可能性があることを、改めて浮き彫りにしました。

遺伝的な要因は変えられませんが、食生活は私たち自身がコントロールできます。将来の自分のために、今日から少しだけ「添加糖」を意識してみる。それが、認知機能の健康を長く保つための、シンプルで賢い第一歩になるのかもしれません。

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