「運動部に入ると勉強がおろそかになる」なんて言われることもありますが、実は 運動部出身者の方が、キャリアで成功し、高収入を得る傾向がある という研究結果が発表されました。
エリート大学出身者40万人追跡調査
全米経済研究所(NBER)が発表したこの研究では、1970年から2021年にかけて、ハーバード大学などの名門アイビーリーグの大学に通っていた 運動部出身者と非出身者、計40万人のキャリアを追跡調査 しました。
その結果、運動部出身の学生は、卒業後に金融やビジネス関連の仕事に就く可能性が有意に高く、エリート機関のMBAを取得する可能性も統計的に高いことがわかりました。
さらに、運動部出身者は、そうでない人に比べて、 より高い役職に就き、より高い収入を得る傾向 がありました。
運動部出身者は生涯賃金で約2700万円も多く稼ぐ!
具体的には、運動部出身者は、キャリアを通じて 平均182万ドル(約2億7000万円) の累積賃金を稼ぎ、年収はピーク時に13万5000ドル(約2000万円)に達しました。
一方、非出身者の累積賃金は160万ドル(約2億4000万円)、ピーク時の年収は12万6000ドル(約1870万円)でした。
つまり、運動部出身者は、非出身者よりも生涯賃金で22万ドル(約3300万円)も多く稼いでいる ことになります。
なぜ運動部出身者は成功しやすいのか?
これは、運動部で培われる チームワーク、コミュニケーション能力、そして dedicated な姿勢 といったスキルが、ビジネスの世界でも高く評価されるためと考えられます。
実際、LinkedInのプロフィールを分析した結果、運動部出身者は、非出身者に比べて、マネジメント、リーダーシップ、戦略的計画 などのマネジメント関連のスキルを高く評価されていることがわかりました。
経済状況に関係なく、運動経験は有利に
興味深いのは、経済的に恵まれない家庭出身の運動部出身者ほど、LinkedInでマネジメントスキルを高く評価されている という点です。
このことから、運動経験は、出身家庭の経済状況に関係なく、キャリアの成功にプラスに働く といえるでしょう。
CEOにも運動部出身者が多い!
NBERの理論は、現実の世界でも確認できます。アメリカのトップCEOの中には、学生時代にスポーツをしていた人が多くいます。
例えば、IBMの元CEOである Samuel J. Palmisano 氏、Whole Foodsの元CEOである Walter E. Robb 氏、ボーイングの元CEOである James McNerney 氏などが挙げられます。
eBayの元CEOで、現在はケニアの米国大使を務める Meg Whitman 氏は、著書の中で、役員会議でスポーツ用語を使うことがあると述べています。
また、バンク・オブ・アメリカのCEOである Brian Moynihan 氏は、学生時代にラグビーをしていた経験が、CEOとしての成功に影響を与えたと語っています。
この研究結果は、運動部活動が、単に体力向上や健康促進だけでなく、キャリア形成においても重要な役割を果たす ことを示唆しています。
もちろん、すべての運動部出身者が成功するわけではありませんし、勉強をおろそかにして良いというわけでもありません。
しかし、運動部活動を通じて得られる経験やスキルは、将来のキャリアに役立つ可能性が高いと言えるでしょう。