バブル崩壊後の1990年代から2000年代という雇用環境が厳しい時期に、卒業し就職活動を行った人たちがいわゆる就職氷河期世代。正規雇用の機会に恵まれなかった、そんな世代に向けて、厚生労働省が就労や社会参加を集中的に支援しているのだが、その内容については知られていない部分も多いのが実際だ。
現在、厚生労働省は、コロナ禍での孤独や孤立の増加や、多様化する時代背景を踏まえ、「ひとりじゃない。ひとつじゃない」をキーワードとして特設サイトを開設。求人の紹介や職業訓練のあっせんを行う「ハローワーク」、コミュニケーション講座など働く前の準備からサポートする「サポステ」、ひきこもり支援など、様々な問題に合わせた専門窓口や具体的な支援内容を紹介している。
そして、支援の実態についてより多くの人に知ってもらうために制作された、佐々木蔵之介さんを起用したスペシャルWeb動画は非常に興味深い内容で、10月下旬の時点では13万回再生を突破している。
たとえばハローワークというと、失業した際に新しい仕事を探しに行くというイメージだが、実際には様々な活動を行っている。たとえば非正規雇用など、不安定な仕事に就いている人たちに向けて、正社員就職などを目指した無料の支援活動もある。
正社員で就職するためのアドバイスや求人を探したり、応募書類の添削、キャリアチェンジ希望者には職業訓練なども行っている。
動画内のハローワークスタッフのインタビューによれば、同施設に訪れる人は、正社員で働いたことがない、非正規雇用を繰り返してきた方が多く、これから正社員で働けるのか、不安に思っているという。そんな人に対しては、ハローワークでは今までの経験や活かせる部分などをカウンセリングするなどして、前向きになって正社員に応募してもらう、そんな支援をしており、ハローワーク以外で就職活動している人たちにも訪れてほしいとのこと。
ハローワークの支援例は他にも、就職氷河期世代専門窓口、就職氷河期世代向けセミナー、職氷河期世代限定・歓迎求人、希望する仕事のためのスキルや知識の習得、応募書類の作成支援や面接指導、就職後のサポートなどがある。
また何らかの理由により、悩みや課題を抱えていて、現在仕事をしていない方に対しては、全国にある地域若者サポートステーション(サポステ)が、就労支援、就職のための準備から職場定着・ステップアップまでの継続的な支援を行っている。
サポステの支援例は、専門的な個別相談支援があり、人と関わるのが苦手な人に対してはコミュニケーション講座、自分に合った仕事を探すジョブトレ(就業体験)、社会人としてのマナーを学ぶビジネスマナー講座、きめ細かい就職支援、就活セミナー(面接等指導)などがある。
動画によれば、サポステの就業体験などは、働いたことがない人は、そもそも働いた現場を見たことが無い場合もあるため、そのような実際的なものになっているという。
働いていない人の中には、今何をしていいのかわからないという人も多く、そんな人に対しては興味検査、適性検査で自分の良さを知っていくといった取り組みも行っているほか、「就職後も一人で悩まずサポステを頼って」と送り出しているという。
そして、何らかの理由により現在仕事をしておらず、ひきこもり期間が長い人や、安心出来る居場所が欲しい人、働きたいけれども働くのが不安な人に対しては、ひきこもり地域支援センターや自立相談支援機関がある。これらの施設では社会参加に向けた幅広いサポートを行っているという。
ひきこもっている人に対しては、本人が望む自立のあり方を理解して、自立した社会生活が継続できるように支援。他者との関わりになれてもらい、自分でできることを増やすというステップアップを用意するだけではなく、そもそも本人が働きたいのか、働ける状態なのかを確認するといったことにも寄り添ってくれるという。
非常に興味深い動画内容となっているので、就労について悩みのある方は、ぜひともチェックしてみて欲しい。