一色萌のアイドル、色々。第 33回 「アイドルとインターネットの距離感」

こんにちは。プログレアイドル・XOXO EXTREME(キスアンドハグ エクストリーム。通称・キスエク)の一色萌(ひいろ・もえ)です。

あっという間に2月に入り、少しずつ暖かい日が増え、花粉症の皆さんの悲鳴があちこちで聞こえ始めました。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

最近の私はというと、再度の緊急事態宣言でライブがいくつか中止になってしまった分、レッスンに励んで現体制で出来る曲を増やしつつ歌やダンスの基礎トレーニングに励む毎日です。

ここ最近で、何か変わったことをしいて挙げるとすれば、トークのお仕事をいただく機会が増えてきたように感じています。

もともと話すことは好きな反面あまり得意ではないので、いつも何かまずいことを言ってはいないかとドキドキしながらの出演になるのですが、以前から憧れていた方と引き合わせていただいたり、今まで触れたことのない世界のお話を聞くことができたりと、色とりどりのライトが照らすステージとはまた別の豊かな時間を過ごすことができるので、私はトークが好きです。

様々な機材や何人ものスタッフさんの手を借りないと成立しない音楽イベントと比べると、トークは少ない機材と人手でできる反面、お話だけで観客の皆さんに満足していただけるものを提供しなくてはいけないという独特の難しさがありますが、最近やっとその辺りも少し楽しめるようになってきたような気がします。

先日「ライター入門、校正入門、ずっと入門。」というイベントに出演させていただく機会がありました。
このイベントはライターさんと校正のプロの方にお話を伺い、そのお仕事に対する理解を深めるという趣旨のものですが、そんな文章を扱うプロの方の中に私がぽんと放り込まれる形で、誰よりも私自身が「なぜ?」と思いながらあの場に座っていたと思います。

アイドルとしてお声かけいただいて、アイドルさんとの中でお互いにキャラクターを探ったり探られたりしながら話題を広げていくタイプのトークイベントとは明らかに毛色が違い、イベント自体に「ライター・校正という職業への理解を深める」という明確な目的があるというのも新鮮で、お話の内容もイベントの形式としても大変勉強になりました。

ただ、文章にまつわることを生業としている方々と実際にお話ししたことで、自分の文章を読まれたら……と思うとキーボードを叩く手が心なしか強ばるようになりました。プレッシャーに弱い。。
しかしそんなことばかり言ってもいられないので、拙文ながら今回も、こうして文字を綴らせていただきたいと思います。

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アイドルの活動において、インターネット上での活動が重要になったのは今に始まったことではありません。
しかし目下の「新しい生活様式」において、その重要性は以前の比ではないほどに跳ね上がりました。

人によっては家族や友人よりも過ごす時間が長いと言えるほど濃密な、アイドルとファンの関係性を担保していたリアルイベントが以前のように開催できないとなると、ライブを活動の中心としていたアイドルにとってインターネット上での自己表現やSNSを通じたコミュニケーションは「サービス」や「おまけ」的な位置付けから、一気に「命綱」に変わりました。

ライブで歌って踊る代わりに写真や文章を載せ、握手会やチェキ会で言葉を交わす代わりにコメント返しをする。
SNSでの交流が苦手なタイプのアイドルさんにとってはなかなか辛い状況だと思いますが、今となってはSNSに「やってもいい、やらなくてもいい」という余地はほとんどなく、自己を表現する手段として「どれを使うか」という選択問題(※複数選択可)になったと感じています。

Twitter、Instagram、Facebook、LINE、TikTok、YouTube、SHOWROOM……サービス名を上げたらキリがありませんが、各々がよりのびのびと自己表現できる場所を探してとりあえず色々と試しているというのが、今の状況かなと思っています。

最近は、Clubhouseという音声SNSが大きな話題になっています。

私は登録していないので利用している方からの伝え聞きですが、誰かと誰かの音声チャットをラジオのように聞いたり、その会話に参加したりすることが可能なサービスのようです。

黎明期のmixiのように招待制でしか登録ができない仕組みである、また、そこで聞いた内容は他言無用であるなど、外からはその内情が見えにくいという点がさながら秘密の集会のようで、このサービスの大きな特色とも言えます。
私のTwitterタイムラインでも頻繁に、登録したよ、という報告をお見かけしました。

そうしてだんだん登録している人が増えてくると、いずれ「あなたはClubhouseやらないの?」と訊かれる時がくると思います。
まだそんな質問はされたことがないし、招待されてもいないけれど、自意識過剰と思われるかもしれないけれど。
あえてむなしい先回りをして答えるならば、現状では「ノー」です。

個人的にいま登録をしない一番の理由は「小学生の時から変えていない電話番号とアカウントが紐づいてしまうのが怖いから」ですが、いちアイドルとしての視点に立って考えてみると、あるサービスを使う・使わないという問題に関しては個人個人のスタンスが関わっているような気がします。

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それぞれのサービスに特徴があり、一長一短がありますが、私がアイドル一色萌として利用しているサービスは主にTwitterとInstagramです。
公式はTwitterだけというアイドルさんも少なくありませんが、最も多数派のサービスふたつ、といった具合でやや保守的なラインナップです。

私はアイドル活動を始める前にもTwitterを利用したことがあり、アイドルのTwitterをたくさん見てどんなものかということもあらかじめおおよそ分かっていたので、特に何の疑問も違和感もなく、与えられた公式アカウントを使い始めました。

自分がなりたいと思うアイドル像を壊さないように、また時にはそこに近づけるように、二十数年生きてきた「萌ちゃん」とアイドルの「萌氏」の間でバランスを取りながら写真や文章を日々更新しています。

ですが、そんな感じで次々と新しいサービスが話題になるたびに公式アカウントを与えられたらどうなるかなと考えてみると、きっと私には使いこなせないだろうなぁ、と思います。

私のようにあまり強いキャラクターがあるわけでなく、目の前の相手に合わせに行くタイプのコミュニケーションの取り方をする人間は、きっと多くのサービスに手を出しすぎるとそれぞれの特性を生かした投稿をしようと意気込みすぎて、なけなしの個性が死ぬだろうな、という想像が容易にできます。

つまるところ、どんなプラットフォームにも瞬時に適応して私なりの表現活動ができるというほど、まだ私の中での「一色萌」の練度は高くないため、無闇に手を広げると全てが中途半端になる可能性があるのです。

どんな場所でも胸を張って自分を表現することができると言えるような自信と勇気が持てたら、こんなことをずるずると考えなくても済むのでしょうが、今はまだその甲斐性は持ち合わせていないようです。

また、個人的にアイドルの発言・写真・創造物等のコンテンツはすべての応援する人に平等に提供されるべきだという持論のもと、誰かが見られない・もしくはうっかり見逃してしまう可能性の高いサービスはあまり気が進まない、という事情もあったりします。

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新しいサービスが登場して広がっていくのを目の当たりにすると、その流れに乗らないことは時代から取り残されるような、とても怖いことのように感じる瞬間があります。

自分自身が商品であるアイドルは、今まさに生きている時代の流れに敏感である必要があります。
その場その場での自分の選択や立ち居振る舞いが、そのままアイドルとしての自分の価値を左右しかねないからです。

実際に時代の流れに乗り遅れて後悔するパターンもないとはいえないので、新しいものには常にいち早く触れていたい!というのならば、まさに今が旬のS N Sを積極的に取り入れるべきでしょう。
しかし多くのものに手を出しすぎて、その子のもつ魅力やコンテンツが分散されて薄まってしまっているのを見ると、お節介を承知で勿体ないなぁという想いがよぎります。

そのサービスは自分に合っているかどうか。
あまり合わなさそうなら、少し様子を見てみる。
何となく流されてしまう前に、そうして少し立ち止まって考えてみるのもいいんじゃないかなと私は思います。

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私がインターネットに初めて触れた頃(10年前くらいでしょうか)、「前略プロフィール」や「個人ホムペ」がとても流行っていて、クラスの誰もが自分のホームページを持っていました。

好きな写真をバナー用に加工して、気に入ったフリー素材サイトをブックマークして、だんだんとHTMLタグを使いこなせるようになり、あの子もこの子も、いつの間にか凝ったデザインの「ホムペ」を自然と作ることができるようになっていきました。

今のSNSほど機能は充実していなかったし、コミュニティも狭く、自由度は低かったはずなのに、そこにはその人の全てが凝縮されているような気がして、訪問者数のカウントバナーのデザインや何気ないボタンの色合いから、何でも知っているような気分でいた友人の意外な一面が見える感覚が好きでした。

リアルタイムで今何しているのかを更新したり、写真ばかり載せているページがあったり、チャット機能で連絡を取ったり……今思うと、最近流行っている様々なSNSの集合体があの「ホムペ」だったような気がします。

今よりも好きなものとは距離が近くて、その他のものとは距離があった。
思い出補正が入っているという自覚はありますが、あの時は今よりも気楽にインターネットを楽しんでいたなぁ、と思い出すことがたまにあります。

たくさんの人々の努力によってサービスが増え、選択肢が増えた今、ひたすら網羅して受け手に回る使い方ではきっと疲れてしまいます。

過去や現状に固執しすぎず、周りの意見に流されすぎず、自分の目で見極めたちょうどいい距離感でインターネットと付き合っていきたいものです。

【プロフィール】 一色 萌(ひいろ もえ)

ニックネーム:萌ちゃん、萌氏、誕生日:5月27日、出身:東京都、血液型:A型、趣味:アイドル研究、特技、アイドルについて話すこと

WALLOP放送局「キスエクのギュッと!プログレッシヴ!」レギュラー出演中(2018.4〜)

https://twitter.com/hiiro_moe

https://twitter.com/xoxo_extreme

https://www.youtube.com/channel/UCA7fn3DZFJGDmlxZZg8WQVA

【活動情報】

一色萌(ひいろもえ)
デビュー7インチ・シングルレコード
「Hammer & Bikkle / TAXI」発売中

XOXO EXTREMEの一色萌が遂にソロデビュー!20年代のパブロック/パワーポップ/モダンポップを追求するNEWアイドルの誕生!佐藤優介Proによる「Hammer & Bikkle」とデフ・スクールの名曲「TAXI」を日本語詞でカバー。何と本家デフ・スクールがバックトラックを新録した奇跡の日英コラボによる7㌅シングル

価格:1,500円+税
レーベル:なりすレコード
品番:NRSP-789

詳細はこちら!
https://upluslive.udo.jp/schedule/20201127.html

Email : contact@twelve-notes.com

【グループプロフィール】

XOXO EXTREME(キス・アンド・ハグ・エクストリーム 通称:キスエク)

一色 萌・小嶋 りん・浅水るりの3名からなる、プログレッシヴ・ロック(略:プログレ)※をモチーフとした楽曲をパフォーマンスしているアイドル。
※特徴として、曲調がよく変わる・曲が長い・変拍子が多い、といった点が挙げられる。

2017年に、発売したシングル「えれFunと”女子”TALK〜笑う夜には象来る〜」に対して(キング・クリムゾン「エレファント・トーク」オマージュ)元キング・クリムゾンのエイドリアン・ブリューがその動画に「I like it!」とコメントで絶賛。

ライブ活動の他、ディスクユニオン新宿プログレ館で一日店員を務めたり、プログレファンの聖地である吉祥寺シルバーエレファントに、アイドルとして初出演。

2019年にフランスを代表するプログレバンドMAGMA公認カヴァー曲の「The Last Seven Minutes」を初披露。その動画がyoutubeにアップされると、カヴァーを公認したMAGMAが、公式Facebookで紹介したこともあり、一日で2000以上の再生数を得て話題になる。
翌2019年には、日本のプログレバンドの雄、金属恵比須とのコラボレーションで、90年代プログレを代表するスウェーデンのバンド、ANEKDOTENの「Nucleus」を公認カヴァー。

同年7月25日には2バンドを擁してのセカンドワンマンライヴを渋谷WWWにて行った。

都内を中心にライヴ活動を行なっており、プログレッシヴ・ロックを知っている人も知らない人も楽しめる、と好評を得ている。

編集部: