こんにちは。プログレアイドル・XOXO EXTREME(キスアンドハグ エクストリーム。通称・キスエク)の一色萌(ひいろ・もえ)です。
雨やくもりでなかなかすっきりしない日が続いておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
梅雨時期のぐずぐずとした天気につられて具合の悪い毎日を過ごしているうちに、いつの間にか紫陽花の旬が過ぎてしまいました。
私の家の近くには小さな神社があり、この時期になると境内にたっぷりと紫陽花が咲きます。
ピンクとブルーの小さな花を眺めなら美勇伝さんの「紫陽花アイアイ物語」を聴くのが毎年の恒例なのですが、今年はし損ねてしまいました。残念。
また来年……と思ったところで、今年の残りがあと半分しかないということに
気が付きました。
思うように活動ができないぶん、なんだか時間が過ぎるのが早く感じます。
マスク・フェイスシールドの着用やこまめな除菌・消毒の徹底、入場人数の制限、声出し禁止、換気タイムなどなど。
新しいルールのもと、多くの人の配慮や心遣いの上で、ライブハウス各所では少しずつお客さんを入れてのライブ営業再開の動きが見えるようになりました。
私たちキスエクも先日、約3ヶ月ぶりにお客さんの前でライブをしたばかりですが、目の前で見ている人がいるのにコールや歓声が聞こえないというのは不思議な感じがします。
それでも直接ライブを見てもらえて、見た人の顔を見ることができるというのはやはり良いものだなと思いました。
惜しむべくはその表情をマスク越しにしか見ることができない点ですが、満面の笑顔やうっすらと涙を浮かべながら見てくれる人の姿を見つけると、顔の半分が隠れているとは思えないほど現場を楽しんでいるという気持ちが伝わってきました。
目は口ほどに物を言うとは、なるほどよく言ったものだなと思います。
ライブができずファンの方にもアイドルさんにも会えない間に、共演したことのあるアイドルさんからも解散や卒業のニュースが相次ぎました。
寂しい気持ちがつのる中、観客有りライブの再開は一際うれしく感じられるものでした。
ライブができる喜びを改めて噛み締めて、この時期を乗り越えた先に思いを馳せました。
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突然ですが。
ふと、”友達”ってなんだろう、という問いが頭に浮かぶことがあります。
一人でいる時に友達のことを考えると、一人である今が強調されるような気がして少し切なくなります。
にもかかわらず今、そんなことを考えてしまうのには、心当たりがありました。
一ヶ月ほど前。5月の末に私は誕生日を迎えました。
もう学生でもないし、連絡を取り合う友達も多くありません。
メールもLINEも相変わらず静かなものでしたが、アイドル活動を始めてからはありがたいことにTwitterでファンの皆さんやアイドルの皆さん、関係者の皆さんからたくさんのお祝いの言葉をいただくようになりました。
嬉しいな、と思いながらリプライ欄に目を通していたその時。
ポン、とLINEの通知音が鳴って、見慣れないアイコンがトークルームの一番上に表示されました。
「今日夢で誕生日おめでとうって言ったの、すごいでしょ」
かわいいクマのスタンプと共に送られてきた親しげな一文の差出人は、2年ほど前から音信不通だった親友でした。
昔から私の”友達”たちは、ある日を境に突然音信不通になってしまうことがよくありました。
そして何年も音沙汰がなかったかと思えば、突然けろっと遊びの誘いが来たりするのです。
あんなに仲が良かったのに、突然連絡が取れなくなってしまうことがある。
だけど仲が良いから、ブランクがあっても違和感なくまた会話を始めることができる。
いつも連絡が途切れてしまうのは決まって相手の方からでしたが、連絡が取れないということを認識しながらも自分からアクションを起こさないという点では、私も類友なのでしょう。
向こうもこちらも、あまり人付き合いが得意とは言えなそうです。
ともあれ、関係性が途切れてしまっていなければ、そのうちどちらからともなく連絡が取れる日が来ると私は信じています。
別れの挨拶をしないまま一生会うことがなかったとしても、きっとそれはそれで良いのです。
いつもつるんでいるわけではなくても、頻繁に連絡をとるわけではなくても、断続的にでも、そうするべきタイミングがあれば関わっていける。
私と“友達”の関係性は、そういったものでした。
少し距離感のある友人関係は私にとって心地の良いものですが、それだけでは寂しく感じることもあります。
長い目で見て素晴らしい友人たちに恵まれていたとしても、いつも一人で過ごしていると、休みの日に一緒に映画を見たり、買い物に行ったり、食事に行ったりできる“友達”はやっぱりほしいなと思う時があるのです。
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アイドル活動を始めてから、「あの子と友達になりたいな」と思うことがとても増えました。
それは共演の機会によく顔を合わせるからということもあるし、単純に気が合うから、趣味が合うからということもあります。
今まで誰とも共有できなかったマニアックな趣味の話でも、アイドルになってからは盛り上がる話題になった!なんてこともよくあります。
しかし、“友達”って、どうやったらなれるのでしょう?
思えば今、私が“友達”だと思っている子でも、仲良くなったきっかけはちっとも思い出せません。
「私たちは友達だよね」なんてわざわざ確認したこともないし、「友達になるぞ!」と意気込んだ覚えもありません。
関わる中で自然と”友達”になったような気がします。
何も考えなければ普通に歩くことができるのに、意識し過ぎて手と足が同時に出てしまうような、そんな感覚。
あの子と仲良くなりたいなと思えば思うほど、話しかけられなくなってしまいます。
こんなジレンマにやきもきしていると、楽屋の隅から「アイドルの友達がほしいけどできない、今まで友達ができなくて悩んだことなんてなかったのに」という声が聞こえてきました。
声のした方へ目をやると、共演のアイドルさんが同じグループのメンバーさんにこっそりと相談をしています。
もしかして、と思いグループのメンバーにも話を聞いてみると、皆大なり小なりの似た悩みを抱えているようで、“友達”について悩んでいるアイドルさんは案外多いのだなと気が付きました。
以前は自然に友達ができたのに。
アイドル活動の中で、私たちはなぜ友達をつくることに苦労してしまうのでしょうか。
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“友達”という響きからは、“家族”ほど限定的ではなく、”恋人”ほど排他的でもなく、”知り合い”よりもいくらか親しげで好意的なニュアンスが伝わってきます。
人と人との関係性を表現する言い回しの中でも、わりとカジュアルに使える言葉という認識です。
ですが適用できる範囲が広過ぎて、人によってその定義はずいぶん異なるような気がします。
親しさのレベルもお互いの認識で差異があるかもしれないし、私は”友達”だと思っているけれど向こうがどう思っているかはわからない……。
そんなことを考えだすと、なかなか“友達”って公称しづらいものです。
基本に立ち戻る気持ちで”友達”という単語を辞書で引くと、以下のような説明がありました。
とも‐だち【友達】
親しく交わっている人。とも。友人。朋友。
元来複数にいうが、現在は一人の場合にも用いる。
仁賢紀「―有りて其の意を悟らずして」。「遊び―」
(広辞苑より引用)
辞書の定義に沿って考えると、学生の時は毎日顔を合わせるクラスメイトや同級生は自ずと関わる場面が多く訪れて「親しく交わっている人」となり、“友達”になっていくのはごく自然なことに思えます。
そして今度はその考え方を今の環境に当てはめてみると、アイドル活動中心の生活においてはよく共演をして、話したり写真を撮ったりするアイドルさんが「親しく交わっている人」の条件を満たす“友達”のような気がしてきます。
特に仲良くしてくださるアイドルさんの中には連絡先を交換して、連絡を取り合ったり休みの日に一緒に遊びに行ったり、もうほとんど“友達”のように関わってくださる方もいて、私のように今までの“友達”との関わり方がそこまで密接なものでない場合は、こちらの方がよっぽど親密にも思えます。
しかし「是非ともお友達になりたい!」と思っていたアイドルさんといざ仲良くなると、今度は「アイドル活動を通じて親しくなった人は友達と呼んで良いのか?」という悩みが出てきました。
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それはアイドル活動=仕事という意識で捉えていて、そこへ“友達”というプライベートな概念を持ち込むことに無意識に違和感を感じてしまうからかもしれません。
例えばグループアイドルの場合、活動する中で最も密接に関わり信頼関係を築く必要があるのはメンバーですが、限りなく“友達”に近い親密さであったとしても、少なくともアイドル活動をする上ではあくまで“仕事仲間”です。
会社に勤めている人が一緒に仕事をしている人に対して仕事場で「私たちは”友達”です!」と言っていたら違和感があるように、アイドル活動を仕事という面で括った時、アイドル現場で出会った人を“友達”と呼びにくいことに説明がつくように思います。
“友達”という関係性を築きにくい場で「友達になりたい!」と思うような出会いが多いというのは、なんだかもどかしいものです。
加えて、今現在私たちが活動しているライブアイドルの世界では、異なるグループや事務所に所属するアイドル同士の交流の様子もファンにとっての楽しみの一つとなっている側面もあります。
誰の手も届かない孤高のスターのようなアイドルさんも素敵ですが、仲の良いアイドルさん同士がSNS上でやり取りをしていたり、オフの日に遊びに行っていたり、特別なライブでコラボレーションをしたりする様子を見るのは私も大好きです。
しかしいざ自分がアイドル側になってみると、これがなかなか難しいのです。
とりわけグループに所属するアイドル同士で出会い・関わる関係性は、当人たちがどんなに私的な気持ちであっても一対一以上の意味が勝手についてきてしまいます。
比較的活動の場が近いアイドルさん同士ならあまりないことかもしれませんが、私がアイドルを始めたばかりの頃、私よりも早くアイドルになっていた“友達”と一緒にアイドルライブを観に行った際に、「界隈の違うアイドルとはあまり仲良くしていることを表に出さないでと言われていて……」と、一緒に撮った写真の顔を隠さなければならなかった事がありました。
その時に、「アイドル同士で個人的に仲が良くても、公に”友達”と言えない場面があるんだな」と思ったことが強く印象に残っています。
所属アイドルのプライベートをどこまで管理・コントロールするかは事務所によって対応が異なるので一概には言えませんが、交友関係までもコンテンツになりうるという現実を肌で感じた、興味深い出来事でした。
(その子はもうアイドルを卒業してしまいましたが、今でも仲良しです!)
アイドルである限りその人はキャラクターとしての自分の精度を高めることを求められますが、素直に「仲良くなりたい」と思った相手がその過程と相容れない場面があったりするのかな、なんて思うと少し寂しい気持ちになります。
私が考え過ぎているのかもしれませんが、アイドル活動をしている子は繊細な子が多いので、そういった部分に気をつかってしまってなかなか交友関係を広げられないというケースは結構多いのではないでしょうか。
ですが一対一でコミュニケーションをとって仲良くなり、グループや活動の垣根を越えたところでも関わっていきたいと思えたなら、私はその関係を“友達”と呼びたいなぁと思います。
相手がそうは思っていなかったとしたらちょっと悲しいですが、今までだって友達であることをいちいち確認したりはしていなかったのだから、きっと大丈夫です。
そこから先の関係性は、本当に気の合う人同士ならば自然と深まっていくような気がするのです。
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“友達”になりたいなぁ、と思うことはアイドルさんだけでなく、ファンの方に対しても思うことがあります。
私がアイドルの世界に飛び込んだ動機の一つには、「アイドルヲタクとしてアイドルヲタクと友達になれなかったから、アイドルとして関わりたい」という想いもありました。
以前、「卒業した後は、ヲタクと友達になりたい」と言い残して卒業していったアイドルさんがいました。
今生の別れの如く感動的な卒業ライブを終えたあとすぐに、彼女は仲の良かったアイドルさんのリリースイベントに自然に足を運び、楽しそうにかつてのアイドル仲間やファンの方たちと話したり笑い合っている姿を見て、アイドル活動の中でそんな関係性を築くことができた彼女の人間的魅力が、アイドルとしての歩みが、その光景全てが、とても羨ましくて、尊いものに見えました。
いつか、私がアイドルではなくなった時。
ステージの上下に関係なく、彼女のように“友達”と呼べる関係性がそこに残っていることを、少し期待しています。
【プロフィール】 一色 萌(ひいろ もえ)
ニックネーム:萌ちゃん、萌氏、誕生日:5月27日、出身:東京都、血液型:A型、趣味:アイドル研究、特技、アイドルについて話すこと
WALLOP放送局「キスエクのギュッと!プログレッシヴ!」レギュラー出演中(2018.4〜)
https://twitter.com/xoxo_extreme
https://www.youtube.com/channel/UCA7fn3DZFJGDmlxZZg8WQVA
Email : contact@twelve-notes.com
【グループプロフィール】
XOXO EXTREME(キス・アンド・ハグ・エクストリーム 通称:キスエク)
一色 萌・小嶋 りん・浅水るりの3名からなる、プログレッシヴ・ロック(略:プログレ)※をモチーフとした楽曲をパフォーマンスしているアイドル。
※特徴として、曲調がよく変わる・曲が長い・変拍子が多い、といった点が挙げられる。
2017年に、発売したシングル「えれFunと”女子”TALK〜笑う夜には象来る〜」に対して(キング・クリムゾン「エレファント・トーク」オマージュ)元キング・クリムゾンのエイドリアン・ブリューがその動画に「I like it!」とコメントで絶賛。
ライブ活動の他、ディスクユニオン新宿プログレ館で一日店員を務めたり、プログレファンの聖地である吉祥寺シルバーエレファントに、アイドルとして初出演。
2019年にフランスを代表するプログレバンドMAGMA公認カヴァー曲の「The Last Seven Minutes」を初披露。その動画がyoutubeにアップされると、カヴァーを公認したMAGMAが、公式Facebookで紹介したこともあり、一日で2000以上の再生数を得て話題になる。
翌2019年には、日本のプログレバンドの雄、金属恵比須とのコラボレーションで、90年代プログレを代表するスウェーデンのバンド、ANEKDOTENの「Nucleus」を公認カヴァー。
同年7月25日には2バンドを擁してのセカンドワンマンライヴを渋谷WWWにて行った。
都内を中心にライヴ活動を行なっており、プログレッシヴ・ロックを知っている人も知らない人も楽しめる、と好評を得ている。