こんにちは。プログレアイドル・XOXO EXTREME(キスアンドハグ エクストリーム。通称・キスエク)の一色萌(ひいろ・もえ)です。
さて。皆さまいかがお過ごしでしょうか。
世界は未だ新型コロナウイルス禍にあり、なかなか収束の兆しが見えません。
テレビを見てもスタジオにいる芸能人の方々が席を離して座っていたり、自宅からの中継や電話で番組に出演していたり、1ヶ月前から比べても随分と状況が変わりました。
政府から緊急事態宣言が発令されたこともあり、ツイッターやインスタグラムを見ていてもご自宅で過ごされている方が多くなったなぁと感じています。
“おうち時間”を少しでも楽しく豊かなものにしようと、たくさんの人が趣向を凝らしながら過ごしているのを見ていると、直接会うことができない状況になってむしろ、人々の生活がより身近に感じるような気がします。
とはいえ、普段外で過ごすことの多かった方はもちろん、もともと室内で過ごすことが好きな方でも、「自分の好きなタイミングで外出することが難しい」というのは、なかなかにストレスがたまる状況だと思います。
部屋で一人、休息をとったり考え事をしたりして過ごす時間は有意義な面もありますが、長時間カンヅメ状態でいるうちに自分の世界で思考の沼にはまってしまい、ネガティブな気持ちでいっぱいになってしまった経験のある方もいるでしょう。
ちなみに私は平時からいつもそんなことばかり考えていたのでこんな性格になりました。
「世界と自分は切り離されている」という感覚は猛毒で、一度この世界に自分は必要ないと確信してしまうと、たまらなく堪え難い気持ちになったりもします。
“おうち時間”を持て余して色々と考え込むうちに、気を病んでしまう方が増えてしまうのではないかということが心配でなりません。
私も精神的に強いほうではないので人のことを心配している場合ではないのですが、アイドルもヲタクも病みやすい生きものですから本当に心配です。
ひどいことにならないよう、考え事はほどほどにして意識的に気分転換をしながら過ごしたいものです(自戒を込めて)。
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多くの人々の日常が大きく変化したように、私たちが生きる「ライブアイドル」の世界における日常もまた、社会の動きに大きな影響を受けています。
3月の末ごろからライブ等イベントの中止や延期が増え、この4月は見聞きする限りほとんど全てのイベントがカレンダーから消えました。
少なくとも緊急事態宣言の効力のある5月6日までは、ほとんど全ての催し物は自粛の向きになるでしょう。
状況によっては、今まで通りにイベントが楽しめるようになるまではもう少しかかるかもしれません。
もちろん人命第一、感染拡大防止に徹することが今すべき最も大切なことであることは大前提として。
しかしながらライブやイベントの開催ができない、直接ライブハウスでファンの皆さんに会うことができないということは、私たちのようにライブを活動の主軸としているアイドルにとってかなりの痛手です。
ここで私が「痛手」と捉えていることは大きく分けて二つあります。
まずは経済的なこと。
そしてもう一つは、アイドルとしての存在の強度が下がってしまうこと。
経済的な問題については、ライブアイドルは基本的にライブ時の物販の収益を主な運営資金としているところがほとんどであるため、シンプルに消耗戦になります。
……と言っても私の立場はあくまで事務所所属のアイドルで、その資金繰りに関しての知識はファンの皆さんと大差ありませんので、ここでは深く扱いません。
今回私が掘り下げたいのは、二つ目の問題です。
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テレビや雑誌で日々元気な笑顔を見せることで日常に寄り添う「地上」のアイドルとは異なり、私たちは直接ライブを見てもらったり、特典会で交流をしたりすることで存在を認められ、アイドルとして認知されます。
衣装を着て、歌って踊り、チェキを撮る。
そういった活動そのものが、私たちを「普通の子」から「アイドル」にするスイッチの役割を果たしていたように思います。
ライブという「ハレ(=非日常)」の機会の喪失は、必然的に衣装を着ることもないしマイクを握ることもない、だれかとチェキを撮ることもない、そういう「ケ(=日常)」の中に私たちを引き戻していきます。
ライブ会場で直接会って存在を肯定しあうという日常が失われた今、他の方法で存在を認め合えなければ、そこでその関係性は断絶し、存在意義は失われます。
徐々に存在はぼやけていき、過去のものになり、その先にあるのは忘却です。
「忘れられること」は終わりを意味します。
アイドル界はいつだって目まぐるしく、たった数週間のことが一年のように感じられることもあるし、一年のことが三年のように感じられることもあります。
大抵の場合、時間は濃縮されていて、普通よりも早いスピードで体感されるのです。
そんなアイドルの世界において一ヶ月半はあまりにも長い空白です。
誰のせいでもない、やむを得ない空白期間です。
誰にも忘れられたくはないし、誰のことも忘れたくありません。
しかし今自分で何かしらのアクションを起こさなければ、きっと忘れられてしまうし、忘れてしまうのです。
では、私たちお互いの存在を確かなものとし続けるために、今なにができるのでしょうか?
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「なかなか会えない人に“アイドル”をどう届けるか」という課題自体は今に出てきたものではなく、なかなか現場に足を運べない遠方のファンや、時差の問題も出てくる海外のファンに向けてのものとしてずっと目の前にありました。
しかし月に十何本、何十本ものライブに出演する中ではどうしても目の前のことに手一杯になってしまい、なかなか腰を据えて考えることができていなかった問題のように思います。
ファンがアイドルの活動を楽しみにしていて、それを日々の活力の源にしているのと同じように、アイドルの原動力もまたファンの応援や感想だったりするわけで、地下/ライブアイドルにおけるアイドルとファンの関係性は持ちつ持たれつです。
アイドルだからこそステージの上から多くの人々の心に触れることができるし、近い距離感で交流できるからこそ個々に信頼関係も築けます。
地下/ライブアイドルの現場は「ある程度の遠さ」と「ある程度の近さ」の絶妙なバランスで成立しているからこそ、リモートでその魅力を十分に伝えるのは難しいのだと思います。
しかしライブ活動ができない今、全ての人が平等に遠い状況において、その魅力をネット上で完結するものとして最適化できるか?
また、どうやって満足感を与え、満足感を得る仕組みを創り出すか?といったことを真剣に考えなくてはいけない局面にきたような気がします。
こういうときに自己プロデュース力やSNSのセンスが試されるなぁと、いろいろと工夫をしながら積極的にSNSの更新や配信をしているアイドルさんを見て勉強する日々です。
今までと状況が変わったとはいえ、全く馴染みのないことを急に始めると受け手にも対応に困ると思うので難しいところです。
とりあえずは今できることを着実に、自撮りを定期的にあげるとかリプライを多めに返してみるとか、配信をこまめにする等して、皆さんとの距離感のバランスを崩さないよう心がけて、何らかの形で活動をし続けていきたいなと思っています。
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ここ数週間で増えてきた配信ライブの流れにならい、先日キスエクもYouTubeで無観客配信ライブを行いました。
もともと主催ライブを行う予定だったものを配信ライブに切り替えたものだったので、観客は東京近郊の皆さんが中心になるだろうと個人的に予想していたのですが、始まってみるとチャット欄は海外からもたくさんのコメントが書き込まれていました。
何事もなく、予定通りに開催していたら観客にはなり得なかったであろう人々にもライブを見ていただけたということは、明るいニュースの少ない最近において思いがけずうれしい出来事でした。
この機会にたくさんの人がたくさんの仕組みを試し、良かった手法が今後も残り、いままで距離のハードルで十分に楽しむことのできなかった人々にも満足してもらえる土壌になっていったとしたら、この期間も無駄にはならなかったなと思えるような気がします。
またいつものようにライブができる日常が戻ってきた時、お変わりない皆さんと会えることを楽しみにしていますので、どうか心身ともに健康にお過ごしください。
【プロフィール】 一色 萌(ひいろ もえ)
ニックネーム:萌ちゃん、萌氏、誕生日:5月27日、出身:東京都、血液型:A型、趣味:アイドル研究、特技、アイドルについて話すこと
WALLOP放送局「キスエクのギュッと!プログレッシヴ!」レギュラー出演中(2018.4〜)
https://twitter.com/xoxo_extreme
https://www.youtube.com/channel/UCA7fn3DZFJGDmlxZZg8WQVA
Email : contact@twelve-notes.com
【グループプロフィール】
XOXO EXTREME(キス・アンド・ハグ・エクストリーム 通称:キスエク)
一色 萌・小嶋 りん・浅水るりの3名からなる、プログレッシヴ・ロック(略:プログレ)※をモチーフとした楽曲をパフォーマンスしているアイドル。
※特徴として、曲調がよく変わる・曲が長い・変拍子が多い、といった点が挙げられる。
2017年に、発売したシングル「えれFunと”女子”TALK〜笑う夜には象来る〜」に対して(キング・クリムゾン「エレファント・トーク」オマージュ)元キング・クリムゾンのエイドリアン・ブリューがその動画に「I like it!」とコメントで絶賛。
ライブ活動の他、ディスクユニオン新宿プログレ館で一日店員を務めたり、プログレファンの聖地である吉祥寺シルバーエレファントに、アイドルとして初出演。
2019年にフランスを代表するプログレバンドMAGMA公認カヴァー曲の「The Last Seven Minutes」を初披露。その動画がyoutubeにアップされると、カヴァーを公認したMAGMAが、公式Facebookで紹介したこともあり、一日で2000以上の再生数を得て話題になる。
翌2019年には、日本のプログレバンドの雄、金属恵比須とのコラボレーションで、90年代プログレを代表するスウェーデンのバンド、ANEKDOTENの「Nucleus」を公認カヴァー。
同年7月25日には2バンドを擁してのセカンドワンマンライヴを渋谷WWWにて行った。
都内を中心にライヴ活動を行なっており、プログレッシヴ・ロックを知っている人も知らない人も楽しめる、と好評を得ている。