一色萌のアイドル、色々。第22回 「アイドルと年齢」

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こんにちは。プログレアイドル・XOXO EXTREME(キスアンドハグ エクストリーム。通称・キスエク)の一色萌(ひいろ・もえ)です。

季節の変わり目、寒暖差に花粉に新型コロナウイルスと、テレビからはせわしなく注意喚起の声が聞こえてきます。

コロナ対策で皆が手洗いうがい・マスク着用・アルコール消毒などに気をつかった結果、例年流行するインフルエンザやノロウイルスなどの感染症が激減した、なんてお話も耳にしますが、私の身の回りでは目下、ストレス性の胃腸炎が流行しています。
胃腸炎に加えて偏頭痛、タイミング悪く抜いた親知らずの腫れが長引いてしまったり……。
怖いのはウイルスよりもストレスと疲労!な今日この頃です。

私も1月の後半あたりから胃腸の不調が続き、やっといつも通りの具合に戻って健康の尊さを改めて実感しているところです。
なんでも食べられるって素晴らしい……。
しかし体調を崩してよかったことも一つくらいはあって、毎食おかゆ生活のおかげで密かにしていたダイエットでなかなか超えられなかった壁を超えることができました。

そんなわけで前回の更新時よりも4キロほど軽い体で今回の連載をお送りしています。
ちょっとだけすっきりしたフェイスラインが文面で伝わらないことが残念です。

新年早々の大型体調不良ですが、なんでこんなに一気に……と考えると思い当たる節がひとつありました。

年が明けてからおみくじを引く機会が二回あったのですが、二連続で「凶」を引いてしまったのです。
なんとも先が思いやられる結果ですが、凶二回分の苦しみはすでに先述の体調不良で味わったような気もしています。

私は寺社仏閣の建築や仏像を眺めることが趣味で年中お寺や神社に足を運んでいるため、初詣に限らずおみくじを引く機会がちょこちょこあります。
ですが、同じくらいの年代の子の会話を聞いていると、

お寺や神社に行く=初詣
おみくじを引く=初詣
という感覚が一般的なのかなと思います。

なので年が明けてしばらくは楽屋でも初詣やおみくじの話題を多く耳にします。
おみくじの結果の話から派生して厄年の話にもなったりして、「私今年厄年なんだよね〜」なんて声が聞こえると、思いがけず共演のアイドルさんの年齢を知ることになってしまったりすることも。

そんなところからの連想で今回は、アイドルの年齢にまつわるお話です。

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まず。私・一色萌は年齢を公表していません。

キスエクの公式HPにはメンバー各々の紹介ページがあり、その内容は基本的に一定のフォーマットに沿ってアンケートされたものですが、こと生年の公開・非公開に関しては個人の希望に委ねられています。

公開しても構わない人は生年月日を公開し、あんまり気の進まない人は誕生日だけが公開されるといった具合です。

私が生年を公表していない理由はいくつかあって、まず単純に「今のところ私にとってメリットがない」からです。

「同い年の方の目に止まった時に覚えてもらいやすくなる」という以外の利点が特に浮かばず、とても若いわけでもなく意外なほど年上であるというわけでもない場合はキャラ付けに使うこともできないので、あえて公表する必要はないなと思ったのです。

それに、一回出した情報を回収することはほぼ不可能です。
公開しなきゃよかったな、と思うシーンが万が一にもあるかもしれないのなら、私は非公開を選ぼうと思いました。

あるアイドルの子が気になり、プロフィールを見るために公式ホームページを開いたとします。
そこで生年月日や血液型の情報を見て、
「あぁ、あの子と同い年か。じゃあこんな感じかな」
「◯型ならこういう性格かな」
などと、会ったこともないその子に対して思ったことはありませんか?

見てもいないのに、なんとなく情報だけの印象で得手不得手をはかってしまう。
私はそういう見方をしてしまった心当たりがあります。
ですが自分がアイドルの立場になった時、自分をそうして見られるのはいやだなと思いました。

年齢がわからないからこそ、フラットな関係でファンの方や共演のアイドルさん方と気軽にお話しすることができるという利点もあります。

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アイドルを始めたばかりで年齢を公表するべきか否か迷っていた頃に、共演したソロアイドルの子が話してくれた印象深いエピソードがあります。

その子は成人していましたが、背が小さくて、幼さの残る顔つきと少し舌ったらずな話し方が愛らしい子でした。

その子は最初、年齢を公開して活動していたそうです。
そして成人を迎えて何回めかの生誕ライブを控え、対バンライブで物販に遊びにきてくれた初めてのお客さんにその生誕ライブの案内をしていた時のこと。

「なんだ、20歳超えてるんだ。じゃあ推せないや、ごめんね」

そそくさと去って行ってしまったその人の背中を見送りながら、彼女はひどくショックを受けたそうです。
そして悲しそうな表情の彼女は私に、年齢なんて公開するもんじゃないよ、と言いました。

ステージで、物販で、目の前の彼女をいいなと思ったにもかかわらず、その数字だけで興味を失ってしまう人がいたという事実はとても残酷で、ばかばかしいなと思いました。

でも。
ここまであからさまに本人に言ってしまうかどうかは置いておくとして、実際にそういう価値観を持つ人は存在するのです。
このお話を聞いて私は、アイドルにおける「年齢」の呪縛の存在を確信しました。

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イメージがついてしまう、ということに関して言えば、生年よりも血液型の方が具体的なイメージを押し付けたり、押し付けられたりしてしまう危険が高いのでは?と思う方もいるかもしれません。

血液型と性格の関連については諸説ありますが、私はいかにもA型っぽい性格のA型なので、特にこだわることなく公開しています。
もしも血液型から受けるイメージと自分のイメージが乖離しているようであったら、私は血液型も非公開を希望したことでしょう。

会った時になるべくフラットな状態で、素直な感覚でその子に向き合いたいと思った結果、私はなるべくプロフィールより先にライブを見ればいい・会いに行けばいいという結論に達しました。
私の場合は少し極端な例かもしれませんが、どうしても実際に目にする機会に恵まれない場合には、情報だけで先入観を持ちすぎないようにと気をつけながらホームページを開きます。

しかし、ここまで書いておいて何ですが。
では私は徹底的に年齢に関する話題を隠しているのかというと、実はそうでもありません。
キスエクに加入した約3年前の時点で、四年制の大学を卒業していることは隠していませんでしたから、私がよっぽど成績優秀で飛び級とかしていない限りは大体の年齢は足し算でわかってしまいます。

私に興味を持ってくださった方に、コミュニケーションをとったり活動を見ているうちになんとなくバレていってしまう分には、私としてはなんの問題もないのです。
それはその人が私に注意を払い観察した結果得た情報であるからで、そこまで見ていてくれた人には上記のような懸念よりもむしろ感謝の気持ちが上回ることが多いためです。

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アイドルの魅力が多様化し、精力的に活動することのできる年代も広がった結果、「年齢としての若さ」はアイドルの絶対条件ではなくなりました。

かつては記載されているのが当たり前だった生年月日も、私のように非公開のアイドルさんも多くなりました。

年齢の概念を一度取っ払って周りを見渡すと、アイドルさんもそのファンのみなさんも若々しい感性を持っていて、生き生きとした方が多いことに驚きます。

楽しく生きている人は、生命力にあふれていて魅力的に映ります。
若さとは、生命力であると私は思います。

実際に年齢が若い人、びっくりするほど見た目が若い人、とにかく感性が若い人、いろんな人がごちゃまぜになってカオスだけど、「その人そのもの」をまっすぐ受け入れる土壌の広がりを見るにつけ、アイドルはどこまでいけるのだろうとワクワクします。
同時に、私はどこまでいけるだろう、とも。

先人アイドルさんが5年も10年も変わらず活動を続けている姿を見ていると。
このままずっと続いていって欲しい、年齢や数字にとらわれず、続けたい人がずっと続けることのできる環境がありますようにと願わずにはいられません。
そしてそれは不可能ではないような気がしているのです。

キャッチコピーとしてさんざん使い古された「永遠の◯◯歳」という言葉も、あながち夢ではないのかもしれません。

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ここからは少々余談です。
先週末、2/15-16の期間、キスエクは大阪でライブがありました。
イベント全行程を終えてから、私は一日延泊して観光に充てたのですが、その際立ち寄った大阪天満宮で引いたおみくじは「吉」でした。

「健康 快復に向かうが無理は禁物」

そんなこと言われてもアイドル業に無理はつきものなので、如何ともし難い場面が多々ありますが。
そういう不調を年齢のせいにもしたくない。

やっと見ることのできた「吉」がへそを曲げてしまわないように、できる限り健康面に気をつけて過ごそうと決心したのでした。

【プロフィール】 一色 萌(ひいろ もえ)

ニックネーム:萌ちゃん、萌氏、誕生日:5月27日、出身:東京都、血液型:A型、趣味:アイドル研究、特技、アイドルについて話すこと

WALLOP放送局「キスエクのギュッと!プログレッシヴ!」レギュラー出演中(2018.4〜)

<一色公式Twitter> https://twitter.com/hiiro_moe

<公式Twitter> https://twitter.com/xoxo_extreme

<公式YouTubeチャンネル> https://www.youtube.com/channel/UCA7fn3DZFJGDmlxZZg8WQVA

<取材・オファー等> Email : contact@twelve-notes.com

【グループプロフィール】

XOXO EXTREME(キス・アンド・ハグ・エクストリーム 通称:キスエク)

一色 萌・小嶋 りん・浅水るりの3名からなる、プログレッシヴ・ロック(略:プログレ)※をモチーフとした楽曲をパフォーマンスしているアイドル。
※特徴として、曲調がよく変わる・曲が長い・変拍子が多い、といった点が挙げられる。

2017年に、発売したシングル「えれFunと”女子”TALK〜笑う夜には象来る〜」に対して(キング・クリムゾン「エレファント・トーク」オマージュ)元キング・クリムゾンのエイドリアン・ブリューがその動画に「I like it!」とコメントで絶賛。

ライブ活動の他、ディスクユニオン新宿プログレ館で一日店員を務めたり、プログレファンの聖地である吉祥寺シルバーエレファントに、アイドルとして初出演。

2019年にフランスを代表するプログレバンドMAGMA公認カヴァー曲の「The Last Seven Minutes」を初披露。その動画がyoutubeにアップされると、カヴァーを公認したMAGMAが、公式Facebookで紹介したこともあり、一日で2000以上の再生数を得て話題になる。
翌2019年には、日本のプログレバンドの雄、金属恵比須とのコラボレーションで、90年代プログレを代表するスウェーデンのバンド、ANEKDOTENの「Nucleus」を公認カヴァー。

同年7月25日には2バンドを擁してのセカンドワンマンライヴを渋谷WWWにて行った。

都内を中心にライヴ活動を行なっており、プログレッシヴ・ロックを知っている人も知らない人も楽しめる、と好評を得ている。