「品川国際映画祭」は、昨年から話題になっているアウトドアシアターイベントで、本年度も大きな注目を集めた。今年も2019年11月5日(火)~11月9日(土)の期間、品川インターシティで開催され多くの人が訪れた。SNS上には幻想的にライトアップされた会場や美味しそうなフーズの写真などが多数アップされていたので、気になった方も多いだろう。
幻想的であたたかい雰囲気の会場
最近では夜に屋外で開催されるアウトドアシアターが人気だが、美しいライトアップとともに上質の映画を味わえるとなると、決して多くはない。
そんな「品川国際映画祭」は屋外映画祭の先駆け「CINEMA CARAVAN」が演出。映画コンテンツは、⽇本発・アジア最⼤級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」(SSFF&ASIA)がセレクションした作品で、「受賞作品セレクション」や「映像美セレクション」など、6つのカテゴリーに分けた全18作品のショートフィルムを日替わりで上映した。
そして会場を幻想的に演出したのが16万6千球ものイルミネーション。また多くの人気キッチンカー、くつろげて温かいフリースペースも設けられた。映画、光、音楽ライブ、グルメ…、品川の超高層ビルの谷間に、まるで旅の音楽キャラバンが訪れたような不思議な空間。多くの人が足を止め、この空間に誘われていったのも当然だろう。
感動的でレアな作品が多数上映
今回上映された作品の中でも注目を集めたのが「映画祭受賞作品セレクション」の中で上映された『Silence Please【お静かに】』(17分03秒、監督 Carlos Villafaina、2017年・スペイン)。 SSFF&ASIAでノミネーションされ、オーディエンスアワードを受賞した作品だ。この「お静かに」というタイトルが心を打つ、感動的な兄弟の絆を描いた作品だ。肌寒い中、多くの観客が手に力を込めて熱っぽく観ていたのが印象的だった。
また「映像美セレクション」として上映された『Orbit Ever After【軌道の上の恋】』(21分00秒、監督 Jamie Magnus Stone、2013年・イギリス)は、会場の幻想的な雰囲気と相まって圧倒的なインパクトを残した作品だ。
あらすじは「惑星の軌道上を周りながら生活する青年とその家族たち。ある日青年が、同じく軌道上を周る一人の少女に恋をした。二人はその「一瞬」のために、すべてを投げ出す決意をする」というもの。宇宙空間を舞台にした映像美と切なさの物語、会場の雰囲気とマッチしていた。
そして最終日にはショートフィルムではないが、ティム・バートン監督の名作『チャーリーとチョコレート工場』が上映。子供たちだけではなく、ビール片手の大人たちも大喜び。5日間を通じて、静かに美しく、そして大きくも盛り上がるアウトドアシアターイベントとなった。
キッチンカーゾーンも大人気
また個人的にツボだったのは、イベントをただきれいにまとめるのではなく、地元団体とコラボしたステージも用意して、親しみやすいお祭り感があったことだ。最終日(9日)には、目黒学園カルチャースクールの講師やスナガミ楽器の生徒たちによるライブがあり、また品川区初のアイドルユニット「しな☆がーる」のライブなども行われ、映画祭をあたたかく盛り上げた。
キッチンカーゾーンでは、全米No.1クラフトビールと言われる「BLUEMOON」が登場した他、メキシカンフード、ジューシーなチキンにソーセージ、寒い季節には嬉しいホットワインなどが登場。会場の雰囲気に異国情緒な彩りを添えていた。
キッチンカー「メキシカンハウス」では、タコライスやタンドリーチキン以外に、もつ煮も提供。そのため「BLUEMOON」を片手にもつ煮を食べる中高年サラリーマン、ホットワインを飲みながらソーセージをを食べるOL、そして目の前には感動的な映画の映る大シアターと、品川とは思えない雑多で楽しい空間となっていた。
和泉元彌と井桁弘恵も絶賛!
今回、品川国際映画祭の初日オープニングイベントでは、狂言師の和泉元彌と女優の井桁弘恵がゲストとして登場し、イルミネーションの点灯式を行った。
トークショーの中で和泉は「品川にはあんまり来る機会がなかったのですが、そんな街を訪れるのはワクワクします。新しい発見があると思いますので、ぜひ『品川国際映画祭』を待ち合わせ場所にしてください。この景色も映画も楽しめる幸せな空間にお越しください」とコメントした。
本年度は惜しくも終わってしまったが、ぜひ来年も開催がないかチェックしてみて!
https://www.shinagawa-cinema.com/