日本のフィットネスジムはなぜダメなのか? エグゼクティブから注目される新しいジムの概念

最近ではあちこちにフィットネスジムが見られるようになったが、日本での普及率はまだまだ3.3%程度でしかも横ばい、アメリカの18~19%、韓国の8%などと比較して低いのが現状だ。これは日本人のフィットネスジムに対する間違ったイメージによるところも大きく、今後これを正しいイメージに修正し、日本人の健康に大きな影響を与えそうなムーブメントが起こっている。

その発信地と言われるのが、医学研究所を併設したフィットネス施設で、最先端のプログラムを提供する『ORKA GYM』(中目黒)。そして同ジムを運営する『DL CHASE jAPAN』代表の神谷卓宏氏が、フィットネスシーンにおいて大きな注目を集めている。

神谷氏による説明会で、日本のフィットネスシーンの問題点や今後について聞いてみた。

日本のジムの問題点

DL CHASE jAPAN代表の神谷卓宏氏は、総合格闘技の桜井マッハ速人、HALEO TOP TEAMなどのトレーナーとして知られており、また医療大学や大学院で運動生理学を学び、そのエビデンスに基づいたコーチングで日本のエグゼクティブからも信頼を集めている。

そんな神谷氏によれば、日本のフィットネスジムが広がらない背景に、日本人がジムを痩せるためのものとして使っているためだという。つまりダイエットに成功して痩せてしまえば目的達成で、そのまま退会してしまうのだ。そのため入会者と脱会者が常に入れ替わり、一定の低い普及率となってしまうのだ。

神谷氏は、「ジムは痩せるためのもの」という意識を、「ジムは健康になるためのもの」に塗りかえる必要があるとする。

日本人ではジムでの運動は修行的な苦しいものであるという意識があるが、アメリカ人は、ジムは楽しく運動をして健康になるためのものだと考えているため、ジムでの運動に50%以上が前向きな「Feel Better!」と感じるという。

日本人のフィットネスジムへの概念が健康へと変わることで、その普及率が上がるとともに、多くの日本人の健康に好影響が出ると言えそうだ。

健康をあたらしく捉え直す

まず健康とは一体なんなのか。神谷氏によれば、一般的には医療的なもので、健康診断、人間ドック、抗体検査の結果での“異常なのか・異常ではないのか”。だが健康のもたらす効果としての『生理機能の維持』、『老化の抑制(見た目など)』、『健康寿命の増進』から捉えることが重要なのだという。

ORKA GYMはジムを健康の新しい観点から捉え直し、そしてもう一つ、健康の「可視化」という点を重視している。可視化して「どれだけ健康であるのかを数値で知る」ことで、ジムの利用者には何が健康であり、現在の健康状態がどうなのかがわかり、ジム側もそれに基づいたフィットネスのプログラムを組むことができるからだ。

そして、そんな健康の可視化のための指標が次の5つだ。

  • 筋断面積(筋肉量と筋肉の質)
  • 血管径/血管壁の厚さ
  • PWV(血管年齢)
  • 血流速度/赤血球連鎖/血液凝固(血液のサラサラ度)
  • SpO2(酸素濃度)


ORKA GYMではこれらの指標を、超音波測定器や、血液を採取した測定(採血測定は任意)、酸素濃度計などで計測し、さらに1カ月に1回以上行うことで可視化を行い、パーソナライズしたプログラムを組むという。ここまで徹底することで、ジムは痩せるためや、なんとなく健康になるための場所ではなく、数値化された健康を手に入れることができるのだ。

そして同ジムには神谷氏ならではの最新機器も揃えられている。氏は現在も京都大学で「軽度高気圧酸素暴露」の研究を行っており、そういった研究で利用するような機器も。ORKA GYMになる黒光りする大型機器『MHBOチャンバー』は、中に人が一人横になれるスペースがあり、「高気圧・高酸素」の環境を発生させる。

チャンバー内部の酸素濃度は外部の約2倍で、1時間ここで横になっていると、交感神経優位が副交感神経優位になり、血液中に酸素が溶け込み、毛細血管まで届けることができるという。アンチエイジングに効果があると言われる他、ダイエット、不妊症、歯周病の治療など、様々な分野への効能が期待されている。

日本のフィットネス人口を3倍以上に

フィットネスジムにこういった最新機器の導入や、日本人がこれまで抱いてきた概念をくつがえすことで、神谷氏は日本のフィットネス人口を10%以上にしていきたいと語る。また現在の400人の会員数を3倍にすることを目標に掲げている。

DL CHASE jAPANの事業は、同ジムの運営や、医科学研究、トレーナーや講師の派遣、スポーツ・健康に関する講演など。一般の人々への普及活動や、スポーツ現場での普及活動、これらの活動で得られた知見を生かしての論文の発表も行っていくという。

今度の日本のフィットネスシーンや、日本人の健康に大きな影響を与えそうな同社、ますます注目が集まりそうだ。

編集部: