2019年4月7日(日)、東京・豊洲公園で「ピンクリボンウオーク2019」が開催された。このイベントは乳がんの早期発見、早期診断、早期治療の大切さを啓発するピンクリボン運動の一つで、2002年の初開催から今年で18回目を迎える人気のウオークイベント。2km、4km、10kmの距離別のウオーキングに早朝から約1100人の参加者がかけつけ、晴天の中レインボーブリッジを横目に、潮風に吹かれながら気持ちよさそうにウオーキングを行った。
今回の大会コンセプトは「ピンクリボンアドバイザーによるがん教育がはじまる!ピンクリボンハイスクール開校!」。乳がん教育を推進する学園をイメージしている。メイン会場には、ピンクリボン関連のNPO団体など全国各地から数多くの団体がブースを出店。乳がん検診を啓発するためのグッズ販売や、射的、ヨガなど様々な催しが行われ、近くを通りたまたまイベントに立ち寄った親子連れなども楽しんでいる様子だった。
開催趣旨に賛同する協賛企業のブースも毎回人気で、医療用ウィッグを扱うアートネイチャーでは、乳がん検診を勧めるパンフレットの配布のほか、毛髪カウンセラーによるヘアチェックが人気を集めていた。また会場のステージでは、キッズダンスやブラスバンドの演奏が行われるなど、大いに盛り上がった。
ピンクリボン運動とは
ピンクリボンは、乳がん啓発活動を表す世界共通のシンボルマーク。「乳がんで悲しむ人を一人でも減らしたい」との想いから1980年代にアメリカで始まった活動で、2000年ごろから日本でも行われるようになっている。乳がん検診の早期受診を呼びかけるために、行政、市民団体、企業などが独自のピンクリボンマークを掲げ、今回のウオーキングにかぎらず、様々な啓発活動を行っている。
このウオークイベントを主催するのは、日本初の乳がん啓発団体である認定NPO法人乳房健康研究会で、 乳がんによる死亡率低下を願う4人の医師によって設立された。会の発足以来、セミナー、ラン&ウオーク大会、出版活動、ピンクリボンバッジ運動、調査活動などを通し、啓発活動を呼びかけている。また、乳がんや検診、治療になどについての正しい知識を学び、周囲の人々に乳がん検診を受診するきっかけをつくる活動を行うピンクリボンアドバイザー認定試験を主催している。
元SKE48矢方美紀が登壇
今年のピンクリボンウオークには、タレント(元SKE48)の矢方美紀さん(26)が参加。2018年4月、所属事務所の公式サイトと本人のブログを通じて、みずから乳がんであることを発表し、まだ25歳という若さで乳がんにかかったことから大きな話題となった。
矢方さんは左乳房全摘の手術を受け、治療を続けながら、番組「#乳がんダイアリー 矢方美紀」(NHK名古屋)の自撮り日記(動画)でリアルに発信。その体験を一冊にした『きっと大丈夫。〜私の乳がんダイアリー〜』を上梓した他、5月2日に放映されたNHK BS1スペシャル「26歳の乳がんダイアリー 矢方美紀」が放映され、病を受け止めつつポジティブに生きる姿勢が、SNS等で大きく反響をよび、同世代の女性や、同じ病気を患った方々からの共感を得ている。
矢方さんは当日、治療のために一度抜けてしまったという髪も現在は伸び、可愛らしいベリーショートの姿で登場。2kmのウオーキングに参加した他、ステージイベントにも登壇した。
「乳がんという病気のため、仕事も外出もできなくなってしまうかと思いましたが、ちゃんと病気に向き合って治療を受けたり、ヘアウィッグをつけることで外出もできました。そういった実際の体験をこれからも発信できればと思っています。そういったことや正しい知識を共有すれば、病気になった人も周囲の人もお互いに支え合うことができるんじゃないかと思います」と語り、場内からは大きな拍手が。
当日は暑いほどの晴天だったが、ピンクリボンイベント最後の抽選会にも参加。協賛企業より提供された商品を、笑顔で抽選に当たった参加者に自ら手渡していた。
乳がんの治療をしながらも、ポジティブに毎日を生きるという矢方さんの姿には多くの参加者が感銘を受けて、また取材班としてもそんな矢方さんに賛辞を送りたい。
乳がんの啓発活動としてピンクリボウオークに参加した皆さん、そして矢方さん、お疲れ様でした。