【比較】果汁感強め・缶チューハイ『贅沢搾り』『本搾り』『こくしぼり』を飲み比べ!(2018 Summer)

 

この頃人気が高い缶チューハイ(RTD)は、高アルコールと高果汁感の二極化を迎えているようだ。今回はそうしたフルーティーさに定評のある3ブランド『贅沢搾り』『本搾り』『こくしぼり』の果汁感高め度をグレープフルーツ味で比較検証してみたい。

 

酸味だけでなく苦味・ジューシーさも併せ持つ焼酎と相性抜群のグレープフルーツの味でその実力を検証!

もともと酎ハイといえば焼酎ハイボールの略語で、レモンが定番だった。焼酎独特のクセのある香りや味を中和するのに効果があるとして、1980年代にブームを呼んだ「村さ来」「つぼ八」「養老乃瀧」に代表される低価格帯居酒屋を中心に定番化。アルコール初心者が多く集まったそうした店舗では、より飲みやすさが追求され、甘いシロップ入りの酎ハイが増えていく。

 

 

そうなるとだんだん焼酎のクセが邪魔になって来るところから、居酒屋シーンでは次第にクセの少ないウオッカを使用することも多くなり、1984年に缶酎ハイが登場し、カタカナの缶チューハイと呼ばれて人気を得ていく中でも、次第にベースをウオッカなどのスピリッツ(蒸留酒)に変えていった。

そうなると、焼酎独特の臭みを消す必要はもうない。ウオッカなどのスピリッツ系はほぼ無味無臭だからだ。今回紹介する缶チューハイの定番ブランド『贅沢搾り』『本搾り』が原材料名でウオッカ表記、『こくしぼり』はスピリッツだが、これはもうアルコールと考えて一緒くたでも良いと思う。

 

 

レモンのような強力な酸味は必要ないし、もっと芳醇なフルーツ感が欲しいということで、近年人気を博しているのがグレープフルーツ味。果皮の苦味をアクセントに、果肉のジューシーさを表現しやすく、それでいてレモン並みの酸味もあるということで、果汁感強め缶チューハイの定番味となっている。

 

 

それでは実際に特徴を解説しつつ、飲んでいってみよう。

 

 

浸漬酒と隠し酒のグレープフルーツ
サントリースピリッツ『こくしぼりプレミアム 贅沢グレープフルーツ』

350ml缶・希望小売価格 税抜170円・2017年11月リニューアル・果汁40%・アルコール度数6%

 

定番人気の「こくしぼり」の上位版。その違いは果汁をたっぷり盛り込んだほか、浸漬酒(果実や果皮を漬け込んだ酒)とともに、種類に適した隠し酒を入れるダブルの贅沢ぶりが特徴。

この『こくしぼりプレミアム 贅沢グレープフルーツ』では、果汁を40%使用してスピリッツをベースにグレープフルーツ果皮の浸漬酒が主役となっている。隠し酒は、グレープフルーツ(果汁)の発酵酒。つまり皮と実、ダブルのグレープフルーツ味というわけ。

なるべくゆっくりと

「一度逆さにしてからお飲みください」の指示通り、マットブラックな缶をひっくり返す。もちろん炭酸なので、振るのは厳禁。プルタブを落とすと、ふんわり漂う怪しげなグレープフルーツの深みのある香り。ピール感が強めに感じる。

グイッと飲むと、ジュワジュワと唾液をにじまさせる酸味とグレープフルーツ果皮特有の苦味がビリビリ来る。これはうまい。爽やか酸味一辺倒ではない、グレープフルーツの大人な横顔を見た気がした。甘さも感じるがストイックにちょい控えめ。

いぶし銀のマスターがシェーカーを振って出してくるカクテルのような雰囲気がある、高品質な味わいだった。

 

公式サイト

 

 

果実半分使用が売りのフルーティー
アサヒビール『アサヒ贅沢搾り グレープフルーツ』

350ml缶・希望小売価格 税抜141円・2018年3月発売・果汁41%・アルコール度数4%

 

3月に発売されて大人気を博している果汁感強め缶チューハイ・ブームの台風の目が「アサヒ贅沢搾り」。相葉雅紀、上戸彩というダブルネームのCMでも話題のこのシリーズの最大の特徴は、果実1/2個ぶんという高果汁。度数4%と控えめなので、アルコール感低め・果汁感高めという気軽なタイプ。

原材料も至ってシンプルに、ウオッカ、グレープフルーツ果汁、酸味料、香料の4種類。これも「逆さにして飲む」指示が書いてある。CMではかなり強調している飲み方だ。

お酒に見えない!

では果実半分をダイナミックに使ったという『アサヒ贅沢搾り グレープフルーツ』を飲んでみよう。『こくしぼりプレミアム 贅沢グレープフルーツ』を1%越えただけなのに、テクスチャーがネクターに近いのに驚く。香りも桃でも入っているかのようなジューシーなフレーバー。見た目はほぼジュース。

なのに飲んでみると、甘さはがっつり控えめ。果皮の苦味の方が前に出ている印象。でも後味は甘やかなのが、何とも不思議。確かに果実をそのまま凍らしたかのようなフルーティーさに満ち溢れている。これは女子もかなりうれしいのでは? もちろん4%は記者のような酒弱男子にもぴったり。果皮の苦味なのか、アルコールの苦味なのかが判別付きにくいタイプだが、飲み過ぎればやはり酔っ払うのに注意したい。

公式サイト

 

酒としての本分を忘れない本格高果実度
サントリースピリッツ『キリン本搾り グレープフルーツ』

350ml缶・実勢価格 税抜120円・2018年5月パッケージリニューアル・果汁28%・アルコール6%

 

ヘルシー志向の現代人の嗜好に合わせた香料・酸味料・糖類無しの無添加で作られた”にごり”が特徴の「キリン本搾り」。原材料名がグレープフルーツとウオッカのみという潔さ。甘さも控えて、まさに体を気遣う中高年にまでアピールする内容となっている(アルコール度数は少し高めだが)。

余計なものは入れない主義

「一度ゆっくり逆さにしてください」という勢いよくひっくり返す人に注意を促しているのが『キリン本搾り グレープフルーツ』。他の2つに比べると果汁率は低めの28%だが、それがどう出るか。アルコール度数も少々高めだし。

何となく予想はしていたけど、これはお酒である。飲んだ瞬間にきっちりアルコール感があるのが、大きな違い。香りはおしゃれなテンションコードのような控えめな良い香り。グレープルーツノートとでも言いたくなる、酒が主役でいい感じに脇役を果たすタイプ。

もちろんフルーティーさもしっかりあるのだが、果皮の苦味とアルコールの苦味が合わさったミックスが、何とも充実感がある。

酒好きの人にとっては、やはりこのバランスの方が自然なのかもしれない。甘さもかなり控えめで、苦味が目立つところが、どんな食事にもよく合いそう。本格派の缶チューハイとしての心意気を感じた。

公式サイト

特別な果実感のある『こくしぼりプレミアム 贅沢グレープフルーツ』、フルーティーさ際立つ『キリン本搾り グレープフルーツ』、酒のアイデンティティを忘れない絶妙バランス『キリン本搾り グレープフルーツ』

今回飲み比べて思ったのは、どれもしっかりグレープフルーツ特有の果皮の苦味をしっかりとフィーチャリングしているところ。レモンでは果肉ばかりが主役にされがちだが、グレープフルーツは果皮の苦味も含めて果実の味なのだなあということを再認識させられた。

しかも3製品ともに、無茶に酸っぱい路線ではないのもうれしかったところ。果実としてのグレープフルーツの美味しさが、しっかりと感じられるのが楽しかった。

入手は全国の酒類取扱店、コンビニエンスストアなどで可能だ。

 

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清水 りょういち: