一色萌のアイドル、色々。第4回「アイドルと私の夏」

こんにちは。プログレアイドル・xoxo(Kiss&Hug) EXTREME(キスアンドハグ エクストリーム。通称・キスエク)の一色萌(ひいろ・もえ)です。

信じられない暑さの日が続く平成最後の夏ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
私はアイドル活動にヲタ活にと、相変わらず忙しい日々を送っています。
何もしなくても汗が止まらないような気候なので、皆さんもどうか水分補給はしっかりと!健康第一でいきましょう。

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8月3日から5日、東京・お台場エリアで世界最大級といわれるアイドルフェス・『TOKYO IDOL FESTIVAL 2018』が開催されました。

TOKYO IDOL FESTIVAL(通称・TIF)は2010年から毎年夏に開催されていて、年々その規模を拡大し、今やアイドルとそのファンにとっての一大イベントとなっています。

私も毎年楽しみにしているイベントの一つで、自分がアイドルを始める前から、アイドルを始めてからの昨年、そして今年も時間を見つけてはお台場に足を運ぶ三日間を過ごしました。

アイドルと一口に言ってもその数は膨大で、日常的にテレビで見かける“地上アイドル”から日頃主にライブハウスで活動をする“地下アイドル”、そういったくくりではもはや言い表しにくい新しい形態のアイドルさんまで、東京のアイドルシーンに限ったとしてもその細分化はすさまじく、個人で全てを網羅するのは到底不可能です。
解散や活動休止、卒業など悲しいニュースが特に多い今年に入ってからも、やはり新規のアイドルさんは多く生まれ続けています。

できる限り界隈の分け隔てなく、自分がいいなと思うアイドルさんに出会いたいと思い常日頃アンテナを張っているつもりではありますが、気になったアイドルさんのライブや音源を全てチェックするのはなかなか難しいです。……という私の悩みは少し極端なものかもしれませんが、TIFでは一般の方々も多く通るような道に面した無料ステージも複数設置されていて、通りがかりにちょっと気になっていた、あるいは全く知らなかったアイドルさんのステージに足を止めることも少なくありません。

年に一度のお祭り気分、夏の熱気、夕暮れ時の湿った空気、いつもと少し違う客席の顔ぶれ……ちょっと特殊なさまざまな要素が重なり、TIFでは毎年ドラマチックな場面がいくつか生まれます。
居合わせることができるかどうかは運次第ですが、その場面を目前にしたらきっと、忘れられない夏の思い出になることでしょう。

今年のTIFでも、幸運にも私はそんなステージを見ることができました。

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それは8月3日、TIF初日。SKY STAGEでの、原田珠々華さんのライブでした。

すでにこのステージに関する感想やレポートは各ニュースサイトやファンの方のSNS等で既出なのですが、自分の目で見た感動を私も書き記しておきたいと思います。

SKY STAGEはフジテレビ湾岸スタジオ屋上に設置されており、奥にフジテレビのシンボルである球体展望室を望む、開けた空と吹き抜ける風が心地よいステージです。
原田さんの直前の出番はアイドルネッサンス候補生時代にともに活動していたAIS -All Idol Songs-。アイドルネッサンスがカバーしていた「夏の決心」で出番を締め、原田さんへ繋ぎました。

今年の2月に所属していたアイドルネッサンスが解散してから半年。この日はアコースティックギターを携えて自ら作詞作曲した曲を披露するというスタイルの彼女のソロステージデビュー日ということもあり、SKY STAGEは大入り。AISのメンバー、アイドルネッサンスの仲間、アイドルネッサンスが好きだと公言していたアイドルさんたち……たくさんの人が期待とともに見守る中、原田さんのステージは始まりました。時刻は18時50分、黄昏時の、空が薄紫から黒に変わる頃でした。

しかし、一曲目「Hero」から音源トラブルに見舞われ、2曲目の「今年の夏休みは君とデートに行きたい」では激しい音飛びでライブを中断されてしまいます。
「Hero」で最初に音が飛んだ時、どこからともなく起きた手拍子に涙がこみ上げて原田さんの声が上ずったあたりから、客席からは鼻をすする音がところどころ聞こえていました。

トラブル対応のために急遽MCを挟むことになった時には、予定外のことに戸惑いつつ場を繋いでいる様子の原田さんへステージ袖からAISのメンバーが「すずか頑張れ!」と声援を送ったり、話が途切れてしまいそう時にはファンから咄嗟に出た「好きな色は何?」「一曲目はどんな曲?」といった質問に答えてみせたり、原田さんがアイドルとして仲間やファンとよい信頼関係を築いてきたことが感じられる一幕も。

そして弾き語りでライブは再開されますが、今度は遠く背後から雷雲が近づきます。
曲順を変えて先に披露することになった三曲目「Fifteen」のアカペラ部分で曲に合わせたようなタイミングで原田さんの背後に稲妻が走った時、客席からは小さく声が漏れました。

結局音源トラブルは解消できず、弾き語り曲「あなたへ」に曲を変更する形でライブは進みます。
−−−−強がっちゃう時もあるけどずっと見守ってね
  いつか大きなステージで私を見てほしい−−−−
歌詞と状況がリンクして、心なしか原田さんの歌声も力強く響いたようでした。

度重なるトラブルに見舞われ、ところどころ声を震わせながらも笑顔で出番を終えた後、ステージから地面に降りた瞬間に膝から崩れ落ちた彼女をAISのメンバーが笑顔で駆け寄り抱き支えたのが、客席の手すり越しに見えました。

この原田さんのステージには、その場にいた人全てを引き込んでしてしまうような引力がありました。

それはステージデビュー日という特別な日だったことや、SKY STAGEという特殊な環境のステージであったこと、親しいアイドルさんがすぐ近くで応援している状況だったこと、コアなファンからライトなファンまで様々な人が集まるフェスだったこと、色々なことが重なってできた、二度と再現できない、あの日のあの場所だけの物語でした。

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アイドルを見る時にどんな部分を重要視するかは、人によって様々です。アイドルのステージは単にパフォーマンスレベルの高低では測れない魅力に溢れています。

その中でも私は、アイドルの物語性に注目してライブを見ることが多くあります。アイドルがひたむきに頑張る姿を中心としてファン、スタッフ、共演者……たくさんの人がそのストーリーに関わることができる距離感にいて、実際に関わっていき、リアルタイムでドラマが生まれていくということに感動を覚えるのです。
この感覚は、前回の「アイドルと生誕ライブ」で書いたことに通じていきます。

生身の人間がステージに立っている以上、そこで起こる物語は人生そのものです。
アイドルといえどもその物語は必ずしもドラマチックである必要はありませんが、今回のように不意の展開がドラマ性を持つ場合もあります。

偶発的なドラマは、シナリオのあるドラマよりも即興性が高い分、その場に居合わせた時の感動が大きくなるものです。
小さな奇跡が数十分、あるいは十数分のステージに凝縮されるところを見る度、こんな場面に立ち会わせてもらえるなんてアイドルってよいものだな、と改めて思います。

誰にも仕組まれていない、計算ではない、次々に起こるハプニングを自らの力に変えて健気に歌い続ける原田さんの姿に、あぁまだアイドルにはこんなすてきな魔法が使える子がいるんだ、と思いました。

真夏の長丁場のライブイベントであるTIFは、いつも終わった後に地獄のような疲労感と日焼けのケアに悩まされます。でもきっと来年の夏もまた素敵なアイドルの物語を期待して、私はお台場に行くのでしょう。
いつかその場所で、物語に引き込む側になる夏を夢見て。

【プロフィール】
一色 萌(ひいろ もえ)

ニックネーム:萌ちゃん、萌氏、誕生日:5月27日、出身:東京都、血液型:A型、趣味:アイドル研究、特技、アイドルについて話すこと
WALLOP放送局「キスエクのギュッと!プログレッシヴ!」レギュラー出演中(2018.4〜)

https://twitter.com/hiiro_moe
https://twitter.com/xoxo_extreme
Email : contact@twelve-notes.com

【グループプロフィール】
xoxo(Kiss&Hug) EXTREME(キス・アンド・ハグ・エクストリーム 通称:キスエク)
楠 芽瑠・一色 萌・小日向 まお・小嶋 りんの4名からなる、プログレッシヴロック(略:プログレ)の楽曲を中心にパフォーマンスしているアイドル。プログレとは、曲調がよく変わる・曲が長い・変拍子…等が特徴の楽曲です。

2017年に、発売したシングル「えれFunと”女子”TALK〜笑う夜には象来る〜」に対して(キング・クリムゾン「エレファント・トーク」オマージュ)元キング・クリムゾンのエイドリアン・ブリューがその動画に「I like it!」とコメントで絶賛。

ライブ活動の他、ディスクユニオン新宿プログレ館で一日店員を務めたり、プログレファンの聖地である吉祥寺シルバーエレファントに、アイドルとして初出演。

2018年にフランスを代表するプログレバンドMAGMA公認カヴァー曲の「The Last Seven Minutes」を初披露。その動画がyoutubeにアップされると、カヴァーを公認したMAGMAが、公式Facebookで紹介したこともあり、一日で2000以上の再生数を得て話題になる。

同年2月4日に記念すべき初のワンマンライヴを鹿鳴館にて開催。プログレッシヴロックを知っている人も知らない人も楽しめるLIVEと評判。

編集部: