うな重、うな丼、白焼き、ひつまぶし、肝焼き、う巻き、ちらし寿司…。日本人のちょっと贅沢なシーンの食卓に欠かせないのがうなぎ。ただ近年うなぎは絶滅危惧種としても注目を集めている。そうなるとなかなか手を出しづらいし、そもそも最近価格の方も急上昇中。うなぎ難民は一体どこへ向かえばいいのか、その答えが魚のすり身で作った『うなる美味しさ うな次郎 長持ちパック』。食べて驚くのはその芸の細かさだ!
絶滅回避のために、お財布のために積極的に食べたくなるホンモノそっくりのうなぎの蒲焼き風練り物!
かまぼこという練り物でありつつ、ヨーロッパの食卓に定着した「カニかま」のように、日本の幻惑フーズの技術は高い。基本的にはカニが高価なのでカニかまということなのだが、それがうなぎとなると、絶滅に瀕している環境要因も絡んでくる。土用の丑の日だからうなぎを食べようなんて、グローバルな視点からいうと結構問題発言な一面もあるのだ。
とは言え、うなぎは美味しい。うなぎ不足に見舞われた近年では、その代わりに穴子やサンマ、豚肉などを蒲焼き仕立てにして販売されることもあったが、やはり本物とは明らかに違う味わいにがっかりした人も多いはず。
そんな中、1965年(昭和40年)創業の老舗練り物メーカーで「カニかま」を世に送り出した一正蒲鉾株式会社(新潟市東区)が立ち上がった。魚のすり身を使って、迫真のうなぎの蒲焼を再現してくれたのだ。それが『うなる美味しさ うな次郎 長持ちパック』(2枚入/たれ、山椒付・希望小売価格 税抜328円・2018年2月6日発売)である。すでに発売されてテレビ番組やSNSなどで好評を博している「うなる美味しさ うな次郎」を、特殊包装で賞味期限を倍加させたレンチン対応商品だ。
食べた後でも二度見する”※本品はうなぎではありません”。その忠実な再現力に脱帽!
正直期待はあまりしていなかった。こうしたフェイク食品はよくあるが、結構無理があることが多く、近づいた味わいのものとなると価格が跳ね上がり、そもそもの意味があまりなくなることも多い印象。
とはいえ”カニかま”の生みの親の一正蒲鉾による製品なので、全く希望の灯が見えない訳でもない。眺めていても仕方ないので食べてみたい。
丼に熱々の白飯をよそいスタンバイしたら(冷や飯の場合は先に温めておこう)、パッケージ左側のたれと山椒を取り出し、電子レンジ対応容器なのでそのまま中にイン! 加熱時間は500Wで1分、600Wで50秒。以前のうな次郎では中身を取り出してからレンチンだったと思うが、進化したようだ。
蒸気で火傷をしないように気をつけながら、なかなかにがっちりしたフタをめくる。炭火焼感の強い、美味しそうなうなぎのタレの香りがむわっと来る。これはなかなかに美味しそう。
ただ見た目のフォルムが四角すぎるところに一抹の不安が。白飯の上に乗せると、山椒をパパッ。これが結構ちゃんとしたビリビリ感のある山椒で、量もそれなりにたっぷり入っている。タレは多すぎるといけないので、足りないと感じたら追加することにする。
見た目が地味。ずるいのは、パッケージだと山椒の葉っぱが乗っかっていること。ないとかなり地味。おもむろに上のうなぎ状のものに箸を入れてご飯と一緒にいただく。あれ? 美味しい。っていうかうなぎの味。おや??
もうこれでいいじゃないかという高いレベルの再現度。そんじょそこらの輸入うなぎには負けない!
記者はうな重が好物なのだが、中国産の輸入うなぎなどにはがっかりさせられることも多い。ゴムのような食感と生臭さが来ると、もうダメだ。そこそこの店に行けばいいのだろうけれど、なかなか庶民としては価格的に難しい。
それでもいろいろなお店を渡り歩いているうちに、少しばかり真理を発見。それは”山椒って重要”ということだ。3割くらいは山椒の美味しさが担っていると言っても過言ではない。山椒の持ち味は脂感を抑えるビリビリ感と風味による生臭さの除去。容器に入っていても山椒は空気に触れると劣化して気が抜けてしまう。ビリビリしないし、風味も飛ぶ。
その点この『うなる美味しさ うな次郎 長持ちパック』は、パッケージのまま蒸されることによってより緻密な蒸し熱をうなぎ状本体に仕込むことができるし、添付の山椒が少し多めでしっかりビリビリする高品質なものなので、余計に美味しく感じる。ちなみに製造の段階は白焼き状態のものをまず作ってから焼いているという徹底ぶり。頭が下がる。
食感も身を崩せば崩すほど近づく。ひつまぶしのように細かくカットしてしまったら、GACKTでもない限り判別できないのでは? というレベル。これはすごい。内部の白い部分が白焼きのようで、身のほろほろのほつれっぷりもお見事。しかもご丁寧にイカ墨で染めたという皮の部分は食感が少し切れにくく硬くなっているのも丁寧な仕事。ただ皮部分に関しては、わかる人にとってはわかる微妙な違いがある。皮の剥がれる感じが少し違うのだ。
ただ味わいは申し分なし。ふくよかな脂の甘みも感じるし、山椒と出会って生まれる奇跡の美味しさも、国産うなぎレベル。それもこの製品の約10〜14倍のお値段で食べに行く店に匹敵する風味。さぞやタレの完成には悩んだことだろうと思う。
気になるフォルムでいえば、崩さないとどうしてもすっきりフォルムでバレてしまうかも。そもそもうなぎ屋に行ったら、串に刺して焼いているわけで、その串を抜いた跡がないのはおかしいと名探偵でなくとも見抜くだろう。せっかく炭火焼の風味をタレで再現しているだけに、これは惜しい。次なるバージョンアップでは串をつけて欲しいと思う(自分で竹串を刺せという話もあるが)。
何にせよ、絶滅危惧種から脱却するまでは、うなぎはこれでいいやと感じさせるレベル。カニとカニかまの違いよりも接近していると思う。しかも300円程度で2人前というのにはクラクラしてしまう。
この衝撃的に美味しい画期的フェイク・フード『うなる美味しさ うな次郎 長持ちパック』は全国のスーパーマーケットで発売中だが、入荷していない店舗も多いよう。なので確実を期するなら「いちまさオンラインショップ」で入手するのが手っ取り早いだろう。