米国シアトル生まれのコーヒーチェーンで「スターバックスコーヒー」のライバルとして知られる「タリーズコーヒー」。そのブランドで展開するボトル缶コーヒーも他製品とは一線を画す味わいが特徴だ。そんな缶コーヒーシリーズが9月25日に刷新。その肝となるブラック『TULLY’S COFFEE BARISTA’S BLACK(タリーズコーヒーバリスタズブラック)』を味わってみよう。
職人気質のコーヒーの味わいを突き詰めたボトル缶コーヒーの名作がリニューアル。美味しさが失われていないか、確認だ!
「タリーズコーヒー」が日本に上陸したのは1997年。本国アメリカでは2012年に倒産トラブルなどもあったが、日本は独立法人なので影響はなく、今に至るまで順調にその店舗数を増やしている。
ライバルの「スターバックスコーヒー」が若い世代中心の華やかなイメージなら、「タリーズコーヒー」はシックで年齢を問わない店舗の雰囲気が特徴で、いろいろなアレンジコーヒーも良いけれど、職人気質のストレートなコーヒーの味わいが記者も気に入っている。
そして同ブランドから2007年のチルドコーヒーを経て、2009年に発売されたのが缶コーヒーシリーズ。当初からブラックのボトル缶での登場で、シックなボトルデザインとともにその味わいに驚いてファンになった人も多いと思う。リキャップ可能なボトル缶を採用しつつ、大きな開口部から立ち上る本格コーヒーの香りは、それまでの缶コーヒーの常識を覆したと言っても過言ではない。
では当時の缶コーヒーの常識とは何か。それは酸味である。昭和の喫茶店のコーヒーは大抵、苦かろうが、そうでなかろうが酸味が強いのが特徴だった。その酸味を抑え苦味をまろやかにするために、砂糖やミルクを入れて飲むのが前提でもあった。
その流れで作られた缶コーヒーもまた、近年では多少変わりつつもあるものの、基本は酸味がしっかりあるコーヒーが多い。それは無糖ブラックになるとさらに顕著で、酸味が際立つ。最近ブームのスペシャルティ・コーヒーもまた酸味系が主体であるので、奇しくも流行には乗っているわけだが、記者のようにすっきりシャープなブラックを飲みたい人も結構いるはずだ。
ではそうした人々が何を選ぶか。そのファーストチョイスの一つとなるのが、『TULLY’S COFFEE BARISTA’S BLACK(タリーズコーヒーバリスタズブラック)』である。ところが今年の9月25日よりシリーズ全体が順次刷新となった。ちなみにイメージキャラクターは女優の真木よう子。果たして良さを失ってしまっていないか心配だ、ということで飲んでみることにする。
サイズにより微妙に味の違いを出した2種類のボトル・ブラック!
どちらも商品名は『TULLY’S COFFEE BARISTA’S BLACK(タリーズコーヒーバリスタズブラック)』と同じだが、今回2種類のサイズが用意され、味も違いを出している。
■伊藤園『TULLY’S COFFEE BARISTA’S BLACK(タリーズコーヒーバリスタズブラック)』
サイズが大きく、上部に「HOT & COLD」の表記があるのがこちら。今までの製品とほとんど違いのないルックスとサイズ。自販機でもおなじみのたっぷり無糖ブラックのボトル缶である。
缶入りの特性上、熱処理が必要なので香料を足してあるが、それ以外の原材料はコーヒーのみという基本の無糖ブラックタイプ。
深煎り豆独特のシャープなキレが特徴の酸味を抑えたブラック。ブラジル豆を80%、キリマンジャロとコロンビアをそれぞれ10%使用と言う何の変哲もない構成だが、タリーズのバリスタの手にかかるとこんなにも美味しく仕上がる。キリッとリフレッシュしたいときに最適なその味わいは、コクも深く、飽きない美味しさ。まさに鉄板。リニューアル前と基本的に変わっていなくて、逆に安心した。
■伊藤園『TULLY’S COFFEE BARISTA’S BLACK(タリーズコーヒーバリスタズブラック)』
上部に「DEEP TASTE」の表記のある小さいサイズは、390mlの味わいをベースとした少し華やぐ雰囲気。ナッツ感のある柔らかい甘みが特徴のブラジルの有名農園「ダテーラ農園」のアラビカ豆だけを使用した贅沢テイストが特徴。
こちらは香料さえ使用していない純粋ブラック。
これを飲むと、改めて390mlの方はエスプレッソ寄りだと感じる。より普通のドリップコーヒーの美味しさに近づいた一品。
無糖ブラックを選ぶなら、この2種の前を通り過ぎるわけにはいかない!
やはり缶コーヒーの中ではダントツの美味しさを感じた。好みの問題もあるだろうが、休憩時よりも仕事をしながら飲むのに適した味という印象。美味しく思うのは記者だけではないようで、RTD( Ready To Drink※すぐ飲める)ボトル缶ブラックコーヒーカテゴリーでは、手売り業態には限るけれど、ナンバー1の売り上げなのだそう。
おすすめは2種を交互に飲むこと。その微妙でありつつきちんと違う味わいを飲み比べるのが何より楽しいと思う。