北朝鮮で販売されている、同国オリジナルのスマートフォン「平壌」(ピョンヤン)の性能が、海外のギークたちに大きな話題になっている。
現在、北朝鮮でもスマホユーザーの数は増加しており、2017年1月時点で370万人を超える。そんな彼らが使っているのは「平壌」や「アリラン」といった同国で独自に開発・生産されたとされるスマートフォンだ。
「平壌」はサムスン電子の「ギャラクシーS8」と同じぐらいで、大体140mm×70mm相当のサイズ、重さは199g。また同機種は電子書籍などの利用がメインのため、可読性を高めるように設計されているという。
カメラ機能は、オートフォーカスを備えているが、前面が200万画素で後面が800万画素と、最近のスマートフォンにはやや劣る画質だ。また顔や風景などの補正フィルターをはじめとした4モードを備えている。
だが、北朝鮮専門メディアデイリーNKが実際に入手して調査してみたところ、フィルターの補正度はいまいちで、また電子書籍が読みやすいはずのモニターもイマイチだったという。
しかしバッテリー容量は大きく4000mAhもあり、充電できる場所が限られている同国のインフラ事情を考慮して、バッテリーの持ちがよくなっているのではないかと推測されている。
さて独自OSで動いている北朝鮮スマホだが、一体どのようなアプリが使えるのか? 現在確認されているのは「白頭山叢書」「朝鮮大百科事典」「朝鮮辞典」「多言語辞書」「医学常識」などのかたい内容の電子書籍がメインで、カードゲームも若干インストールされているという。
とはいえ、このスマートフォンは一般的なインターネットを利用することはできず、北朝鮮内の独自のネットワークなどを使用できるのみ。もしも海外の人間が手に入れたとしても、ほとんど役に立たないものなのだ。
そんなスペックからすると値段は高い。「平壌」で日本円で約55万円近くもする。これは同国の市場で言えば、米1120kgを購入できてしまう値段なのだ。一見、我々からすれば機能的にも値段的にも食指は動かないのだが、スマートフォンを持つことがステータスである同国では、そうまでしても欲しいガジェットだという。
文/高野景子