スモーキーな潮の香りが特徴の名品ウイスキー、その最古の貯蔵庫から登場した『ボウモア ヴォルト』を飲んだ!

1779年に創設されたスコットランド・アイラ島最古の蒸留所が「ボウモア蒸留所」から生まれるスモーキーさと潮の香りの共存から生まれる独特の風味で人気のウイスキー「ボウモア(BOWMORE)」。まさに”クセが強い”ことから熱狂的なファンも多い「ボウモア」から、さらに最古の第一貯蔵庫(No.1 Vaults)の原酒を使用した『ボウモア ヴォルト』が登場した。

“クセの強さ”こそがくせになる「ボウモア」の複雑怪奇な味わいがさらに際立つ、海抜0メートルの第一貯蔵庫原酒をお蔵出しした数量限定品『ボウモア ヴォルト』!

ウイスキー初心者が飲むと、スモーキーな煙臭と消毒薬的な香りに磯の香りが加わったアイラモルトの味わいは頭の中が「?」でいっぱいになることが多い。「ボウモア」をはじめ、「ラフロイグ」「アートベッグ」などのスコットランド・アイラ島に蒸留所を置く単一モルトの一連のスコッチ・ウイスキー、アイラモルトはどれもそうした”クセの強さ”が特徴だ。


記者もまた、そこそこいろいろなウイスキーを飲んで来たが、初めてアイラモルトを口にした時の衝撃は忘れない。消毒薬と潮の香りが口の中いっぱいに広がり、「なんだ、これは!?」と度肝を抜かれ、一旦は遠ざかった。さすがにこれは、飲めないと。


しかし不思議なもので、時が経つとその不思議なクセをもう一度確認したくなった。なぜだかはわからないし、その時点では決して美味しさをわかっていなかったのだが、改めて理解したくなる複雑な芳香だったのである。

 

初めて聞いたジャズのような、魅力的だけれど理解できないからもっと聴いてみたくなる。そんな感情を抱かせたのが、アイラモルトの女王と呼ばれるこの「ボウモア」だったのである。ジャズが聴ける自分になりたいと無理やり聴き続けたように、その美味しさをわかるようになりたいと、何度もチャレンジすることになる。

 

期間を開けながら、4〜5回目で、手がかりを得た。水割り、ソーダ割り、ストレート、ロックなどいろいろ試した。そしてついにスモーキーで消毒くさいその向こうにフルーティーさを見つける。「ボウモア」はアイラモルトの中でも飲みやすい部類に入るのだそうだが、結構な時間がかかってしまった。


そんな理解するのにひょっとしたら時間がかかるかもしれないが、わかればその奥深い味わいにしびれること確実なのが、サントリー『ボウモア ヴォルト』(700ml・アルコール度数51%・希望小売価格 税抜12,000円・2017年6月6日発売)である。一番ポピュラーな「ボウモア」(700ml・アルコール度数40%・希望小売価格 税抜4,400円・発売中)を考えると、3倍近くの価格となるラインナップの中でも最高級品。

 

その価格の理由は、ずばり1779年に創設されたスコットランド・アイラ島最古の「ボウモア蒸溜所」の中でも最も古い「No.1 Vaults(第一貯蔵庫)」に保存されている原酒を使っているから。そこはもっとも海に近い海抜0メートル地点で、荒れた海の波をもろにかぶる場所。推測するに、通常「ボウモア」よりもさらに潮の香りが強いのではないか。そんな思いを抱きながら、どことなく青みの入った落ち着いた黄金色のボトルを手に取り開栓だ。

消毒薬臭はまろやかに、磯の香りとスモーキーさが加わると、華やかなフルーティーささえ感じさせる上質な深みに、しばしうっとり…


ところが瓶の口から飛び出して来たいわゆる消毒薬の香りはまろやかに変化しており、その後から追撃してくるスモーキーさと合わさると、何とも言えない荘厳な香りへと変化。まずはストレートで味わってみたが、51%という高アルコール度数は辛口だけれど、熟成のためトゲは無く、ズシンと響きながらも喉をまんべんなくローストしていく感じ。


そして特有の磯の香りが鼻に抜けながら、いにしえのパイプオルガンのような倍音の混ざった複雑なハーモニーを生み出す。これはかえって飲みやすいのではないか。スコッチ・ウイスキー初心者だとしても、ここまでゴージャスな響きを感じられれば、「ボウモア」の真価をいともたやすく感じられるのではないか。


オススメはやはりロック。ソーダ割りにしてもいいが、正直ロックでしっかり味わう方が、美味しさをわかりやすいように感じる。ストレートも捨てがたいが、正直相当アルコールに強い人でないと、あっという間に酔っ払ってしまうだろう。


麦芽をピート(泥炭)で焚き、丁寧に乾燥させ、海風をもろに受ける貯蔵庫で長い眠りについたシングルモルトのふくよかな味わい。濃厚なチーズやスモークしたナッツなどと相性が抜群。


もちろんこの『ボウモア ヴォルト』は第一貯蔵庫の限りある原酒が元になっているので数量限定発売。普段からスコッチ・ウイスキーを嗜んでいる人、アイラモルトに目がない人なら、無くならないうちに一度は飲んでおきたい。


入手は全国の酒類販売店にて可能だ。

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清水 りょういち: