夏が近づけば格段に美味しくなるアイスコーヒー。ところがことコーヒーメーカーとなると、アイスで楽しむことを意識した製品自体が少ない。その点この『サーモス アイスコーヒーメーカー ECI-660』はアイスコーヒー・ファンのためにばっさりホットを切り捨てたストイックなアイス専用機。これはもう試すしかない!
氷を入れたサーバーに直接ドリップ、二重構造で保冷するサーバーとともにアイスコーヒーの美味しさを極限まで追求した!
以前から記者は魔法びんメーカーこそが、コーヒーメーカーの可能性をぐんと高めると主張してきた。ホットに関しても、密閉した保温・保冷サーバーに直接ドリップすることによって、空気に触れる工程を最低限にすると味わいが格段に違う。
中でもアイスコーヒーに関しては、氷が溶けることをいかに最小限に食い止めるかで、仕上がりは格段の差となる。どんなに美味しく抽出しても、氷が溶けすぎて薄まってしまえば元も子もない。そのためには夏の外気をシャットアウトする保冷構造がサーバーに備わっているのは、いわば必然。氷の上に直接ドリップすることによってコーヒーは一気に冷却されるので、必要最低限の薄まりで美味しいアイスコーヒーが出来上がる。
サーモスは世界的な魔法びんのパイオニアメーカー。だからそこがアイスコーヒー専用のコーヒーメーカー『サーモス アイスコーヒーメーカー ECI-660』(吸水タンク/0.31L・サーバー/0.66L・公式サイト価格 税込10,800円・2017年3月1日発売)を作り上げたというのだから、気になるにもほどがある。
実際商品特徴をさらっと見ても、保冷サーバーと氷に直接ドリップするという記者がアイスコーヒー作りに必須と思っている機能を備えている。さらにコーヒーメーカーといえば黒が主流。ところがこの『サーモス アイスコーヒーメーカー ECI-660』は、樹脂製の本体が一見写真ではチープに見えるかもしれないが、バニラホワイトとミントブルーのカラーリングは北欧風なデザイン性に溢れており、インテリア性も高い。では実際に試してみよう。
しっかり濃くて、水色の透き通った絶品のアイスコーヒーを淹れるための技術が結集!
本体自体はそこそこ大きめなのだが、ドリッパーは小さい。使用するフィルターは102サイズを使用する。ただ本来アイスコーヒーは濃いめにドリップするものなので、これでグラス5杯ぶん作れる。蓋を開けたその奥にまた蓋があり、給水タンクがあるのだが、これは取り外しがきかない。水量計は見やすいが、メンテナンス性は低い。コーヒー抽出時に跳ね返りを浴びるドリップ口も取り外しがきかない。蒸気は上部から噴出。
構造のポイントは、サーバー収納部の奥にドリップレバーが存在するということ。密閉されたサーバーを押し込むと、このレバーによってサーバーを開口するという仕組み。空気に触れることで起こる酸化による味の劣化をこれで防いでくれる。
コーヒーフィルターをセットしたら、付属の計量スプーンで一杯につき7gのコーヒー粉を入れる。5杯ぶんまで入れられる。ただコーヒーの粉はアイスコーヒー用となっているものか、深煎りのものを使用するのが原則。粗挽き・中挽きは使用可能だが、細挽きは不適格。おそらく雑味が出やすく、微粉が混じり、アイスコーヒーが透き通らないからと思われる。
そして給水タンクに水を入れたら、サーバーの準備。
蓋をひねって外し、氷をたっぷり指示線まで入れる。あまり大きい氷を使うと隙間が多く空いてしまい、氷の量が減ってしまうのに注意。
蓋をキチッと閉めて本体にサーバーをセットする。そしてスイッチをオン。ちなみにオフスイッチはないので、中止はできない(どうしても中止したい場合はコンセントを引き抜く)。スタートするとランプが点灯、蒸らし中は点滅し、ドリップ中は店頭。完了すると消灯し、ブザーが鳴る。3杯で約5分、5杯でも約7分で仕上がるのはかなり早い部類。
出来上がったらサーバーを軽く振って内部のコーヒーをよく冷やし、グラスに注げばいい。透明感のある極上のアイスコーヒーが出来上がる。あとは使用するコーヒー豆の味わいの問題だ。きっちり蒸らし工程を経た仕上がりで、苦味もしっかり出てボディ感のある生々しいコーヒーが出来上がる。
豆は何種類か試したが、コーヒー豆の実力を存分に発揮した仕上がり。深煎り系の豆ならば、大抵美味しく飲める。コーヒー専門店の味に近い高いレベルのアイスコーヒーが、自宅で楽しめるのだから、これは素晴らしい。
もちろんホット/アイス兼用コーヒーメーカーに比べると、使用可能なのは5月〜9月くらいまでだろうから、最大でも約半年程度と考えると割高に感じるかもしれない。しかし1万円程度の投資で、極上のアイスコーヒーを楽しめることを考えると、アイスコーヒー・ファンなら決して高い買い物だとは思わないだろう。
使用後は本体が冷めてからドリッパーを取り外し、サーバーとともに洗浄する。サーバーは二重構造なので、万が一水が隙間に入った時でも水抜き穴があるのが気が利いている。連続使用は最低10分間の間隔を開けないとスイッチがオンにならない仕様。