LED電球というものは通常の電球と違って、電気代が安い上に半永久的に持つ…という言葉を信じて購入、しかし半年後になぜか首をひねりながら切れたLED電球を交換している。そんな謎の局面を避けることができ、さらに穏やかな炎カラーで照らして人間にリラックスを与えてくれるという『タフらいとシリーズ-火のいろ-』を検証してみた。
LED電球は交換を忘れるくらい長年持つという定説は嘘だったのか!?
構造的に”電球が切れる”ということがないから、LED電球は半永久的に不滅ですという説明を、電気店店頭で受けた人も多いのではないだろうか。ところが半年もしないうちに交換の憂き目にあったことがある人がいる。記者もそうだし、身近にも何名か。
LED不滅説はデマだったのか。拳を握りしめている人は、記者だけではないはずだ。そこに答えを出してくれたのが『タフらいとシリーズ-火のいろ-』(190lm※一般電球20W相当・消費電力4.5W/E26口金・希望小売価格 税抜6,980円・2017年1月中旬発売)をリリースするKKテクノロジーズ(東京都小金井市)。実はこれまでのLED電球は半永久的に輝き続ける半導体素子LEDを使用していながら、電解コンデンサーという最初から寿命が決められている部品を使用していたのだ。
つまりLEDが輝き続けようとしても、電気を送り続ける電子部品が故障する。これが半永久的に不滅なはずのLED電球が”切れてしまう”状況。LEDは悪くない、それを活かす部品の問題だったというのは目から鱗だが、どっちにしても故障してしまうのでは意味がない。
LEDのあるべき寿命を活かす技術、それが電解コンデンサレスLED電球。そしてさらに演色性へのこだわりを加えて…
そこでKKテクノロジーズが開発したのが、故障すべき運命にある電子部品・電解コンデンサーを使わない「電解コンデンサレスLED電球」。これにより本来のLEDが持つ性能を最大限に引き出すことに成功した。そしてその技術を採用して生み出されたのが、演色性にもこだわった『タフらいとシリーズ-灯(ともしび)』-通称、”火の色電球”だ。定格寿命6万時間は、点けっぱなしで7年近く持つ計算。業界初の5年保証つきというのもその自信の表れだろう。
技術的に壊れにくいLED電球であることはわかった。しかし電球というからには、照らすのが仕事。灯りというのは奥が深いもので、ちょっとした色味の違いで部屋の雰囲気さえガラリと変えてしまうもの。ブルーライトの問題が最近取りざたされることも多くなったが、確かに白色で煌々と照らして、基本的にはちらついている蛍光灯下で人間はくつろげないもの。
なのでくつろぎを演出したいリビングルームなどではなるべく暖色の照明を取り付ける人も多いのではないか。LED電球にしても、穏やかな電球色を選んでいるのでは?
しかし本来の白熱電球が持つ電球カラーを改めて見ると、LEDの電球色の貧相さを感じてしまったことはないだろうか。それこそ演色性。物体を照らしてそのものの持つ色合いをどこまで再現できるかという問題。でもまあ電気代は安いことだし、気のせいかもしれないしと無理やり自分を納得させていたのでは?
ロウソクの炎を完全再現!? まるで暖炉のそばにいるような暖かな光で空間が満たされる。これぞ至福の照明!
ここまで説明したのは『タフらいとシリーズ-火のいろ-』の理屈の部分。そうしたバックグラウンドもいいが、やはり照明なので、実際に使ってみたい。特にポイントとなるのが”ちらつきを抑えた”という部分。業界的にはフリッカー低減と呼ばれるもの。
LED電球はずっと点灯しているように見えるが、実は人間の目が認識できない程度に点滅しているのが通常。テレビやパソコンのモニターディスプレイも同様で、リフレッシュレートと呼ばれるのが点滅の度合い。これが高メガヘルツだとより滑らかに見える。
古くなった蛍光灯がちらついて見えるのはそうしたフリッカー現象。ところがLED電球も同様にフリッカー現象が起きているのが通常。そこに第一に引っかかるのはどんな人かというと、カメラマンである。
シャッタースピードを速くして一瞬を切り取ろうとすると、このちらつきが映ってしまうのだ。通常のLED電球と比較してフリッカーテストを行ってくれたカメラマン氏。いち早く複数購入したいと心に決めたほど、優れた性能だったという。
人間にとって肉眼では反応していないように見えて、このちらつきは実はテクノストレスの一因でないかと言われている。ろうそくの光のようにまばゆい光はちらつかないから、人間はリラックスできるものだからだ。
実際に家の照明機器に取り付けて、『タフらいとシリーズ-火のいろ-』のみで一晩生活してみた。点灯した瞬間はやはり20W相当ということで暗いかなと思ったが、次の瞬間に脳裏をよぎったのが、原始の記憶である。
大げさかもしれないが、野生動物に襲われないように火を囲んで夜を過ごしていた人類のあけぼの当時のような、何とも言えない雰囲気に家の中が変わったのである。本物の暖炉の前に座った時のような。
決して明るくはない、少し眠くなるようなリラックス感。これぞ副交感神経フィーリング。人間はいつもブルーライトに照らされて、ビリビリとした戦闘体制のような光のもと、交感神経優先で社会生活を行なっているが、この光はそうした全てを忘れさせてくれる副交感神経優先の感覚をすぐさま感じさせてくれた。
記者はそうした交感神経優先の悩みを随時抱えているから、余計に反応してしまったが、この落ち着いた明かりの魅力を一瞬で感じ取ってしまった。ちなみに紫外線を含まないということで対象物を傷めずに照らし出させるということで、まず最初に寺院などの文化財の照明に喜ばれたという話は頷ける。
生活の中で特におすすめと感じたのは食事の場面。暖色というよりも強いオレンジ〜赤に感じるこの光のもとで食べる肉の色は3割増しで美味しく感じられる。料理の腕を磨くのが面倒な主婦でも、腕が上がったようなフェイントがかけられるという寸法だ。焼肉店などで採用している店舗があるというのも頷ける。
正直最近安くなってきたLED電球の中では高価だ。今では100円ショップでも売られ始めてきた(さすがに100円ではなく特別価格だが)だけに、余計に高く感じる。
しかしLED本来の説明である半永久的に持つというのが本当なら、故障して数度交換しなければならないことを考えると、高くはないのかもしれない。パナソニック出身のKKテクノロジーズ代表の加賀谷氏が”電球を替えることを知らない子供たち”が登場するように頑張りたいと雑誌で語っていたのも、荒唐無稽ではない。
『タフらいとシリーズ-火のいろ-』の演出性は一般的に知られたRaよりも格段に難しい、赤色も含む特殊演色指数も含めたCRI94で、色温度は2000K。電気代目安は一日あたり0.7円。調光機器には非対応。種類は、通常のE26口金の電球型と、スポットライトによく使用されるE11の2種類。それに3月から新製品としてE26のミニボール型(ともしび-CHIBI-)がラインアップに追加される予定だ。このロウソクの炎カラーは一度体験してみたほうがいい。