ジュース史に金字塔をうちたてた「桃の天然水」は、販売会社JTが飲料事業より撤退を決めたことにより、今年9月末をもって製造中止。そんな「桃天」がリニューアルバージョン、“最後のデザイン”として発売された。終了までたった半年未満、そんな思いをもって飲んでみたら、こりゃウマいよ…。
■完全「天然」化しや優しい甘みに
最終形態となった「桃の天然水」は、ジュースとしては最高レベルに。果汁10%ながら、人工甘味料ゼロ、保存料ゼロ、着色料ゼロという優しい素材へとメタモルフォーゼ。飲んでみると甘さも控えめになっており、熱い日にはゴクゴク飲みたいのどごしの良さもある! 最後を迎える直前に、まさかこんなに柔らかな魅力を見せてくれるとは…。
■最高記録を打ち立てた大ヒット商品
1996年に発売された同商品は当初、まったくの鳴かず飛ばず。だが98年、歌手の華原朋美をCMに起用して大ヒット商品になった。ともちゃんの「ヒューヒュー」というフレーズが流行語となったことが、さらに販売を加速させている。1600万ケースを販売、JT飲料商品としてはいまだに抜かれない最高記録。
■一時は“呪い”の噂も
とはいえ都市伝説において、このCMに出演タレントたちは不幸になるという“桃の天然水の呪い”なんてものまでも登場。華原朋美が恋人だった小室哲哉との関係破綻でながらく不安定に、出演したローラは父親が逮捕…といった事件はたしかにあったのだが。それだけ愛飲されたゆえの反動としての噂だったのかも知れない。
■販売終了を伝える公式サイトも泣ける
そして桃の天然水の公式サイトがまた泣けるのだ。「2015年9月末をもって終了予定です。今まで、いっぱい飲んでくれて、いっぱい愛してくれて、本当にありがとう! これからもみんなのHAPPYが、ずっと続きますように」とトップページに記されており、それを読みながら飲んでいたら、目頭に熱いものが。
天然水の最後の看取り飲み、こんなにさみしいことはないですね…。
文/高野景子