狙撃成功率100%、正体不明のスナイパーアクション『ゴルゴ13』。その主人公がいままでに得た一番“高額”のギャラがすごいのだ。それは1300京ジンバブエ・ドル! 万、億、兆…その次にくる単位が京。他国の通貨とくらべても無意味だが、日本の国家予算が約96兆円なわけで、京という単位のものすごさが伝わるだろう。
これは2010年の「ビッグコミック」(小学館)に掲載された「標的は陽気な悪魔」というエピソード。世界史上最悪と言われるインフレを起こしていたアフリカのジンバブエで、その元凶となる人物をゴルゴが狙撃するというものだ。
■実話をもとにしたリアル・エピソード
実話をもとにしており、同国のインフレの動きはたしかにすごい。ジンバブエは08年8月にインフレ収束のため、最高500ドルの紙幣を発行、だが10月には5万ドル紙幣、12月には5億ドル紙幣、翌年1月12日には500億ドル紙幣、1月16日には50超ドル紙幣(この時は最大100兆ドル)をつぎつぎに発行している。
■ゴルゴのギャラ、インフレで価値が10分の1に
そんな“最中”にゴルゴは、ジンバブエ・ドルでの支払いにもかかわらず依頼を引き受ける。依頼時で約12億円のギャラだがインフレスピードが猛烈なため、仕事終了時には約10分の1の1200万円になってしまう…にもかかわらず。
そこで見せたゴルゴのプロスナイパーとしての美学はじつに感動的。ぜひ、単行本にてご自分の目で確かめて頂ければと! 現在コンビニに置いてある廉価版サイズの別冊ビッグコミック「特集ゴルゴ13シリーズ」で筆者はこのエピソードを読んだ次第。
よくネットでも“価値がないもの”としてネタにされてきたジンバブエ・ドル、それをあえて受け取ったゴルゴはかっこ良すぎ。
■現在ジンバブエ・ドルは廃止
ちなみにジンバブエ・ドル (Z$) は09年で発行停止。2014年現在米ドル、ユーロ、英ポンド、南ア・ランド、ボツワナ・プラ、人民元、インド・ルピー、豪ドル、日本円の9つの外国通貨が法定通貨として定められているぞ。
文/原田大