全国に30店舗近くあるラーメン二郎だが、開店前から行列ができるなど、どの店も絶対的な人気をほこっている。だが、ラーメン二郎インスパイアと呼ばれる、スタイルを模した店はかなり厳しい状況だという。
■二郎インスパイアで廃業店もぞくぞく
関東近郊で2011年に二郎インスパイア系の店をに出したが、昨年廃業した店主は語る。
「オープン当初は人がはいったが、すぐに客足がとだえはじめました。僕自身ジロリアンだったこともあり、そこいらの二郎に負けない味のものを出していたつもりですが」(元店主)
だが客足が鈍くなったことにより、コストを下げるため、材料も当初よりも低品質のものにするなどで対応した。そのことで、さらに「味が落ちた」として客が減ったという。そして赤字だけがかさみ、ついに閉店することに。
■二郎インスパイアバブルが崩壊
「二郎みたいなラーメンを出せば儲かる、と思った人たちが2007年ごろから次々にインスパイア店を出しましたが、閉店したり赤字を出し続けている店も多い」(フードライター)
一時はチェーン店も二郎風のメニューを出したりしていたが、最近では見なくなった。だが行列を見るかぎり、二郎ブームが去ったわけではなさそうだ。
また大阪のラーメン荘グループのように、二郎不在の地に出店することで、地元では人気店となっているところもある。また東京でも用心棒など、インスパイアながらも客が列をなす店もあるのだが。
■二郎の看板でこそのラーメン二郎
「結局ボクは『ラーメン二郎はラーメンではなくラーメン二郎という食べ物なのだ』ということをわかっていなかったんですよ。二郎というブランドだから成立している。二郎風では、当然ラーメン二郎にはなれないし、それほどの人気は得られないんですよね」(前出・店主)
廃業した彼は、ラーメン経営で出した借金を返しつつ、妻の実家が経営する飲食店の手伝いから出直すという。
「でも、これだけの目にあっていながら、今でも二郎を食べに行ってるんですよ。最高のラーメンですよね」そう目を輝かせながら語ってくれた。
とはいえ、ラーメン二郎のようにならばずに入れるインスパイア店は貴重な存在、どうか今ある店だけでも、長続きしてもらいたいと筆者は思っている。
文/鷹村優