■台湾モスが5商品にドブ油を使用
日本の人気ハンバーガーチェーン「モスバーガー」の台湾法人が、通称「地溝油」、日本では「ドブ油」と呼ばれる違法油を使っていたことが判明した。13日、主力のモスバーガーなど5商品で使用していたことを、現地法人が発表した。
日本へこのどぶ油が輸出されたことは確認されておらず、現時点で、日本の商品は安全だと見られている。
■ドブ油からヒ素の100倍の毒物も検出
以前から中国本土では大きな問題になっていたドブ油だが、台湾でも発覚し、大規模な回収騒動となっている最中だった。警察当局の発表によれば、主犯格6人らは台湾・屏東、高雄などで、“闇のドブ油工場”を経営、台湾の大手油脂メーカー強冠企業にも卸していた。
強冠は「全統香豚油」として販売していたことから台湾中に流通し、現地のコンビニ・ファーストフード、食品工場など、広く使用されることになってしまった。782トン作られ、408トンがすでに使用されたと見られている。
このドブ油の有害性は高い。中国本土では、毒性はヒ素の100倍にも及ぶ発がん性物質の「アフラトキシン」、劇毒農薬「666」と「DDT」などが基準値以上が検出されており、たしかな調査データは明らかになっていないが、かなりの健康被害を引き起こしていると言われている。
■おぞましすぎるドブ油の製造法
ドブ油は、作業員がマンホールからもぐり、下水道内の汚物にしか見えないような茶色い、または赤黒いノリ状の物体を掻き出す。それを闇工場にはこび、一昼夜かけて濾過、その後に加熱、沈殿、分離などの工程を経て作る。「ネズミも逃げ出す」ほど臭かった油は、この時点で無臭になっているが、黒ずんだ異様な色になっているという。
だが、この油の販売価格はサラダ油の半額程度であるために、コストを下げたい飲食店や食品メーカーなどから強い需要があったという。販売業者も悪いが、それとわかっていて使用していた悪どい店やメーカーも横行していた。
今回モスバーガーはいち早く対応したが、台湾に進出している日本のフードメーカーや飲食チェーンは多いため、「各社の現地法人が必死で確認を急いでいる」(経済誌記者)という。ドブ油騒動はまだしばらく尾を引きそうだ。