「ラーメン特集雑誌なんかで、腕組みした店主の写真を載せてる店って多いですよね。ああいう店が、潰れやすいって伝説があるんですよ」
そんなジンクスを教えてくれたのは、ラーメン業界関係者だ。インターネット上でもよくネタにされる最近のラーメン屋さんのスタイル。巻いたタオルを目深にかぶり、そして腕組み。おまけに「らっしゃせ〜」など言っていれば完璧だ。
これが、意外に信ぴょう性があるのではないかと指摘する飲食ビジネスのコンサルタントもいる。なぜならそんな腕組みしている主の店に、客は行きたいと思わないからだという。
「客商売なのに腕組みしているっていうのが、そもそもおかしい。腕組みは相手に心を開いていなかったり、自尊心の高さをあらわしていたりするジェスチャーです。客の心証は悪くなる。千客万来を願うなら、一昔前のギャルがプリクラを撮るときのように、腕を開いて前に突き出すような写真の方がまし。客商売で腕組みしていいのは、仙台四郎だけ、僕は顧客にそう言ってますよ(笑)」
たしかに筆者が大手ラーメンチェーンの社長を取材した際にも、その社長が写真を撮るときの心構えについて指摘していた。
「投資家では腕組みして写真を撮るようなやつは早々と潰れ、頬杖をついて写真を撮るようなやつだけ生き残るなんて話があるんですよ、ネットでみた知識なんですが(笑)。たしかにジョージ・ソロスさんなんかは、腕組みしていないんですよね。だから僕は腕組みは傲慢の証で、そうしているうちに自分の仕事を反省したりできなくなるんじゃないか、そう思ったんですよ」
と語っていた。実際この社長を飲食の業界新聞などでも見かけても、腕組みをしているところはほとんど見かけない。逆に、すぐに腕組みをして写真に映ろうとするのが、ラーメン屋の店主ぐらいなのかも。
ちなみに先程のコンサルタント氏によれば、「でもラーメン作るわけでもない、ラーメン食ってあれこれ言うだけのラーメン評論家が腕組みして写真に写ってるのが一番滑稽です」とのこと。たしかにあの人たちも、腕組みしてますよね…。
文/原田桜