12日、「人を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられる賞として、すっかりお馴染みとなったイグノーベル賞の受賞者が発表された。
もはや常連となった日本人研究者だが、今年は、ネズミにオペラを聴かせることで延命が図られることを突き止めた帝京大医学部の新見正則准教授ら研究グループが「医学賞」を、タマネギを切って出る涙が出るもとになる酵素を突き止めた、ハウス食品ソマテックセンター研究主幹の今井真介氏が「化学賞」を、それぞれ受賞した。
「化学賞」を受賞したタマネギの研究によると、これまで、タマネギが涙を誘う原因の酵素は、風味をつくる酵素と同じと考えられてきた。しかし、今回の研究により別の酵素の働きによるものであることが判明。この酵素の働きだけを抑えることで、風味はそのままで、切っても涙が出ないタマネギを開発することができるというわけだ。
そしてなんと、今井氏によれば、この夢のタマネギはすでに作ることができたのだという。ただし、遺伝子組み換え技術を使ったことから、食用にすることができず、まだ誰も食べていないのだとか。
このニュースにネットでは、「タマネギ(の研究)はイグじゃなくリアルノーベル賞もんじゃね?」など絶賛の声があがっている。そしてこうした反応に目ざとく反応しているのがビジネス方面。すでに熱い視線が注がれている可能性が高いのだという。
「涙の出ないタマネギ、これは売れますよ。最近では涙が出るのがいやだから、とタマネギを料理に使うことをためらう人もいるぐらいですからね。また、使わないとまではいかないけど回数が減りがち、という人がもっと積極的にタマネギを使うようになれば消費量も上がってくる。イグノーベル賞は誰の役に立つんだ、という感じの研究がよく選ばれてますが、今回のは実用的な研究、と言えるのではないでしょうか。あとは遺伝子組み換え技術を使わずに作れるかどうかカギでしょう」(経済誌記者)
涙の出ないタマネギ、あなたなら買いますか?
※写真はWikipediaより
(文/蜂須賀和哉)