山形「芋煮界」に新たな動き 塩味投入は宮城への宣戦布告か

『【東北限定】 日清食品 日清のどん兵衛 芋煮うどん』 ※これは山形風です
恒例のジャンボ芋煮鍋が登場

9月1日、山形市内の河川敷で「日本一の芋煮会」が催された。直径6メートルの巨大鉄鍋に芋煮の具材を入れて、ショベルカーなどの重機で調理し、客に振る舞う豪快なイベントだ。

ちなみに芋煮会とは、芋や肉、キノコなどを鍋にしたものを河川敷で食す行事で、主に東北地方で秋ごろに行われている。山形は特に芋煮会が盛んな地域の一つである。

何やらキナ臭いことに……

山形で食される芋煮は、醤油で味付けし、肉は牛肉を使うのが一般的とされる。しかし、今回の「日本一の芋煮会」では、新たな挑戦として、塩で味付けした鍋も登場。訪れた人々が食べ比べをしようと、2つの鍋の前には長い列ができたようだ。

だが、このイベントに対し、宮城出身の男性(45歳)は何やら隠されたメッセージを読み取ったようだ。

「芋煮と言えば宮城県、味付けは味噌以外にはあり得ません。山形が山形風芋煮として醤油味を楽しむのは別に構いませんが、次に投入するとしたら味噌味でしょう。それを敢えて塩味にしたというのは、明らかに「宮城外し」を意識しているとしか思えません」

そ、そうなんですか……この男性の愚痴は止まらない。なんでも、「日本一の芋煮会」に馴染みのない塩味まで引っ張り出してきたのに、あえて味噌味は外す、これがあてつけのようで気に食わないらしい。

「そもそも、この「日本一」に毎年ひっかかるものがあるんですよ。芋煮といえば、豚肉、味付けは味噌。これが日本一美味い。あのイベントは「日本一の山形風芋煮会」と名前を変えるべきですよ」(前出の宮城出身の男性)

ならばあなたが音頭をとって宮城でも日本一の芋煮会イベントを開けばいいのでは、と考えてはしまうが……。芋煮会の具をめぐっては、こうした正統争いが時折勃発する。これもまた東北の秋の風物詩なのかもしれない。

毎週食べるんだってさ

ところで、昨日NHKニュースに登場した「日本一の芋煮会」に訪れた山形市の男性は「ことしも芋煮のシーズンが始まったという感じです。これからの季節、週末は必ず芋煮会を開いて楽しみたい」と話していた。

なんと「週末は必ず」である。山形にはこれが当たり前なのかもしれない。ならば、これはさすがに山形が日本一を名乗ってもいいのではないだろうか……

(文/林田卓夫)

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