暑さが長引き、冷やし中華も依然人気
気がつけば8月も終わり。しかし暑い。暑過ぎる。夏の終わりとともに人気も一服する冷やし中華も、今年はまだ売上が衰えをみせていないようだ。
冷たい麺に冷たいキュウリやハムの千切りを載せ、冷たい汁をかけるという冷たいづくしの冷やし中華だが、日本全国、地域によっては同じ冷やし中華でも名称や食べ方が違ったりする。
そもそも「冷やし中華」は、関東地方を発祥として広まった呼び方。他の地域では通じない場合もあるのだ。
夏の国民食ゆえに相当なこだわりを持っている人も多い。一つ間違えれば殴り合いのケンカに発展することもあるというから細心の注意を払いたい。
口のきき方に気をつけろ!
例えば北海道では冷やし中華を、冷やしラーメンと呼ぶ。ラーメンどころの北海道らしいネーミングだ。冷たいラーメンと区別つかなくね?などと北海道出身の友達を問い詰めてはいけない。さもなくばケンカ勃発である。
やや南下して岩手・盛岡は、冷やし中華とは別に冷麺があるのでまぎらわしい。盛岡冷麺は、コシのある半透明の麺を牛ダシの冷たいスープでいただくキムチ入りのピリ辛麺。韓国冷麺とほぼ同じ、あの冷麺だ。一方、冷やし中華は、冷やし中華の呼び名の他、冷風麺などと呼ばれている。冷麺を冷やし中華などと言い間違えると、冷麺のスープのように赤い血を見ることになるかもしれない。
うどんばっかり食べてる香川県では、全ての冷たい麺料理をまとめて冷麺と呼ぶらしい。盛岡式であろうと韓国式であろうと、冷やし中華であろうと全部「冷麺」。香川の店で「冷麺」とだけ注文すると、店員が混乱して冷たいうどんが出てくる、みたいなことになりかねないので、しっかりどの冷麺なのかを伝える必要がありそうだ。
許せる派?許せない派?
さらに名称だけではない。食べ方においても全国各地で違いがあるが、よく揉めるのがマヨネーズ。愛知・名古屋や福島から来た友達の冷やし中華には、皿の縁にマヨネーズをそっと添えておいた方がいい。この2地域では、冷やし中華にマヨネーズを、当たり前のようにかけている。うっかり忘れると難癖をつけられるかもしれない。逆に、その風習を知らない人にマヨネーズをつけると、やっぱり難癖をつけられる。悩ましいところだ。
また、具材として缶詰のみかんやさくらんぼを載せる風習もある。年配の人は”懐かしい”と喜ぶが、若い世代は”ありえない”と完全拒絶する可能性があるので注意が必要だ。
味覚の問題は、マジ喧嘩にまで発展する可能性がある。冷たいけれど、各々のこだわりは熱い冷やし中華。ただでさえ暑くてイライラしているところに余計な火を注がないように、取り扱いには充分に注意しよう。
(文/編集部)
※画像はwikipediaより