やたら持ち上げられるが……
今日から7月。梅雨明けはまだだが、夏っぽい天気の日も増えてきた。今週末は、気温もさらに上昇し、蒸し暑い日が続くとのこと。
こうした状況のなか、テレビ等でも暑い夏を乗り切る知恵的な企画が増えてきている。今朝も、NHK朝の情報番組『あさイチ』でグリーンカーテンを取り上げていた。
少し遅い印象もあるが、ゴーヤは成長が早いので今からでも間に合う。ホームセンター等で苗を購入すれば夏の暑い盛りまでに充分に成長するだろう。エアコンの使用頻度を減らせるので電気代の節約にはなるし、ゴーヤも収穫できる。興味のある人は試してみてはいかがだろうか。
しかしこのゴーヤのグリーンカーテン、いいことばかりではないようだ。グリーンカーテンに挑戦し、その負の側面に懲りてやめてしまった人もたくさんいる。ゴーヤカーテンを始めようという人は、この記事を最後まで読んでから決めた方がいい。
害虫が大量に……
今年はもうゴーヤは栽培しないというAさんは昨年を振り返る。
「オレンジ色のような薄茶色のような虫が大量発生するんです。別の場所に植えていたキュウリは葉を食いつくされて枯れてしまいましたし、他の植物もかじりまくっていて、壊滅状態ですよ」
この虫の名はウリハムシ。名前の通り、ウリ系の葉が大好物で食いまくる上に大量に繁殖するため、自宅のみならず、近隣の庭にも被害をもたらす生粋の害虫だ。ひとたび大発生してしまうと農薬の効果も乏しく、ひたすら獲って殺すしかない厄介者だ。
この他、あの強烈なニオイの嫌われ者、カメムシの仲間たちもゴーヤに群がる。メディアなどでは「ゴーヤカーテンで優雅でオーガニックな昼下がり」などと持ち上げられているが、下手にカメムシを刺激してしまったら、そのエレガントなひとときも台無しになるだろう。
”夏の味覚”で家がボコボコに
さらに、便利なはずのゴーヤカーテンそのものが、厄介者になることもある。
「台風がくると、ゴーヤカーテンが大きく波打って、あのゴツゴツしたゴーヤが壁に激しい攻撃を加えるんです。青くて硬い実が雨戸を凹ませ、中が赤く熟した実は壁に叩きつけられて破裂。殺人事件の現場みたいに真っ赤な跡がついて、もう散々でしたよ」(Aさん)
小規模なら自分が泣けばいいが、欲張って2階まで伸ばしてしまった巨大カーテンは自分の家だけでなく隣人にもナパーム弾を飛ばす可能性がある。『生活笑百科』で四角い仁鶴に相談するようなトラブルに発展しかねないのだ。
「涼しかったり、ゴーヤが食べ放題だったりと良い事もたくさんありますが、マイナスの側面もたくさんある。メディアは礼賛するばかりでなく、そういった面にも目を向けて欲しいですね」(同)
こうした”弊害”を気にしてか、『あさイチ』でもゴーヤ以外のグリーンカーテンも紹介していた。そう、グリーンカーテンはゴーヤだけではないので、他の植物も検討してみるべきだろう。しかし、どんな植物でも、多かれ少なかれ虫は呼ぶし、カーテンになれば風の影響は受ける。マイナス面がないグリーンカーテンなどない、ということは肝に銘じておくべきだろう。
文/編集部