”深夜の飯テロ”と評判に
先週よりフジテレビのアニメ枠『ノイタミナ』でアニメ『銀の匙』の放送が開始された。原作は同名のマンガ(週刊少年サンデー』連載中)で、作者は鋼の錬金術師で知られる荒川弘先生。北海道の全寮制農業高校で学ぶ生徒たちの青春の日々を綴る内容だ。
この『銀の匙』は農業をテーマとした作品だけあって、食べ物の描写にはかなり力を入れている。第1回の放送でも、産みたての卵をご飯に落として食べるシーンが神々しく描かれており、その描写にネットでは「卵かけご飯が食べたくなった」「深夜なのに飯テロアニメか」などと絶賛する声が相次いでいる。
「あの食べ方無いわー」
しかし、一方で、その卵かけご飯の食べ方について、異論を口にする人も少なくない。ネットでも、あの食べ方は無いわ、という書き込みが散見された。
顔を紅潮させながら次のように語るのは、B級グルメをメインに取材するフードライター。
「卵かけご飯といったら、ご飯に直接割り落とすんじゃなくて、別の容器で充分に混ぜてからご飯に流しこむのが基本じゃないですか? あれでは、白身と黄身が混ざり合う前にご飯の熱で固まってしまいますよ」
卵かけごはんに”基本”があったこと自体驚きだ。さらに彼は、その描写の”危険性”についても指摘している。
「百歩譲って、ご飯と一緒に混ぜる方法を認めたとしても、あの山盛りのご飯に直で落とすのはダメでしょう。卵かけご飯を食べる時は、溢れを警戒して丼に余裕をもたせるか、まず中央に箸で穴をあけて、そこに流し入れてからかき混ぜるのがセオリー。あれを真似したら、卵がテーブルにこぼれてしまう危険が非常に高いじゃないですか」
確かにこぼれてしまったらもったいないが、危険というほどのことかという気もする。彼はさらに分量にも不満があるのだとか。
「1個の卵に対してご飯が多すぎです。あれでは卵の味が薄まってしまう。それを補うように醤油をかけることになってしまうわけですが、あの分量から推測するに、卵かけごはんというよりは醤油かけご飯になってしまうのではないでしょうか?」(同)
好みの問題では?という気がしないでもないが……そして彼は、産みたての卵の味についての描写にも批判的だ。
「登場キャラの「新鮮な卵だから旨い」というような発言が目立つのですが、産みたての卵には炭酸ガスが溜まっているため、臭みも強いし、味にもムラがあるんです。なので、しばらく経ってガスが抜けたぐらいのが一番旨い、というのが定説ですよ。まあ、新鮮というだけで気持ち的に旨さが何割かアップするのは認めますがね」(同)
最後にいささかトーンダウンしているが、要はよくある食へのこだわりから始まるイチャモンのようだ。食べ物の好みは人それぞれ。アナタは『銀の匙』の描写派だろうか?それともこのフードライター派だろうか?あるいは、また別のこだわりがあるだろうか?
要はハマっているようで……
このフードライター、「初回の卵かけご飯を見て決めました。今後どのような食べ物が出てくるのか、毎週チェックして指摘してやりますよ!」(同)と、すっかり取り込まれている様子。要は楽しんで見ているということのようだ。当編集部でもアニメ『銀の匙』は注目の作品としてチェックしていく予定だ。
文/編集部