CNNが報道、ただしソースはTVチャンピオン
アメリカ大手メディア「CNN」のサイトで衝撃的な情報が公開されている。「和歌山を日本最高たらしめる10の秘密」という記事なのだが、その中で「日本一美味いラーメン」として和歌山ラーメンが紹介されているのだ。
CNNによれば「和歌山ラーメンはかつて日本のTV番組でも日本一に輝いたことがあり、いくつかの店は日本のラーメン愛好家たちの聖地になっている」とのこと。たしかに和歌山ラーメンは98年に放送されたTVチャンピオン「日本一うまいラーメン決定戦」で、評論家・石神秀幸氏が人気店・井出商店を推薦、同店が優勝をおさめたことで「日本一」にはなっている。
ちょっと気になったのは、同記事では和歌山ラーメン特有の臭いについては「中毒性がある」ぐらいしか記述がないことだ。一部の和歌山ラーメンはものすごくトンコツ臭く、地元のヤングたちの間でも「ラーメン食ったらその日のデートでキスは無理」「ラーメン食った後だと風俗に入店できない」とさまざまな伝説が語られているほどだ。CNNの人、あの臭いは気にならなかったのだろうか。
和歌山ラーメン、他県ではほぼ壊滅状態?
とはいえあの臭いも味のうち、久しぶりに和歌山ラーメンが食べたくなってネットで探してみると、都内で筆者が見つけることができたのはわずか一軒のみだったのだ! 98年の番組で井出商店が優勝し、また、都内にあったまっち棒という店が大ブレイクしたことで、00年代初頭にはかなりの数の和歌山ラーメンの店があったのに…。いつバブルがはじけたかはわからないのだが、かつては数十軒あった店はほとんどなくなり、大井町にある人気店・のりや食堂が都内最後に生き残りになっていた。
和歌山ラーメンの臭いは通称「豚のふんどし」
そして、かつての人気店まっち棒は都落ちして、現在は神奈川県・溝の口に店を構えている。池尻大橋に会った頃は「女性も入ることができる」のをコンセプトにしたギンギラのサイバーな店だったが、今はどこにでもありそうな店に変わっていた。かつて篠原涼子、矢口真里などの著名人にプッシュされていたのだが。店に行ってみると、和歌山ラーメン特有の豚のふんどしを煮染めたような臭いはあんまりなく、ほのかにトンコツ臭がする程度だった。
「和歌山ラーメンは20世紀末にブレイクしたことで、あちこちに店が出きたんですが、通称『豚のふんどし』と言われる臭いのせいか、あんまり上手くいかなかったんですよ。00年初頭に和歌山県外にあった店は、全国を見渡してもほとんど潰れてしまっています。ハマれば味も臭いも最高なんですけどね」(ラーメン愛好家Tさん)
とのこと。そんな現状を考えると、たしかに美味しいラーメンだけれども、日本一美味いとは言いづらいのかも?
文/森本英太郎