一色萌のアイドル、色々。第12回 「アイドルと愛」


こんにちは。プログレアイドル・xoxo(Kiss&Hug) EXTREME(キスアンドハグ エクストリーム。通称・キスエク)の一色萌(ひいろ・もえ)です。

桜が咲いたかと思えば雪が降ったり、かと思えば夏のように暑かったり、気候の安定しない日々ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

最近の大きな出来事と言えば、新しい元号の発表がありました。発表日は4月1日。なにもわざわざエイプリルフールにかぶせなくても……と、発表前は当日のネットの騒がしさを思って憂いていたものです。

ですが、いざ当日を迎えると人々の話題は新元号一色になり、たちのわるい嘘つきさんが例年よりも少ないような気がして幾分すっきりとした気分で過ごしました。元号発表、楽しかったから来年もやらないかな、なんて。

新元号は「令和」だそうです。まだピンとは来ていませんが、あと1ヶ月もしたら平成は終わっているのだなぁと思うと、感慨深いものがあります。

元号や年度が変わっても人や環境ががらっと変わるわけではないけれど、去年末に

この連載でも触れたような「一区切り」の雰囲気は、年末から続いているような気がします。このつかみどころのないモヤモヤは、来月になったら晴れるのでしょうか。それまでの短い期間にも、きっとたくさんのお別れや、出会いや、再会があるのでしょう。

この連載も今回で12回目、一年の節目を迎えました。だからといって特に何が変わるわけでもありませんが、平成とともに自分の歩む道を改めて見つめるアイドルさんたちに思いを馳せつつ初心に戻り、今回はアイドルと「愛」についてのお話をしたいと思います。

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アイドルと「愛」については、これまでにも何度かお話してきました。

私がアイドルをフロアから見る際・アイドルとしてステージに立つ際、立場に関わらずいつも思うのは「二つの場を介在する愛」についてです。

ステージからフロアへパフォーマンスが、フロアからステージに向けては声援が送られる。

これはどんなライブにも共通する光景だと思いますが、とりわけ地下アイドルの現場に突出して見られる特徴をあえて挙げるならば、その熱量と相互性でしょう。

視線を向ければ目が合い、手を伸ばせばすぐ届く、時には汗の飛んでくるような距離感で行われるライブの中で、親密で濃い、地下アイドル(ライブアイドル)の現場独特ともいえる空気感は作られます。

「他人のむき出しの愛って、日常でなかなか目にすることのできないものです。

ましてや愛がキャッチボールのように、めまぐるしく飛び交う場面なんて、少なくとも私は地下のライブハウスで目の当たりにするまで見たことがありませんでした。」連載の第3回で、私はこのように記しました。

しかし、日常でなかなか目にすることのできない感情を、ここでは見ることができるというのはなぜでしょうか。

日々メディアに露出してお茶の間を賑わせるようなスターとは一線を画し、地下ないしライブアイドルは受け手と限りなく近い、いたって普通の女の子である場合が多く見られます。

ほとんどの子が、アイドルとしてステージに立っているその瞬間以外は学校や仕事など、応援してくれるお客さんと変わらない生活を送っているのです。

みんな同じ。

もしかして、そこに熱量のカギがあるのでは?そんな風に考えています。

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「地下アイドルをやっている子は愛情に飢えている」

たまに、でも一度や二度じゃない。どこかで聞いた、だれかが言った言葉です。

折に触れ何度も頭に浮かんでくるこの言葉を、私はその度にゆっくりと反芻します。

そうかもしれないな、でも本当にそうなのかな。

家族、友人、恋人。人は生きていく上でたくさんの人間と関わり、愛情を与え・与えられ認められて生きていきます。もしも生きていく上で心が満たされ、成長するために必要な愛情の量というものがあるとしたら。

マズローという心理学者の自己実現理論では、「人は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定した上で、人間の欲求は5段階に分かれるとする”欲求5段階説”が提唱されています。

下層から生理的欲求・安全の欲求・社会的欲求と愛の欲求・承認欲求・自己実現欲求という順番に重なったピラミッド状の図式が有名です。私はこの説をまるごと支持しているというわけではないのですが、この5段階に分けられた欲求については興味深く、とりわけ上層の3つについて、地下アイドルとして活動する子の精神構造に関わりがあるのではと思うのです。

というのも。私の場合、自分に当てはめて考えた時に思い当たる節が多くあったからでした。思い返せば小さな頃から少々卑屈な性質があって、「自分は一番の器ではない」という意識が早くからありました。

みんなの人気者や寛容で優しい子の陰に隠れて波風たてずに過ごすのが落ち着く。けれど、目立ちたい気持ちもないわけではない。

小学生の時は共働きであまり家にいない両親は自分のことをわかっていないと思っていたし、友人も多くはなく「私たちは親友だよ」と言われた子にいじめられてからは軽い人間不信でした。恋愛は「将来アイドルになれる可能性が少しでもあるならしない」と心に決めて過ごすようになってから興味がなくなりました。

社会的な役割を得て安心したい。自分の価値を認められたい。自分を尊重してくれる人に出会いたい。自分がかつて憧れた存在に、自分もなりたい。愛されたい。

自分の属するコミュニティの外にそれを補ってくれる存在を見出そうとした結果の、行き着く先が「不特定多数の人の前に立ち、認められること」なのでは。

少なくとも私にとってはそんな欲求の発露が「アイドルになること」だったように思えます。

SNSで自撮りを載せて承認欲求を満たしたり、ユーチューバーになって人気者になりたいと夢見る人が現れたり……簡単にアイドルになれてしまう社会が生まれ、爆発的にアイドルが増えたという現象も無秩序なものではなく、愛を欲し、承認を欲し、自己実現を欲するという段階があったのではないでしょうか。

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ステージの上、フロアの上、アイドルの現場を行き交う人々一人一人の存在を紐解くと、年齢、生まれた地域、育った環境、生業としている仕事……みんなバラバラで、”普通”に生きていたらきっと出会うことのなかった人間同士だということを実感します。

それでも狭いライブハウスの中に集って、お互いに必要とする関係が出来ている。みんな似た者同士だから、より強固な関係性が生まれるのだと思います。そしてバラバラの人々によって構築されたその関係性は、そこに属しない人から見たらいびつで奇妙なものに映るでしょう。

愛を求めて、愛を与えて、認めて、認められて。

地下の現場では目に見えないけれど直接的で人間くさいギブアンドテイクの関係が、必要とされた上で成立しています。その空間が、私はやっぱり好きだなと思います。

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しかし、人間は欲深い生き物で、一つの欲が満たされたらまたすぐに次のものを求めます。

アイドルとしてステージに立つ子。アイドルを全力で応援するファン。いっぱいの愛を与えて与えられて満たされたら、きっと次の愛や自己実現を求めてどこかへ行ってしまいます。

この時期に多い卒業、引退。それに伴ってファンもアイドル現場に足を運ぶことをやめてしまうケースもままあります。

アイドルでもファンでも、見知った顔を見かけなくなることは寂しいことです。この場所にとどまる私はその先を知るすべは無いのだなと、去る背中を見送る時はいつも、そんな風に心がざわめきます。

春は出会いと別れの季節なんて言いますが、春でなくても、そこら中に出会いも別れも転がっていることは、移り変わりのとりわけめまぐるしいアイドルの世界を少しでものぞいたことのある人なら周知の事実でしょう。

自分が望んで踏み入れた世界です。せめて悔いのないように、惜しみない愛を持ってアイドルをとりまく人々に対したいと、改めて思います。

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7月25日(木)xoxo(Kiss&Hug) EXTREME 2nd ワンマンライブ 〜UNION〜
​会場 渋谷WWW
開場18:00 開演19:00
​前売¥3,500- 当日¥4,000-
サイン入りチケット通販!
http://twelvenotes.thebase.in/items/18818364
プレイガイド(イープラス) 
https://eplus.jp/sf/detail/2936030001-P0030001

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【プロフィール】

一色 萌(ひいろ もえ)

ニックネーム:萌ちゃん、萌氏、誕生日:5月27日、出身:東京都、血液型:A型、趣味:アイドル研究、特技、アイドルについて話すこと

WALLOP放送局「キスエクのギュッと!プログレッシヴ!」レギュラー出演中(2018.4〜)

<一色公式Twitter> https://twitter.com/hiiro_moe

<公式Twitter> https://twitter.com/xoxo_extreme

<公式YouTubeチャンネル> https://www.youtube.com/channel/UCA7fn3DZFJGDmlxZZg8WQVA

<取材・オファー等> Email : contact@twelve-notes.com

【グループプロフィール】

xoxo(Kiss&Hug) EXTREME(キス・アンド・ハグ・エクストリーム 通称:キスエク)

楠 芽瑠・一色 萌・小日向 まお・小嶋 りんの4名からなる、プログレッシヴロック(略:プログレ)の楽曲を中心にパフォーマンスしているアイドル。プログレとは、曲調がよく変わる・曲が長い・変拍子…等が特徴の楽曲です。

2017年に、発売したシングル「えれFunと”女子”TALK〜笑う夜には象来る〜」に対して(キング・クリムゾン「エレファント・トーク」オマージュ)元キング・クリムゾンのエイドリアン・ブリューがその動画に「I like it!」とコメントで絶賛。

ライブ活動の他、ディスクユニオン新宿プログレ館で一日店員を務めたり、プログレファンの聖地である吉祥寺シルバーエレファントに、アイドルとして初出演。

2018年にフランスを代表するプログレバンドMAGMA公認カヴァー曲の「The Last Seven Minutes」を初披露。その動画がyoutubeにアップされると、カヴァーを公認したMAGMAが、公式Facebookで紹介したこともあり、一日で2000以上の再生数を得て話題になる。

同年2月4日に記念すべき初のワンマンライヴを鹿鳴館にて開催。プログレッシヴロックを知っている人も知らない人も楽しめるLIVEと評判。


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